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妖精の手日記
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――1月31日、
「じゃあ行ってくる······ホントに付いてこないの?」
「ええ、行っても集中の妨げになると思うの。だからお家で応援してる」
それは彼女を想ってのサイネリアの考えだった。しかし不安げな顔の凛桜。
「大丈夫だから、一緒に頑張ったじゃない。信じて練習を、自分自身をね」
落ち着いた雰囲気だけど柔らかく温かい笑顔で、気持ちが安心してきて、
「わかった、行ってくるわ」
「うん、まってる」
「あとさ······消えたり、しないでよ」
そう言葉を残し車で試験に向かって行った。
妖精が消える、
いや、見えなくなる時、
それは心の底が満たされたとき······それを選択する事はサイネリアにはできない、全ては凛桜しだいなのだ。
「頑張って凛桜、あなたならできるから」
心に祈りながら彼女も出来る事を始める······。
午後4時半頃に、
「ただいま」
「おかえりなさい」
「サイネリア······はぁ~良かった」
「どうだった?」
二人での練習がなんとか功を奏し空欄などなく、手応えはあった。あとは、
「あとは運次第かな」
「そう、良かったわ」
「サイネリア、ゲームやろうよ」
「そうね、昨日まで頑張ったんだし、やりましょっ」
やっとプレッシャーから開放された凛桜、その姿を見てホッと安心するサイネリア。リラックスしてゲームをやっていると、
「ねぇ、サイネリアは何してたの?」
「う~ん、ナイショ、フフッ」
「え~、気になる~」
大変だった日も一気に楽しい日へと変わっていった。あとは、試験の結果を待つのみとなる······。
それからしばらくは試験の結果の日までサイネリアとドライブや温泉、山登りなど気持ちいい日が続いて、
運命の日の3月31日、
仕事場の休み時間に緊張しながらスマホで確認すると、
「······ごう各······やったぁぁーっ!」
「おめでとう、凛桜」
介護福祉士の試験に見事合格したのだ。
「ありがとうサイネリア、あなたのおかげよ」
怪しまれないために小声で耳元に感謝を伝える。
「ちゃんと勉強したからよ、フフッ」
落ちついて言うつもりが嬉しくて声を出してしまう、それほど喜んでいたのだ。職場の人達にも祝福されながら、
「じゃあ仕事してくる」
「うん」
残りの時間も張り切って仕事をする······。
夕方、仕事を終えて会社を出ると、
「あれ? サイネリア、サイネリアおいてくぞ~」
反応がない、
おかしいと車のドアを開けるが、いない。
「······サイネリア」
凛桜は気付いてしまう。
自分が心底望んでいた『元カレを見返し、資格を取って介護福祉の仕事を本業とするため』それが叶ったからこそ妖精は消えてしまったのだと······。
黙ってマンションへと帰った彼女は、
「はぁ~······また1人······」
そう言って壁に体育座りでしょんぼりする。テーブルにそっと目を向けると二人で楽しかった記憶がよみがえる。しかしよく見るとテーブルに手日記が、
「······サイネリアが、置いたのね」
もしかしたら何か書いてあるかもと開くたら、
「······あ~、ムカつく」
元カレのページを見てしまい腹が立つ。さらにめくっていくと、
『1月4日 犀川河川敷公園で流星群を観た。頭を掴まれて「もうっ」と思ったけど綺麗だった。連れてってくれた凛桜には感謝』
「サイネリア······」
1日も欠かさず書いてある。
『1月5日 夜ふかしして眠そうな凛桜、それでもしっかり仕事する彼女は立派だった』
他にもたくさん書いてあるのを読んでいき、
「ううっ······」泣いてしまう。
そして最後には今日のことが、
『3月31日 きっと彼女は合格する。そしたら、ワタシは消えてしまう』
これはきっとその前の日に書いたもので、わかっていたんだと思った凛桜。
『でも』
そこに書いてあったのは、
『でも、お別れじゃなくて、これは二人の旅立ち。だから凛桜、人を幸せにしてあげて、そしていつかあなたも、あと』
「もう······なによ、ん?」
『無料の出会い系はダメよ、少しお金掛かるほうが安心みたいだからやるならそこ。幸せ、掴んでよね。サイネリアより』
「なによ、出会い系って······いつ調べたんだか、ぐすっ」
彼女は一度は捨てた手日記を抱きしめ、ベランダに出ると気付けば夜になっていた。星を眺めながらあのときを想いだし、
「妖精サイネリア······ありがとう、あたし頑張るから」
誓いをたてたその星達はいつもよりも綺麗な気がした······。
妖精、それは彼氏や彼女に浮気されたり、悩んだりしいてる人達に手を差し伸べる、そんな生き物。
次に彼女が見えるのは、あなたかも知れない······。
「じゃあ行ってくる······ホントに付いてこないの?」
「ええ、行っても集中の妨げになると思うの。だからお家で応援してる」
それは彼女を想ってのサイネリアの考えだった。しかし不安げな顔の凛桜。
「大丈夫だから、一緒に頑張ったじゃない。信じて練習を、自分自身をね」
落ち着いた雰囲気だけど柔らかく温かい笑顔で、気持ちが安心してきて、
「わかった、行ってくるわ」
「うん、まってる」
「あとさ······消えたり、しないでよ」
そう言葉を残し車で試験に向かって行った。
妖精が消える、
いや、見えなくなる時、
それは心の底が満たされたとき······それを選択する事はサイネリアにはできない、全ては凛桜しだいなのだ。
「頑張って凛桜、あなたならできるから」
心に祈りながら彼女も出来る事を始める······。
午後4時半頃に、
「ただいま」
「おかえりなさい」
「サイネリア······はぁ~良かった」
「どうだった?」
二人での練習がなんとか功を奏し空欄などなく、手応えはあった。あとは、
「あとは運次第かな」
「そう、良かったわ」
「サイネリア、ゲームやろうよ」
「そうね、昨日まで頑張ったんだし、やりましょっ」
やっとプレッシャーから開放された凛桜、その姿を見てホッと安心するサイネリア。リラックスしてゲームをやっていると、
「ねぇ、サイネリアは何してたの?」
「う~ん、ナイショ、フフッ」
「え~、気になる~」
大変だった日も一気に楽しい日へと変わっていった。あとは、試験の結果を待つのみとなる······。
それからしばらくは試験の結果の日までサイネリアとドライブや温泉、山登りなど気持ちいい日が続いて、
運命の日の3月31日、
仕事場の休み時間に緊張しながらスマホで確認すると、
「······ごう各······やったぁぁーっ!」
「おめでとう、凛桜」
介護福祉士の試験に見事合格したのだ。
「ありがとうサイネリア、あなたのおかげよ」
怪しまれないために小声で耳元に感謝を伝える。
「ちゃんと勉強したからよ、フフッ」
落ちついて言うつもりが嬉しくて声を出してしまう、それほど喜んでいたのだ。職場の人達にも祝福されながら、
「じゃあ仕事してくる」
「うん」
残りの時間も張り切って仕事をする······。
夕方、仕事を終えて会社を出ると、
「あれ? サイネリア、サイネリアおいてくぞ~」
反応がない、
おかしいと車のドアを開けるが、いない。
「······サイネリア」
凛桜は気付いてしまう。
自分が心底望んでいた『元カレを見返し、資格を取って介護福祉の仕事を本業とするため』それが叶ったからこそ妖精は消えてしまったのだと······。
黙ってマンションへと帰った彼女は、
「はぁ~······また1人······」
そう言って壁に体育座りでしょんぼりする。テーブルにそっと目を向けると二人で楽しかった記憶がよみがえる。しかしよく見るとテーブルに手日記が、
「······サイネリアが、置いたのね」
もしかしたら何か書いてあるかもと開くたら、
「······あ~、ムカつく」
元カレのページを見てしまい腹が立つ。さらにめくっていくと、
『1月4日 犀川河川敷公園で流星群を観た。頭を掴まれて「もうっ」と思ったけど綺麗だった。連れてってくれた凛桜には感謝』
「サイネリア······」
1日も欠かさず書いてある。
『1月5日 夜ふかしして眠そうな凛桜、それでもしっかり仕事する彼女は立派だった』
他にもたくさん書いてあるのを読んでいき、
「ううっ······」泣いてしまう。
そして最後には今日のことが、
『3月31日 きっと彼女は合格する。そしたら、ワタシは消えてしまう』
これはきっとその前の日に書いたもので、わかっていたんだと思った凛桜。
『でも』
そこに書いてあったのは、
『でも、お別れじゃなくて、これは二人の旅立ち。だから凛桜、人を幸せにしてあげて、そしていつかあなたも、あと』
「もう······なによ、ん?」
『無料の出会い系はダメよ、少しお金掛かるほうが安心みたいだからやるならそこ。幸せ、掴んでよね。サイネリアより』
「なによ、出会い系って······いつ調べたんだか、ぐすっ」
彼女は一度は捨てた手日記を抱きしめ、ベランダに出ると気付けば夜になっていた。星を眺めながらあのときを想いだし、
「妖精サイネリア······ありがとう、あたし頑張るから」
誓いをたてたその星達はいつもよりも綺麗な気がした······。
妖精、それは彼氏や彼女に浮気されたり、悩んだりしいてる人達に手を差し伸べる、そんな生き物。
次に彼女が見えるのは、あなたかも知れない······。
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