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告白
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「レッドよ」
一週間後に龍のねぐらで会う約束をしたレッド·ドラゴンが海上を飛行していた時精神感応が送られ止まる。
「お前かブルー」
近くを探すと既に顔半分を出していたブルー·ドラゴン、
「様子を見に来たがどうだ? ずいぶん気合いが入っているようだが」
「······貴様には関係ない」
そう言い放ち去ろうとすると、
「あの娘とは別れたのか?」
彼は背を向けながら黙っていた。
「レッド·ドラゴンの名が泣くぞ?」
「······貴様には関係ないと言っている」
そう言って飛び去ったレッド·ドラゴン。彼を見ながら、
「それがお前の答えのようだな、レッド」
何かを思ったのかゆっくりと泳いで行くブルー·ドラゴンだった······。
「――はぁ~、もうーっ」
夜、レストランの仕事終わりでロマーヌは疲れていた。それはお昼の事、
「いらっしゃいませ」
元気よく接客をする彼女、
「すいません」
「はいはーい」
「トマトパスタとコーヒーをお願いします」
「はい······かしこまりました」
しっかりとお客さんの注文をメモっていたら、その最中に小声で、
「あの、後で少しお時間いいですか?」
「はい? まあ、少しくらいでしたら」
「ありがとうございます」
このロマーヌを誘った金髪ですらっとした顔の男性の名はフィン·マクガルド。
実は彼女に惚れていたのだ。なので食事を終えたあとレストランの裏口で、
「ロマーヌさん、僕のフィアンセになって下さい!」
「フィアンセ? あの、ごめんなさい」
「そ、そんなぁーっ」
ロマーヌはフィンを知っていた。
週に二回多くて三回とお店の常連でよくパスタ系を注文してくれる人だけど、特に意識したことは無かったのだ。
あっさり断られ当然フィンはショックを受けるが、
「ど、どうして、僕は仕事を父と一緒に経営してるし、君を苦労させないし、皆若くして結婚してるんだよ······それとも他に好きな人が?」
「······好きというか気になる人、じゃない、方はいます」
頬を赤くしながらニッコリと答えた。
「だから、ごめんなさい」
下を向いてがっくりしている彼にそう言い振り向いてレストランに戻ろうとしたら、
「ロマーヌさん、僕はまだ諦めませんからっ!」
「ええ~、そんな······」
そんなことがあり、まだ結婚を考えていない17歳の彼女は困っていたのだった。
翌日もフィンはめげずに、
「ロマーヌさん! 僕は」
「他のお客さんに迷惑だから止めてください」
さすがのロマーヌも目をつぶり少し強く断る。その後もスキをついては告白するという事が三日続いて四日目で今度は彼女から裏口に誘い、
「ハッキリ言いますが、めーいーわーくーです。これ以上つきまとわないでください」
眉にシワを寄せ睨むように断った。
「······どうして、どうしてわかってくれないんだ。そんなにその男の事が好きなのか?」
「そ、それは······だ、大好きです」
彼女の言葉でしばらく黙っていたフィンは口を開き、
「そう、ですか······ロマーヌさんはその人がそんなに好きなんですね」
がっくり肩を落としながらトボトボと諦めて帰って行く。
傷付けたようで悪い気持ちになったが嘘は無い、自分の本心を話たのだから······。
仕事終わり、二階の自分の部屋で机に腕を組み頭を横にしながら、
「もっと優しく言えば良かったかな~······あと三日、レッド·ドラゴンさんに会いたいな~」
自身の気持ちを素直に口にした事でロマーヌにも変化が現れ始める······。
海から首までを出し佳月を眺めているブルー·ドラゴンは、今日も様子を見ていた時ロマーヌの『大好きです』の言葉を思い出し、
「
レッドよお前も罪な龍よの~、あんな娘を好いてまた好かれるとは、もはや誇りも何もないと言う事か······我々は秩序を守るドラゴン、それを思い出させてやろう······我が力を受け、波よ踊れっ!」
海がうねり始める······。
一週間後に龍のねぐらで会う約束をしたレッド·ドラゴンが海上を飛行していた時精神感応が送られ止まる。
「お前かブルー」
近くを探すと既に顔半分を出していたブルー·ドラゴン、
「様子を見に来たがどうだ? ずいぶん気合いが入っているようだが」
「······貴様には関係ない」
そう言い放ち去ろうとすると、
「あの娘とは別れたのか?」
彼は背を向けながら黙っていた。
「レッド·ドラゴンの名が泣くぞ?」
「······貴様には関係ないと言っている」
そう言って飛び去ったレッド·ドラゴン。彼を見ながら、
「それがお前の答えのようだな、レッド」
何かを思ったのかゆっくりと泳いで行くブルー·ドラゴンだった······。
「――はぁ~、もうーっ」
夜、レストランの仕事終わりでロマーヌは疲れていた。それはお昼の事、
「いらっしゃいませ」
元気よく接客をする彼女、
「すいません」
「はいはーい」
「トマトパスタとコーヒーをお願いします」
「はい······かしこまりました」
しっかりとお客さんの注文をメモっていたら、その最中に小声で、
「あの、後で少しお時間いいですか?」
「はい? まあ、少しくらいでしたら」
「ありがとうございます」
このロマーヌを誘った金髪ですらっとした顔の男性の名はフィン·マクガルド。
実は彼女に惚れていたのだ。なので食事を終えたあとレストランの裏口で、
「ロマーヌさん、僕のフィアンセになって下さい!」
「フィアンセ? あの、ごめんなさい」
「そ、そんなぁーっ」
ロマーヌはフィンを知っていた。
週に二回多くて三回とお店の常連でよくパスタ系を注文してくれる人だけど、特に意識したことは無かったのだ。
あっさり断られ当然フィンはショックを受けるが、
「ど、どうして、僕は仕事を父と一緒に経営してるし、君を苦労させないし、皆若くして結婚してるんだよ······それとも他に好きな人が?」
「······好きというか気になる人、じゃない、方はいます」
頬を赤くしながらニッコリと答えた。
「だから、ごめんなさい」
下を向いてがっくりしている彼にそう言い振り向いてレストランに戻ろうとしたら、
「ロマーヌさん、僕はまだ諦めませんからっ!」
「ええ~、そんな······」
そんなことがあり、まだ結婚を考えていない17歳の彼女は困っていたのだった。
翌日もフィンはめげずに、
「ロマーヌさん! 僕は」
「他のお客さんに迷惑だから止めてください」
さすがのロマーヌも目をつぶり少し強く断る。その後もスキをついては告白するという事が三日続いて四日目で今度は彼女から裏口に誘い、
「ハッキリ言いますが、めーいーわーくーです。これ以上つきまとわないでください」
眉にシワを寄せ睨むように断った。
「······どうして、どうしてわかってくれないんだ。そんなにその男の事が好きなのか?」
「そ、それは······だ、大好きです」
彼女の言葉でしばらく黙っていたフィンは口を開き、
「そう、ですか······ロマーヌさんはその人がそんなに好きなんですね」
がっくり肩を落としながらトボトボと諦めて帰って行く。
傷付けたようで悪い気持ちになったが嘘は無い、自分の本心を話たのだから······。
仕事終わり、二階の自分の部屋で机に腕を組み頭を横にしながら、
「もっと優しく言えば良かったかな~······あと三日、レッド·ドラゴンさんに会いたいな~」
自身の気持ちを素直に口にした事でロマーヌにも変化が現れ始める······。
海から首までを出し佳月を眺めているブルー·ドラゴンは、今日も様子を見ていた時ロマーヌの『大好きです』の言葉を思い出し、
「
レッドよお前も罪な龍よの~、あんな娘を好いてまた好かれるとは、もはや誇りも何もないと言う事か······我々は秩序を守るドラゴン、それを思い出させてやろう······我が力を受け、波よ踊れっ!」
海がうねり始める······。
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