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龍の炎

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 ブルー·ドラゴンを倒したレッド·ドラゴン、だがなぜか彼は悲しい眼をしていた。


 それは仲間だった彼女への哀れみか、それとも自分の怒りへの虚しさか、何かを思いながらフローティアの方へと振り向く。


 そこに、


「ピィピィ~」


「レッド·ドラゴンさんっ」


「ロマーヌの母か」


 精神感応テレパシーで読み取ると、


「······わかった」


 ロマーヌ達が危険な目に合っていると送られ赤い龍は泥棒の元へと飛行する······。



「――う、わあ、あっ」


「もうやめてー!」


 フィンは立ち向かったが当然敵わず殴り蹴られ口から血、顔にはアザを負っていた。


「しつけえー奴だな、ヘヘっ」


「ロマーヌ、さん······」


 それでも立ち上がる彼に背の高い男は、


「見上げた根性だ、もういい、殺れ」


「ヘヘ、これまでだな」


 これ以上は時間をかければ他の人が来て面倒になると彼を殺せと命令され手下がナイフを突き出しゆっくりとフィンに近づいて行く。


「フィン、逃げてっ」


「うっくぐっ」


 身体中の痛みが脳に来て頭がガンガンするため立ち上がれなかったのだ。


「あばよ」



 その時、草原に嵐が起こる。



「うわー」「キャーッ」


「まさか、ドラゴンだっ!」


 レッド·ドラゴンが上空から現れほっとするロマーヌ、


「レッド·ドラゴンさん」


「動くなっ!」


 着地し泥棒の二人組を睨む、


「ほっ本物だ、どうしますアニキッ!」


 巨大な龍のプレッシャーに感じながらも考え、


「······人質がいるんだ、手を出せやしねえ」


 出た言葉に納得する手下、二人はロマーヌを盾にしながらレッド·ドラゴンの目を離さず少しずつ後ろへと下がって行く。


 すると泥棒二人の脳に、


「我は誇り高きレッド·ドラゴン」


「な、なんだ?」


「お前にも聞こえたのか?」


 そして、



「人質などに屈しはせんっ!」



 そう精神感応テレパシーで伝え、炎を吐いた。



「ウソッ······」



「止めてくれ、レッド·ドラゴン、ロマーヌさんがっ!」


 必死に叫んだフィンの目の前で3人は火炎に包まれる。


 フラフラしながらも立ち上がったフィンは現実を受け入れられず、



「うわぁぁぁーっ!」



 叫んだ。



 だが、



「ハァ、ハァ、ハァ」


 火の中からロマーヌが走って逃げてきた。


「ロ、ロマーヌさん? じゃあ」


「うわぁ、あ、あ」


 奥からはうめき声が聞こえ、ゾッとしたフィン。


 徐々に消えていった火炎から出てきた二人組、よく見ると両手が火傷している。



「これは最後の警告だ、もしまた貴様らが何かをやらかせば、灰にしてやろう」



「う、うわーっ」


 泥棒は火傷でじたばたしたあと恐怖で走って逃げていった。



「······終わった、はぁ~」


 一気に疲れが来たのか地べたに座るフィン、目の先では、


「レッド·ドラゴンさん、酷いですっ!」


「す、すまない」


 顔を膨らませ、知らん振りとする彼女に何度も謝る赤い龍に、


「もう、まったく······あっ」


 ロマーヌはある事に気が付いた。


 それは泥棒二人組が前のように灰にならなかったことを、


「悪かった、ロマーヌ」


 ゆっくりと振り向いて、


「青い龍の方とは、どうなりました?」



「······決着は付けた」



「······殺したんですか?」



「ああ、そうするしか、なかった」


 彼女はレッド·ドラゴンの身体に至るところに傷があるのを目にして死闘だったのだと悟る。


 それでも本当は倒したくなかったのだと······。



 こうして彼等はフローティアに戻った。


 ブルー·ドラゴンの起こした津波によって下町の人達は大きな被害を受けたが、希望は残されている。


 それはこの町の人々はみんな助け合っていた。


 家が被害にあった人を近隣が停めてあげたり、ご飯を無料で提供したり、泥を取ったりなど人と人との触れ合いが人間の大切な心を大きく支える橋となり希望なのだ······。



 ――山の山頂に半夜、満月を眺めるレッド·ドラゴンが、


「満月か······ロマーヌ······もうすぐ、だ······」
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