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愛の代償
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着いた場所は何もない地平線で夜なのかと振り向いたレッド·ドラゴンは、
「地球······」
青く大きな地球が見えてここが月だと気づく。
「ここは月······本当に抗うつもりですか?」
「······クックック貴様は何か勘違いしているようだ」
ホーリー·ドラゴンの方を向き、
「そもそも貴様のような奴が前から気にいらなかった」
「それが本当の理由、ですか」
互いに殺気を出して、
「我は誇り高き龍 レッド·ドラゴン、誰の指図もうけんっ!」
「······愚かな」
翼を広げ相手に突撃するレッド·ドラゴンはホーリー·ドラゴンに向かい『さらばだ、ロマーヌ』気持ちの中で彼女の名を呼び彼は戦う······。
赤き龍と町娘は引き裂かれ一匹は月で命を賭けて戦い、
彼女は、
「ロマーヌ、ちゃんと食べなきゃだめよ、ロマーヌッ!」
お母さんが食事を進めるが無視して二階の自分の部屋に戻ってしまう。
レッド·ドラゴンとの最期の精神感応から三日目がたちそれからずっと何もせずただ引きこってベッドで横になり、
「ううっ······」
ずっと泣いていた。
初めて心から愛が最高潮に達したにも関わらず、突然訪れた一生の別れに彼女の気持ちは完全に折れてしまっていたのだ。
しかし当然三日も閉じこもれば、フローティアの町の人達は異変に気づく。
毎日ボランティアで炊きをしているロマーヌのお母さんに、
「ロマーヌのお母さん、今日も彼女を見ませんが何かあったんですか?」
「フィン君」
最初に聞いてきたのはフィンだった。
彼に事情を説明すると、
「――レッド·ドラゴンさんと、もう会えない?」
「そうみたいなの、だから塞ぎ込んでいて」
「それは大変だ······」
仕事の休みを利用して早速レストランの二階の扉をノックする。
「ロマーヌさん、フィンです。フィン·マクガルドです」
名のるが、やはり返事が返ってはこない。
こちらからは開けられない鍵を掛けてあるため、なんとか声だけで気持ちを開くよう試みる。
「事情は聞きました。傷ついているのはわかります······正直いまはほっといてほしいって言う気持ちでしょうが、何も食べないのは危険です。だからでてきてくださいロマーヌさんっ」
なんの反応も見せない。
そうなるとは思っていたので続けて言葉を発すること一時間······。
「ねえロマーヌさんってば······はぁ」
ズルズルと扉の前で膝を付くフィンだが、中にいる彼女は全て聞こえていた。
でも『でも、レッド·ドラゴンさんは、もういない』と涙を流し布団に丸まって現実から目を背ける。
「······僕は彼が、レッド·ドラゴンさんがうらやましい
ですよ······あなたに、こんなに······愛されて」
彼はこのままレッド·ドラゴンが帰ってこなければ自分にチャンスがあると、心の小さな片隅で思っていた。
だが、彼女を説得するればするほど彼に対する気持ちが本気だと、割り込む空きがないと気付いてしまう。
「······僕には······僕には······あなたを、救えない」
そう言ってフィンは扉の前で背を付き諦め掛けたそこにゆっくりと階段を上がってくる音が、
「ちょっと良いかい」
「あなたは、ブレットおばあさん」
ブレットおばあちゃんだった。
「ここはあたしが引き受けるから、あんたは自分の仕事に戻りなさい」
「······お願いします」
ロマーヌの事を託し、彼は元の仕事へと向かうことにした。
ブレットおばあちゃんを信じて。
「いい子やな、あんの子も······さあて、ロマーヌちゃん、ロマーヌちゃんや」
扉の前で彼女を呼び掛ける。
布団の中からでも聞こえた自分の名前を呼ぶ優しい声に、
「おばあ、ちゃん?」
気がついたロマーヌだった。
「地球······」
青く大きな地球が見えてここが月だと気づく。
「ここは月······本当に抗うつもりですか?」
「······クックック貴様は何か勘違いしているようだ」
ホーリー·ドラゴンの方を向き、
「そもそも貴様のような奴が前から気にいらなかった」
「それが本当の理由、ですか」
互いに殺気を出して、
「我は誇り高き龍 レッド·ドラゴン、誰の指図もうけんっ!」
「······愚かな」
翼を広げ相手に突撃するレッド·ドラゴンはホーリー·ドラゴンに向かい『さらばだ、ロマーヌ』気持ちの中で彼女の名を呼び彼は戦う······。
赤き龍と町娘は引き裂かれ一匹は月で命を賭けて戦い、
彼女は、
「ロマーヌ、ちゃんと食べなきゃだめよ、ロマーヌッ!」
お母さんが食事を進めるが無視して二階の自分の部屋に戻ってしまう。
レッド·ドラゴンとの最期の精神感応から三日目がたちそれからずっと何もせずただ引きこってベッドで横になり、
「ううっ······」
ずっと泣いていた。
初めて心から愛が最高潮に達したにも関わらず、突然訪れた一生の別れに彼女の気持ちは完全に折れてしまっていたのだ。
しかし当然三日も閉じこもれば、フローティアの町の人達は異変に気づく。
毎日ボランティアで炊きをしているロマーヌのお母さんに、
「ロマーヌのお母さん、今日も彼女を見ませんが何かあったんですか?」
「フィン君」
最初に聞いてきたのはフィンだった。
彼に事情を説明すると、
「――レッド·ドラゴンさんと、もう会えない?」
「そうみたいなの、だから塞ぎ込んでいて」
「それは大変だ······」
仕事の休みを利用して早速レストランの二階の扉をノックする。
「ロマーヌさん、フィンです。フィン·マクガルドです」
名のるが、やはり返事が返ってはこない。
こちらからは開けられない鍵を掛けてあるため、なんとか声だけで気持ちを開くよう試みる。
「事情は聞きました。傷ついているのはわかります······正直いまはほっといてほしいって言う気持ちでしょうが、何も食べないのは危険です。だからでてきてくださいロマーヌさんっ」
なんの反応も見せない。
そうなるとは思っていたので続けて言葉を発すること一時間······。
「ねえロマーヌさんってば······はぁ」
ズルズルと扉の前で膝を付くフィンだが、中にいる彼女は全て聞こえていた。
でも『でも、レッド·ドラゴンさんは、もういない』と涙を流し布団に丸まって現実から目を背ける。
「······僕は彼が、レッド·ドラゴンさんがうらやましい
ですよ······あなたに、こんなに······愛されて」
彼はこのままレッド·ドラゴンが帰ってこなければ自分にチャンスがあると、心の小さな片隅で思っていた。
だが、彼女を説得するればするほど彼に対する気持ちが本気だと、割り込む空きがないと気付いてしまう。
「······僕には······僕には······あなたを、救えない」
そう言ってフィンは扉の前で背を付き諦め掛けたそこにゆっくりと階段を上がってくる音が、
「ちょっと良いかい」
「あなたは、ブレットおばあさん」
ブレットおばあちゃんだった。
「ここはあたしが引き受けるから、あんたは自分の仕事に戻りなさい」
「······お願いします」
ロマーヌの事を託し、彼は元の仕事へと向かうことにした。
ブレットおばあちゃんを信じて。
「いい子やな、あんの子も······さあて、ロマーヌちゃん、ロマーヌちゃんや」
扉の前で彼女を呼び掛ける。
布団の中からでも聞こえた自分の名前を呼ぶ優しい声に、
「おばあ、ちゃん?」
気がついたロマーヌだった。
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