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第1章 追放、逃走、サバイバル
チェチーリアは修道院に着いたかしら?
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修道院には、屋敷を出て数日の道中で、とくに問題なく本日の夕刻に着くことができました。
一人ではありませんでした。
見張り、という事で、レオン様直属の近衛兵が付いてきたのです。馬車の中で、見張りの彼とは会話らしい会話もなく、無言で気まずく過ごしました。
時々彼がわたくしを見ていることは知っていましたが、気づかないふりをしました。でもやはり、居心地が悪いものですね。
修道院は質素なものでした。町からも離れた辺鄙な場所で、白いレンガで囲われていました。庭には薬草があるだけ。
着いて、彼はわたしの荷物を運び始めました。とはいえ、必要なものだけを詰めた小さなものでしたけれど。
旅の準備は手間取りませんでした。いつか来るであろう追放に備えて、ずっと用意していましたもの。
彼はそれから、見慣れない荷を持ち上げました。
「あら、わたくしの荷物ではございませんわ」
もしかして、お姉様の荷を間違えて持ってきてしまったのでしょうか?
でもお姉様が逃げたことは我が家だけの秘密なので、それをこの彼に言うわけにはいきません。
しかし、返ってきた返答は意外なものでした。
「これはオレの荷だ」
「ええ!? あなたの!?」
彼が頷くので、思わずまた言ってしまいました。
「どうしてあなたの分の荷があるんですの!? もしかして、あなたもここに住むとか!?」
まさかそんなことがあるわけない。
でも彼はまた頷きました。
「バっ……!」
言いかけた口を慌てて塞ぎ、心で叫びました。
そんなバカな……!
彼――グレイ・ベルガモットはレオン様の護衛を務める人で、伯爵家の長男でもある方でございます。王家からの信頼は厚く、学園でレオン様といつも行動を共にしているご学友のお一人です。
あの追放された日、広場でわたくしを捕らえたのも彼でした。それくらい頼りにされているのです。
――というのは表の顔。
実は、乙女ゲーム「ロスト・ロマン」いう蒸気あふれるロマン主義の開花を描いた学園ストーリーの攻略対象の一人です。
キャラ設定としては、熱血、硬派、といったところでしょうか。
通称LRと呼ばれるそのゲームでは戦争と反乱が起こる国を舞台に、個人と国家で揺れる青年たちを次々に攻略していくという割とハードなストーリーものですわ。
ゲーム全体のストーリーは、敵対する国のスパイが密かに国家転覆をもくろもうとしていたのを、たまたま証拠を見つけたヒロインが止める、というものです。
徐々に謎を解いていく展開がすごく面白いのですわ。攻略キャラたちも美しいし……。
実は隠しキャラなるものもいるらしく、そのルートで黒幕もはっきりするようなのです。全てのキャラを攻略した後に攻略可能になる人物で、わたくしはそれを知る一歩手前で元の世界で死んでしまったので、ついに誰か知らないままでした。
まあ、この世界でも、きっと無事にヒロインのミーア嬢が事件を解決してくれるのでしょう。わたくしの知ったことではございませんわ。
今はこっちの問題を解決しなくては。
わたくしは、荷を運ぶグレイに言いました。
「それは、わたくしを見張れというレオン様のご命令によるものですか?」
「命令は確かにそうだが、オレは自分から志願した」
「まあ」
忠誠心がございますこと!
……ちなみに、このグレイは確か伯爵長男としてそつない行動をしろという厳しい両親に育てられ、レールに敷かれた人生に疑問を持っていたはずですわ。
一見クールなグレイが徐々にでれていくのがたまらないのです。
が、こうして対面していると、ときめきのかけらもないものですわね。
特に、どちらかと言えば敵対している今であればなおさらです。
わたくしがなぜこんなこと知っているかと言うと、前世でそれをプレイしていたからです。
……前世。
それを信じてくれた人は今世では誰一人いません。
でもわたくしは確信しています。なぜならわたくし自身がそのゲームの、いわゆる“悪役令嬢”になってしまったんですから。
チェチーリア・クオーレツィオーネ。
それはレオン王子の婚約者であり、ヒロインをあの手この手で邪魔をするいけ好かないご令嬢の名。
はあ。
悪役令嬢に転生なんてWEB小説の中だけだと思っていましたわ。
でも現実は厳しいもので、悪役令嬢に転生してもなぜかレオン様がわたくしを好きになるとか、他の攻略対象が守ってくれるとか、ヒロインといちゃいちゃとか、別の国の王子が溺愛してくれるとか、そんな展開はまったくなく……。
ただただシナリオ通りに追放されて終わりましたわ。もちろん追放後、教会改革なんてするわけもなく、きっと質素な生活か待っているに違いありません。
しかし、問題はそれだけではありません。
その黒幕に操られていた表向きの犯人。
基本的にどのルートでも、その犯人を捕まえてハッピーエンドになるその方の名は……。
ああ、それはカルロ・クオーレツィオーネ!
お父様です!
ならきっと、お父様も今頃捕まえられているのでしょう。かわいそうですが、どうしようもありません。
冷たいと思いますか? でもわたくし、これでも頑張ったんですの。
小さい頃は追放が恐ろしくて、何度もお父様とお姉様に訴えたけれど聞く耳を持たれませんでした。それから何度もシナリオを変えたくて、いろいろ行動をしました。
人に優しくしましたし、進んで善行をしました。学園に入るのを拒否して泣いたし、ひそかに黒幕を調べもしました(ちなみに見当もつきません)。
もちろん、ミーア嬢にも嫌がらせなんてしていません。
レオン様とも……仲良くなりましたし、信頼関係を築けたものと思っていました。彼なら、きっとわたくしを助けてくれると思うほどに、信じていました。
いいえ、正直に言うと、叶うはずないと諦めつつも恋をしていました。このまま、彼と結婚できたら幸せだろうと、夢のようなことを思っていました。
でも、全部、無駄でしたわ。
結局、全てシナリオの通りに進んでしまいました。どんなにあらがっても、決められた運命には逆らえないのです。
わたくしも、今は受け入れました。
頑張るのに、疲れてしまいました。
諦めるしかありません。
でも。
頑張った甲斐あって(?)、シナリオとは違う点もありました。
一つ、追放はゲームであれば三年生の最後の卒業パーティに起こるはずが、実際は一年生のホームカミングデーでした。まあこれは、早まっただけなので大した違いではないでしょう。
もう一つ……これは大きな違いです。お姉様がわたくしをかばってくださったこと。
お姉様とは小さい時はよく遊びましたけど、次第に話さなくなってしまいました。
わたくしたちは仲の良い姉妹ではありませんでした。気高く、いつも自信満々で曲がったことが嫌いなお姉様は、ヘンなことばかり言っていると、わたくしを嫌っているそぶりさえしていましたから。
でも、そんな彼女がわたくしを信じてくれたこと、とても嬉しかったのです。もしかしたら、運命が変わるかも、と一瞬信じてしまうほどに。
……落ち着いたら、お姉様に手紙を書きましょう。今頃おばさまの家に着いたでしょうか?
と考えていると、グレイの視線を感じました。
彼を自然、見上げる形になってしまいます。
髪を短めにしていて、そういえばファンの間では「ウニ」という愛称で親しまれていたことを思い出します。
「わたくしが妙な真似をすると思っているんですのね?」
「確かに、それは思うが……。あなたはいつも変な発言ばかりするから」
「ご心配なさらなくても、何もしません。学園に帰ってもいいのですわよ?」
「いや。あなたが一人でこんな場所にいるのを放っておけない」
「なぜですの?」
「それはあなたのことが好……い、いや、心配しているんだ」
心配? それはどういった類いのものでしょうか。
わたくしは国に反乱なんてしません。
そもそもしてませんけど、修道院からではミーア嬢に悪さもできません。
それでも悪事を働くと心配されるなんて、少々心外です。
なら、ここで真面目に働いて、わたくしが悪い人間ではないことを示しましょうか。そうすれば、ウニ……じゃなかった、グレイは帰るでしょう。
夕陽のせいか、赤く見える彼の顔を見ながらそう決意をいたしました。
一人ではありませんでした。
見張り、という事で、レオン様直属の近衛兵が付いてきたのです。馬車の中で、見張りの彼とは会話らしい会話もなく、無言で気まずく過ごしました。
時々彼がわたくしを見ていることは知っていましたが、気づかないふりをしました。でもやはり、居心地が悪いものですね。
修道院は質素なものでした。町からも離れた辺鄙な場所で、白いレンガで囲われていました。庭には薬草があるだけ。
着いて、彼はわたしの荷物を運び始めました。とはいえ、必要なものだけを詰めた小さなものでしたけれど。
旅の準備は手間取りませんでした。いつか来るであろう追放に備えて、ずっと用意していましたもの。
彼はそれから、見慣れない荷を持ち上げました。
「あら、わたくしの荷物ではございませんわ」
もしかして、お姉様の荷を間違えて持ってきてしまったのでしょうか?
でもお姉様が逃げたことは我が家だけの秘密なので、それをこの彼に言うわけにはいきません。
しかし、返ってきた返答は意外なものでした。
「これはオレの荷だ」
「ええ!? あなたの!?」
彼が頷くので、思わずまた言ってしまいました。
「どうしてあなたの分の荷があるんですの!? もしかして、あなたもここに住むとか!?」
まさかそんなことがあるわけない。
でも彼はまた頷きました。
「バっ……!」
言いかけた口を慌てて塞ぎ、心で叫びました。
そんなバカな……!
彼――グレイ・ベルガモットはレオン様の護衛を務める人で、伯爵家の長男でもある方でございます。王家からの信頼は厚く、学園でレオン様といつも行動を共にしているご学友のお一人です。
あの追放された日、広場でわたくしを捕らえたのも彼でした。それくらい頼りにされているのです。
――というのは表の顔。
実は、乙女ゲーム「ロスト・ロマン」いう蒸気あふれるロマン主義の開花を描いた学園ストーリーの攻略対象の一人です。
キャラ設定としては、熱血、硬派、といったところでしょうか。
通称LRと呼ばれるそのゲームでは戦争と反乱が起こる国を舞台に、個人と国家で揺れる青年たちを次々に攻略していくという割とハードなストーリーものですわ。
ゲーム全体のストーリーは、敵対する国のスパイが密かに国家転覆をもくろもうとしていたのを、たまたま証拠を見つけたヒロインが止める、というものです。
徐々に謎を解いていく展開がすごく面白いのですわ。攻略キャラたちも美しいし……。
実は隠しキャラなるものもいるらしく、そのルートで黒幕もはっきりするようなのです。全てのキャラを攻略した後に攻略可能になる人物で、わたくしはそれを知る一歩手前で元の世界で死んでしまったので、ついに誰か知らないままでした。
まあ、この世界でも、きっと無事にヒロインのミーア嬢が事件を解決してくれるのでしょう。わたくしの知ったことではございませんわ。
今はこっちの問題を解決しなくては。
わたくしは、荷を運ぶグレイに言いました。
「それは、わたくしを見張れというレオン様のご命令によるものですか?」
「命令は確かにそうだが、オレは自分から志願した」
「まあ」
忠誠心がございますこと!
……ちなみに、このグレイは確か伯爵長男としてそつない行動をしろという厳しい両親に育てられ、レールに敷かれた人生に疑問を持っていたはずですわ。
一見クールなグレイが徐々にでれていくのがたまらないのです。
が、こうして対面していると、ときめきのかけらもないものですわね。
特に、どちらかと言えば敵対している今であればなおさらです。
わたくしがなぜこんなこと知っているかと言うと、前世でそれをプレイしていたからです。
……前世。
それを信じてくれた人は今世では誰一人いません。
でもわたくしは確信しています。なぜならわたくし自身がそのゲームの、いわゆる“悪役令嬢”になってしまったんですから。
チェチーリア・クオーレツィオーネ。
それはレオン王子の婚約者であり、ヒロインをあの手この手で邪魔をするいけ好かないご令嬢の名。
はあ。
悪役令嬢に転生なんてWEB小説の中だけだと思っていましたわ。
でも現実は厳しいもので、悪役令嬢に転生してもなぜかレオン様がわたくしを好きになるとか、他の攻略対象が守ってくれるとか、ヒロインといちゃいちゃとか、別の国の王子が溺愛してくれるとか、そんな展開はまったくなく……。
ただただシナリオ通りに追放されて終わりましたわ。もちろん追放後、教会改革なんてするわけもなく、きっと質素な生活か待っているに違いありません。
しかし、問題はそれだけではありません。
その黒幕に操られていた表向きの犯人。
基本的にどのルートでも、その犯人を捕まえてハッピーエンドになるその方の名は……。
ああ、それはカルロ・クオーレツィオーネ!
お父様です!
ならきっと、お父様も今頃捕まえられているのでしょう。かわいそうですが、どうしようもありません。
冷たいと思いますか? でもわたくし、これでも頑張ったんですの。
小さい頃は追放が恐ろしくて、何度もお父様とお姉様に訴えたけれど聞く耳を持たれませんでした。それから何度もシナリオを変えたくて、いろいろ行動をしました。
人に優しくしましたし、進んで善行をしました。学園に入るのを拒否して泣いたし、ひそかに黒幕を調べもしました(ちなみに見当もつきません)。
もちろん、ミーア嬢にも嫌がらせなんてしていません。
レオン様とも……仲良くなりましたし、信頼関係を築けたものと思っていました。彼なら、きっとわたくしを助けてくれると思うほどに、信じていました。
いいえ、正直に言うと、叶うはずないと諦めつつも恋をしていました。このまま、彼と結婚できたら幸せだろうと、夢のようなことを思っていました。
でも、全部、無駄でしたわ。
結局、全てシナリオの通りに進んでしまいました。どんなにあらがっても、決められた運命には逆らえないのです。
わたくしも、今は受け入れました。
頑張るのに、疲れてしまいました。
諦めるしかありません。
でも。
頑張った甲斐あって(?)、シナリオとは違う点もありました。
一つ、追放はゲームであれば三年生の最後の卒業パーティに起こるはずが、実際は一年生のホームカミングデーでした。まあこれは、早まっただけなので大した違いではないでしょう。
もう一つ……これは大きな違いです。お姉様がわたくしをかばってくださったこと。
お姉様とは小さい時はよく遊びましたけど、次第に話さなくなってしまいました。
わたくしたちは仲の良い姉妹ではありませんでした。気高く、いつも自信満々で曲がったことが嫌いなお姉様は、ヘンなことばかり言っていると、わたくしを嫌っているそぶりさえしていましたから。
でも、そんな彼女がわたくしを信じてくれたこと、とても嬉しかったのです。もしかしたら、運命が変わるかも、と一瞬信じてしまうほどに。
……落ち着いたら、お姉様に手紙を書きましょう。今頃おばさまの家に着いたでしょうか?
と考えていると、グレイの視線を感じました。
彼を自然、見上げる形になってしまいます。
髪を短めにしていて、そういえばファンの間では「ウニ」という愛称で親しまれていたことを思い出します。
「わたくしが妙な真似をすると思っているんですのね?」
「確かに、それは思うが……。あなたはいつも変な発言ばかりするから」
「ご心配なさらなくても、何もしません。学園に帰ってもいいのですわよ?」
「いや。あなたが一人でこんな場所にいるのを放っておけない」
「なぜですの?」
「それはあなたのことが好……い、いや、心配しているんだ」
心配? それはどういった類いのものでしょうか。
わたくしは国に反乱なんてしません。
そもそもしてませんけど、修道院からではミーア嬢に悪さもできません。
それでも悪事を働くと心配されるなんて、少々心外です。
なら、ここで真面目に働いて、わたくしが悪い人間ではないことを示しましょうか。そうすれば、ウニ……じゃなかった、グレイは帰るでしょう。
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