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カレー
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ファイヤー·ブレスで焼いた牛や豚などを言われた通りに持ってきていたレッド·ドラゴン。
そこに、
「レッド·ドラゴンさん!」
「ロマーヌ、用意はしておい······ん?」
森から彼女だけでなく、お母さんと男二人も連れてきて、風呂敷に被されたでかい釜をリヤカーに積んである。
その風呂敷を取ると、
「はい、カレーです」
「カレー? 飲むのか」
精神感応で聞くとロマーヌ達は釜を持って、
「いいえ、これを······こうするんです!」
焼いてある牛と豚の上に掛けたのだ。
「こ、これで食べるのか?」
「はい、食べてみてください」
「うちのカレーだから美味しいわよ」
彼女とお母さんに言われかじりつく。
「おお、すげーな」
男二人も驚くほど豪快にムシャムシャと味わって食べると、
「うむ、美味いっ!」
「ホントッ、やったーっ」
お母さんと両手を絡め、
「良かったわね、ロマーヌ」
このあとも夢中で骨ごと食し、あっという間に平らげた······。
「ありがとう、持ってくるのも大変だっただろうに、だが、こんな美味いものは生まれて初めて食べた、感謝する」
礼を言うレッド·ドラゴンを見て大成功と喜ぶロマーヌ、それを見たお母さんや男達も少しづつ緊張が薄れ彼と楽しく精神感応で会話をするのだった······。
夜になり、
「じゃあもう暗いので帰ります」
「ああ、今日は本当に美味しかったよ、ありがとう」
レッド·ドラゴンはロマーヌの他にそのお母さんや男二人にも感謝をのべた。
荷物を持ちながら帰える彼女、背中を眺めていた彼は、
「······ロマーヌ」
「はい、レッド·ドラゴンさん?」
「次に会ったときは、今度は我が礼をしよう」
「ホントですかっ、楽しみにしてます」
お礼を楽しみに森へと消えていった······。
ボランティアをして七日目の丁度一週間、雨降るフローティアで家を出ようとしたロマーヌに、
「ロマーヌ、あなた一週間休み無しに動いてるんだから今日は休みなさい」
「え、でもお母さんだって」
そう言うお母さんも休み無しにボランティア活動を続けている。
「私は明日休ませてもらうから」
「う~ん」
躊躇する娘、なので、
「今日は一日レッド·ドラゴンさんの所に行ってきたら?」
「あ、そうか、行ってきます!」
前回お母さんも彼に会っていい感じと思い言ってみてら迷わず龍のねぐらへと向かい、
「もう、あの子ったら」
満面笑みにやれやれとこぼしながらブルー·バードに餌をやるお母さんだった······。
朝雨に濡れながら森を抜け洞窟の中へと進み龍のねぐらに着いたがレッド·ドラゴンの姿はなかった。
雨に濡れないよう近くの岩場に座り彼を待つ事に。
静かにしていると雨音が気持ちよく聞こえる、すると毎日の疲れのせいかぼんやりと眠くなってきて目を閉じてうたた寝をしてしまう。
「――マーヌ、ロマーヌ」
「はっ······私、寝てしまいました」
目をこすると帰ってきたレッド·ドラゴンの姿が、
「雨の中来てくれたのか」
「毎日頑張ってくるからとお休みを貰って、会いに来ました」
「そうか、大変だな」
「はい、でも一日一日経つたびに町が少しづつ復興していくのを見てると元気が湧いてくるんです」
フローティアが大変でも彼女の前向きな気持ちに感服する。
「フローティアの皆が明るいのはロマーヌがいるからかもしれないな」
「そ、そんなことないです」
照れる彼女だが素直に喜ぶ。
「そうだ、約束の礼だが」
「はい、実は何なのか楽しみなんです」
外は雨が降り、洞窟の中でどんなお礼かとワクワクしはじめると、レッド·ドラゴンが両手をそっとロマーヌの目の前に出して、
「カレーの礼に我の両手に、乗るがいい」
「は、はい」
言われた通りに両手の上に乗ると、翼が羽ばたきはじめ、
「では、飛ぶぞ!」
そこに、
「レッド·ドラゴンさん!」
「ロマーヌ、用意はしておい······ん?」
森から彼女だけでなく、お母さんと男二人も連れてきて、風呂敷に被されたでかい釜をリヤカーに積んである。
その風呂敷を取ると、
「はい、カレーです」
「カレー? 飲むのか」
精神感応で聞くとロマーヌ達は釜を持って、
「いいえ、これを······こうするんです!」
焼いてある牛と豚の上に掛けたのだ。
「こ、これで食べるのか?」
「はい、食べてみてください」
「うちのカレーだから美味しいわよ」
彼女とお母さんに言われかじりつく。
「おお、すげーな」
男二人も驚くほど豪快にムシャムシャと味わって食べると、
「うむ、美味いっ!」
「ホントッ、やったーっ」
お母さんと両手を絡め、
「良かったわね、ロマーヌ」
このあとも夢中で骨ごと食し、あっという間に平らげた······。
「ありがとう、持ってくるのも大変だっただろうに、だが、こんな美味いものは生まれて初めて食べた、感謝する」
礼を言うレッド·ドラゴンを見て大成功と喜ぶロマーヌ、それを見たお母さんや男達も少しづつ緊張が薄れ彼と楽しく精神感応で会話をするのだった······。
夜になり、
「じゃあもう暗いので帰ります」
「ああ、今日は本当に美味しかったよ、ありがとう」
レッド·ドラゴンはロマーヌの他にそのお母さんや男二人にも感謝をのべた。
荷物を持ちながら帰える彼女、背中を眺めていた彼は、
「······ロマーヌ」
「はい、レッド·ドラゴンさん?」
「次に会ったときは、今度は我が礼をしよう」
「ホントですかっ、楽しみにしてます」
お礼を楽しみに森へと消えていった······。
ボランティアをして七日目の丁度一週間、雨降るフローティアで家を出ようとしたロマーヌに、
「ロマーヌ、あなた一週間休み無しに動いてるんだから今日は休みなさい」
「え、でもお母さんだって」
そう言うお母さんも休み無しにボランティア活動を続けている。
「私は明日休ませてもらうから」
「う~ん」
躊躇する娘、なので、
「今日は一日レッド·ドラゴンさんの所に行ってきたら?」
「あ、そうか、行ってきます!」
前回お母さんも彼に会っていい感じと思い言ってみてら迷わず龍のねぐらへと向かい、
「もう、あの子ったら」
満面笑みにやれやれとこぼしながらブルー·バードに餌をやるお母さんだった······。
朝雨に濡れながら森を抜け洞窟の中へと進み龍のねぐらに着いたがレッド·ドラゴンの姿はなかった。
雨に濡れないよう近くの岩場に座り彼を待つ事に。
静かにしていると雨音が気持ちよく聞こえる、すると毎日の疲れのせいかぼんやりと眠くなってきて目を閉じてうたた寝をしてしまう。
「――マーヌ、ロマーヌ」
「はっ······私、寝てしまいました」
目をこすると帰ってきたレッド·ドラゴンの姿が、
「雨の中来てくれたのか」
「毎日頑張ってくるからとお休みを貰って、会いに来ました」
「そうか、大変だな」
「はい、でも一日一日経つたびに町が少しづつ復興していくのを見てると元気が湧いてくるんです」
フローティアが大変でも彼女の前向きな気持ちに感服する。
「フローティアの皆が明るいのはロマーヌがいるからかもしれないな」
「そ、そんなことないです」
照れる彼女だが素直に喜ぶ。
「そうだ、約束の礼だが」
「はい、実は何なのか楽しみなんです」
外は雨が降り、洞窟の中でどんなお礼かとワクワクしはじめると、レッド·ドラゴンが両手をそっとロマーヌの目の前に出して、
「カレーの礼に我の両手に、乗るがいい」
「は、はい」
言われた通りに両手の上に乗ると、翼が羽ばたきはじめ、
「では、飛ぶぞ!」
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