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もう遅い
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その1年後、母の説得で嫌々高校に入学することになったが、相変わらずの不良姿で歩いていた時に肩にぶつかると、
「おいっ、肩に当たったぞっ!」
「あっ、すいません」
謝ってきた相手は高校2年になっていた秋だった。変わらない容姿の秋にすぐ気が付いた九美は、
「先輩······」
「え?」
つい声が出てしまったが九美は自分のことに気付いていないと感じ、
「ふんっ」帰ろうとした。
「九美――なの?」
止まって振り向き、
「よう先輩、そっ、九美だけど、何?」
「変わったね」
「それだけ? じゃね」そう言って去る。
この時秋はショックを受けた。
自分のせいなのか、それとも不良に憧れでもしたのか、考えるほど悲しさが込み上げ九美との遠い距離を感じてしまう······。
秋と会った九美、自分の家で布団に入り天井を見て思い出す。
「もう遅いんだよ、何もかも」
そしてずっとスマホに残っていた秋のLINEを、消す。
「もうあたしは1人なんだ!」自分に言い聞せ彼女との決別を決意した。
それからは交流はなくすれ違いたまに秋が挨拶をしても無視するそんな日々······。
――6月現在、パールを不良の3人で絡み厳重注意を受けた九美は変わらず高校の近くを歩きスマホしていた。するとき決まって、
「おや、九美さんこんにちは」
いつもいつも九美を見かけては、話しかけてくるロボット先生、
「九美さん、どうですか学校に来てみては」「毎回毎回うるせえなロボ先は! ふんっ」
イラつく彼女は、
「おらどけっ!」っと走り去る。
「先生、何かあったんですか?」
昇降口から見えたので来た秋、
「また九美さんに怒らしてしまいまして」
「どうして九美は、いつも下校の時に学校をうろついているんですかね」
ふと昔の彼女を思い出すと寂しくなる。
「分かりませんが学校に来たいという気持ちはあると思うのですが······秋さん」
「はい」
「秋さんは、九美さんの友達ですか?」
「中学の時の後輩で友達、でした」
目線が下がり眉に皺を寄せ言う。
「そうですか、明日よろしければ秋さんの分かる範囲で良いので九美さんのことを教えて頂きたいのですが、どうですか?」
「良いですよ」
「ありがとう秋さん」
秋を見送りそのあとロボット先生は九美の自宅に電話をかけた。
「もしもし」
九美のお母さんが出て事情を説明すると切実にロボット先生に話す。
いじめにあったこと、その事で不良になったこと、母としてどうすれば良いのか分からずそれでもいつか立ち直ってくれると信じてあえて何も言わずにいたが、押さえきれず途中で泣き崩れてしまう。
「九美さんのお母さん、貴重なお話ありがとうございました。決してこのことを無駄にせぬようにいたしますので、では失礼しました」
そのあと校長先生の元に向かう等、走りまわるロボット先生······。
――次の日お昼休みには秋から九美のことを訊き放課後の彼女を待つが、
「先生どうですか?」
「ふ~む、残念ですが九美さんは来てませんね」
「そんな」
「とりあえず私はいつも通り、ここでお掃除しながら待ってます」
だが結局彼女の姿を見る事はかなわなかった。
「――先生、今週九美来なかったですね」
いつも下校する時間に箒で掃除しているロボット先生、
「そうですね。やはり私は言いすぎだったようですね」
それでも九美が来る方向を眺めていた。
「先生······」
「おうっ、秋」両手を頭の後ろに付け口笛をする帰りの高弘。
「またあの遠藤のことか?」
「そうよ、今週とうとう来なかったの九美」
「ふ~ん、なら遠藤ん家に行けば良いじゃん」
「そうかっ!」
思いつきの一言にナイスと思った秋だがロボット先生は、
「そうしたいのですが、私は学校を離れられないのです」
「え、なんで?」
「ロボットですから、そういう決まりなのです」
「じゃあ――あたし行きます、ロボット先生」
「ですが」
「あたしも九美ともっと話したいし」
良いきっかけだと秋は思う。
「分かりました。くれぐれも無理しないでくださいね」
ロボット先生の許可を貰い明日にも九美の家に行って見ることに······。
「おいっ、肩に当たったぞっ!」
「あっ、すいません」
謝ってきた相手は高校2年になっていた秋だった。変わらない容姿の秋にすぐ気が付いた九美は、
「先輩······」
「え?」
つい声が出てしまったが九美は自分のことに気付いていないと感じ、
「ふんっ」帰ろうとした。
「九美――なの?」
止まって振り向き、
「よう先輩、そっ、九美だけど、何?」
「変わったね」
「それだけ? じゃね」そう言って去る。
この時秋はショックを受けた。
自分のせいなのか、それとも不良に憧れでもしたのか、考えるほど悲しさが込み上げ九美との遠い距離を感じてしまう······。
秋と会った九美、自分の家で布団に入り天井を見て思い出す。
「もう遅いんだよ、何もかも」
そしてずっとスマホに残っていた秋のLINEを、消す。
「もうあたしは1人なんだ!」自分に言い聞せ彼女との決別を決意した。
それからは交流はなくすれ違いたまに秋が挨拶をしても無視するそんな日々······。
――6月現在、パールを不良の3人で絡み厳重注意を受けた九美は変わらず高校の近くを歩きスマホしていた。するとき決まって、
「おや、九美さんこんにちは」
いつもいつも九美を見かけては、話しかけてくるロボット先生、
「九美さん、どうですか学校に来てみては」「毎回毎回うるせえなロボ先は! ふんっ」
イラつく彼女は、
「おらどけっ!」っと走り去る。
「先生、何かあったんですか?」
昇降口から見えたので来た秋、
「また九美さんに怒らしてしまいまして」
「どうして九美は、いつも下校の時に学校をうろついているんですかね」
ふと昔の彼女を思い出すと寂しくなる。
「分かりませんが学校に来たいという気持ちはあると思うのですが······秋さん」
「はい」
「秋さんは、九美さんの友達ですか?」
「中学の時の後輩で友達、でした」
目線が下がり眉に皺を寄せ言う。
「そうですか、明日よろしければ秋さんの分かる範囲で良いので九美さんのことを教えて頂きたいのですが、どうですか?」
「良いですよ」
「ありがとう秋さん」
秋を見送りそのあとロボット先生は九美の自宅に電話をかけた。
「もしもし」
九美のお母さんが出て事情を説明すると切実にロボット先生に話す。
いじめにあったこと、その事で不良になったこと、母としてどうすれば良いのか分からずそれでもいつか立ち直ってくれると信じてあえて何も言わずにいたが、押さえきれず途中で泣き崩れてしまう。
「九美さんのお母さん、貴重なお話ありがとうございました。決してこのことを無駄にせぬようにいたしますので、では失礼しました」
そのあと校長先生の元に向かう等、走りまわるロボット先生······。
――次の日お昼休みには秋から九美のことを訊き放課後の彼女を待つが、
「先生どうですか?」
「ふ~む、残念ですが九美さんは来てませんね」
「そんな」
「とりあえず私はいつも通り、ここでお掃除しながら待ってます」
だが結局彼女の姿を見る事はかなわなかった。
「――先生、今週九美来なかったですね」
いつも下校する時間に箒で掃除しているロボット先生、
「そうですね。やはり私は言いすぎだったようですね」
それでも九美が来る方向を眺めていた。
「先生······」
「おうっ、秋」両手を頭の後ろに付け口笛をする帰りの高弘。
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「そうよ、今週とうとう来なかったの九美」
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「そうかっ!」
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「そうしたいのですが、私は学校を離れられないのです」
「え、なんで?」
「ロボットですから、そういう決まりなのです」
「じゃあ――あたし行きます、ロボット先生」
「ですが」
「あたしも九美ともっと話したいし」
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