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第五章 夢見る少女は夢から醒める
訃報を告げられ、妹は嗤う
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もう会えないと思っていた妹に、ロキシーが会いに行ったのは、父の葬儀の報告をするためだった。レットの知人を通じて、訃報は既に伝えていたが、彼女からの反応はなかった。
会いたい、と手紙を出すと、驚くほどすんなりと返事があった。
――ぜひ会いにいらして。
懐かしい、彼女の丸い文字で日付と時間が書かれていた。忙しいから、その日しか空かないと添えられている。父の死から、二週間も経った日だ。
「私も一緒に」
そう言い出したレットに答える。
「こう言っちゃなんだけど、モニカは嫌がるんじゃないかしら? だって、あの子が怒った原因の二人が同時に一緒に会いに行くなんて」
「では城まで行かせてください」
引き下がる彼の申し出を、断るほど鬼ではなかった。
城に着くと、庭の外れにある小さな宮殿に案内された。そこが彼女の宮らしい。覚えはあった。かつての世界で自分が使っていたものだったからだ。
だが内装は、モニカの世界に塗り替えられていた。少女の好む、かわいらしい装飾が、むせ返りそうなほどに溢れている。
客間に通されてもなお、緊張は収まらない。どんな声をかければいい。
久しぶりね、実はお父様が。
手紙を書いたんだけど、読んだかしら。
元気だった?
気の利いた言葉は浮かんでこない。
やがて物音がして、すぐに彼女が現れる。
「ロキシー! いらっしゃい!」
美しいドレスに身を包んだ、以前よりも可憐さに磨きのかかったモニカが満面の笑みを浮かべてそこにいた。傍には侍女を侍らせる。
あの日燃えるような怒りを噴出させていたことなど忘れているかのようだ。
彼女の演技を、ロキシーは未だ見破れない。ただ表面の笑顔と、内面の感情が結びつかないときがあるということだけは知っていた。
「モニカ……」
いろいろと考えていた言葉は、一つも出てこなかった。ロキシーを上から下まで一瞥したモニカは笑う。
「やつれたんじゃないの? レットの稼ぎが少ないから、ちゃんとご飯を食べさせてもらってないんでしょう?」
麗しの姫と、片やどちらかと言えば、地味な町娘。並んでいるのもおかしなほどだ。
「……モニカ、まずは会ってくれてありがとう。お礼を言うわ」
にこりと微笑みモニカは言う。
「当り前よ。だって、姉妹だったじゃないの」
かつて一緒に暮らした日々は、もうモニカの中では終わったことらしい。愛情も、怒りも、もう抱いてはいないのだろうか。
遠く離れた過去を思いながらも、今日来た目的を告げる。
「あのね、モニカ。伝言をお願いしたんだけど、伝わっていなかったみたいで。……どうか落ち着いて聞いてね」
言葉にしようとして、つかえた。父がいないという事実が胸にのしかかる。だけど、言わなければ。
「お父様が、亡くなったの」
「知ってるわ」
即座に答えたモニカの顔を、思わず凝視する。
彼女の笑みは、少しも崩れない。
「え……」
「だって、伝言をくれたじゃないの」
「伝わってたの? きちんと?」
まるで責めるような言い方になってしまう。
モニカが父の死を知りながら、葬儀に来なかったことも、手紙すらなかったことも信じられなかった。モニカも、父を愛していたはずだから。
モニカの声は柔らかく響く。
「お葬式に出るのはおかしいわ。だって、オリバー・ファフニールは、わたくしの父親じゃないもの」
「だけど、育ててくれた大切な人よ」
「わたくしを捨てたのに?」
思わず言葉を失う。
何も許してはいなかった。当たり前だ。泣き叫ぶモニカを、置き去りにしたのだから。
「結局、あの人の死の運命は、少し伸びただけだったのね」
そう言って、モニカは息を吐きだした。
「ねえ、ロキシー。もうこうして会いに来てはダメよ? だってわたくしは、みんなの王女様なんだもの。よく考えてみて? あなただけを特別扱いできないでしょう」
見つめてくる大きな瞳は穏やかだが、断固とした否定が浮かんでいた。
「これで世界は正しくなったのよ。わたくしは王女となって、あなたはただの、町娘。初めから、側にいるのがおかしかったと思わない?」
おかしさも、正しさもロキシーには分からない。
だがモニカと二人、支え合って生きていた事実は存在していた。存在していた以上、無視はできない。
オリバーのこともそうだ。父は確かに生きていて、そして死んだ。
初めから、これだけは伝えようと思っていたことを、口にする。
「お父様は、最期にあなたへ謝っていたわ。それだけは、せめて知っていてほしい」
「分かったわ。教えてくれて、どうもありがとう」
やはりモニカの表情に、少しの変化も現れない。
――短い再会は、そうして終わった。
レットの待つ場所へ向かいながら、ロキシーは思う。
(何を期待していたっていうの)
モニカを絶望に叩き落したのはロキシーとオリバーだ。
距離を置けば、互いの苦しみがなくなると思ったのだ。だが、心は思った以上に離れてしまった。
燃え盛るような怒りが去ったとしても、凍てついた心が残っただけだ。結局、元の関係には戻れない。また笑い合える日々は永遠に訪れないのだ。
「ロクサーナ!」
城の庭を横切ったところで、呼び止められた。
「ロイ様」
生垣の奥から現れたのは、王クリフの側近、ロイ・スタンリーだ。心なしか、いつにも増して厳しい表情をしている。
「モニカ様とお会いできたか?」
どうやら今日、ロキシーが城を訪れると知っていて待っていたらしい。
頷くと彼は声を落とした。
「陛下の話をしたか?」
今度は首を横に振った。
「いいえ、クリフ陛下の話はなにも」
交わした会話さえ、ここで再現ができそうなほど少ない。クリフの話をする時間などなかった。
「なぜそんなことをお尋ねに?」
当然の疑問だ。だがロイは、しばらく黙り、そして言いにくそうに口を開いた。
「君だから言うが、実は……臥せっておられる」
「まさか!」
衝撃が走った。
モニカは、オリバーの死が伸びただけだと言っていた。結局は決められた結末に収束するのが運命なのだとしたら、クリフもまた、命を失うことになるのだろうか。
「前王と、同じ病なのではないかという話もあるんだ。……すまない、こんなことを言って。まだ宮中の人間すらほとんど知らない話だ。もしやモニカ様が、信頼する君に、何か話したのではないかと思ったが」
「何かって、なんです?」
ロイは目を伏せた。
「いや、なんでもない。忘れてくれ――」
「もし、わたしにできることがあるなら、何だってしますわ。おっしゃってください」
ああ、とロイは頷く。
分かっている、ロキシーにできることなど何もない。
レットは城の中庭にいた。ベンチに腰かけていた彼は、ロキシーを見ると立ち上がり、申し訳なさそうに言った。
「知り合いに会ってから戻ろうかと。一人で帰れますか? なんだったら、用が済むまでお待ちください」
「平気よ、子供じゃないんだから」
「馬車を使ってください。近頃、治安が良くないですから。……さっき話していたのはロイ・スタンリーですか?」
見ていたらしい。
「ええ。昔からの知り合いで」
「どんな話を?」
「他愛もないことよ」
「変なことを言われませんでした? よく知らない大人を、あまり信用しない方がいい」
「ねえわたし、本当にもう子供じゃないのよ」
親でもないのに、彼はやや過保護だ。自分の頭で考えることくらい、少しはできる。
レットはまだ言いたいことはありそうだったが、諦めたようだ。
「帰ったら、一緒に夕食を」
「ええ。楽しみだわ」
微笑むと、レットの瞳が見開かれた。
そして次の瞬間、唇に、彼の唇が触れる。あっという間のことだった。
ロキシーは驚く。
一緒に暮らしているにも関わらず、あの日以来、キスなどしなかったからだ。しかしレットもまた、自分のしたことに驚いているようだ。片手で口を抑え、目を見張っていた。
「すみません」
「う、ううん――」
静寂が、二人を取り巻いた。
「なんという真似を。紳士ではなかった」
レットが口を開く。
「いいのよ」
「いいんですか?」
彼が再び近づいたので、慌てて後ろに下がる。
「いいっていうのは、そういう意味じゃなくて。その、急には、よくはないわ」
「前もって宣言すればいいのですか?」
「そうじゃないったら! もう、からかってるの?」
「いいえ。本気です」
「嘘ばっかり!」
怒ると、彼が笑う。
彼にとってはキスなんて、挨拶くらいの感覚なのかもしれない。
「家で待っていてください。すぐに私も帰りますから」
――だがその日、結局彼が帰ったのは、深夜を回ってからだった。
会いたい、と手紙を出すと、驚くほどすんなりと返事があった。
――ぜひ会いにいらして。
懐かしい、彼女の丸い文字で日付と時間が書かれていた。忙しいから、その日しか空かないと添えられている。父の死から、二週間も経った日だ。
「私も一緒に」
そう言い出したレットに答える。
「こう言っちゃなんだけど、モニカは嫌がるんじゃないかしら? だって、あの子が怒った原因の二人が同時に一緒に会いに行くなんて」
「では城まで行かせてください」
引き下がる彼の申し出を、断るほど鬼ではなかった。
城に着くと、庭の外れにある小さな宮殿に案内された。そこが彼女の宮らしい。覚えはあった。かつての世界で自分が使っていたものだったからだ。
だが内装は、モニカの世界に塗り替えられていた。少女の好む、かわいらしい装飾が、むせ返りそうなほどに溢れている。
客間に通されてもなお、緊張は収まらない。どんな声をかければいい。
久しぶりね、実はお父様が。
手紙を書いたんだけど、読んだかしら。
元気だった?
気の利いた言葉は浮かんでこない。
やがて物音がして、すぐに彼女が現れる。
「ロキシー! いらっしゃい!」
美しいドレスに身を包んだ、以前よりも可憐さに磨きのかかったモニカが満面の笑みを浮かべてそこにいた。傍には侍女を侍らせる。
あの日燃えるような怒りを噴出させていたことなど忘れているかのようだ。
彼女の演技を、ロキシーは未だ見破れない。ただ表面の笑顔と、内面の感情が結びつかないときがあるということだけは知っていた。
「モニカ……」
いろいろと考えていた言葉は、一つも出てこなかった。ロキシーを上から下まで一瞥したモニカは笑う。
「やつれたんじゃないの? レットの稼ぎが少ないから、ちゃんとご飯を食べさせてもらってないんでしょう?」
麗しの姫と、片やどちらかと言えば、地味な町娘。並んでいるのもおかしなほどだ。
「……モニカ、まずは会ってくれてありがとう。お礼を言うわ」
にこりと微笑みモニカは言う。
「当り前よ。だって、姉妹だったじゃないの」
かつて一緒に暮らした日々は、もうモニカの中では終わったことらしい。愛情も、怒りも、もう抱いてはいないのだろうか。
遠く離れた過去を思いながらも、今日来た目的を告げる。
「あのね、モニカ。伝言をお願いしたんだけど、伝わっていなかったみたいで。……どうか落ち着いて聞いてね」
言葉にしようとして、つかえた。父がいないという事実が胸にのしかかる。だけど、言わなければ。
「お父様が、亡くなったの」
「知ってるわ」
即座に答えたモニカの顔を、思わず凝視する。
彼女の笑みは、少しも崩れない。
「え……」
「だって、伝言をくれたじゃないの」
「伝わってたの? きちんと?」
まるで責めるような言い方になってしまう。
モニカが父の死を知りながら、葬儀に来なかったことも、手紙すらなかったことも信じられなかった。モニカも、父を愛していたはずだから。
モニカの声は柔らかく響く。
「お葬式に出るのはおかしいわ。だって、オリバー・ファフニールは、わたくしの父親じゃないもの」
「だけど、育ててくれた大切な人よ」
「わたくしを捨てたのに?」
思わず言葉を失う。
何も許してはいなかった。当たり前だ。泣き叫ぶモニカを、置き去りにしたのだから。
「結局、あの人の死の運命は、少し伸びただけだったのね」
そう言って、モニカは息を吐きだした。
「ねえ、ロキシー。もうこうして会いに来てはダメよ? だってわたくしは、みんなの王女様なんだもの。よく考えてみて? あなただけを特別扱いできないでしょう」
見つめてくる大きな瞳は穏やかだが、断固とした否定が浮かんでいた。
「これで世界は正しくなったのよ。わたくしは王女となって、あなたはただの、町娘。初めから、側にいるのがおかしかったと思わない?」
おかしさも、正しさもロキシーには分からない。
だがモニカと二人、支え合って生きていた事実は存在していた。存在していた以上、無視はできない。
オリバーのこともそうだ。父は確かに生きていて、そして死んだ。
初めから、これだけは伝えようと思っていたことを、口にする。
「お父様は、最期にあなたへ謝っていたわ。それだけは、せめて知っていてほしい」
「分かったわ。教えてくれて、どうもありがとう」
やはりモニカの表情に、少しの変化も現れない。
――短い再会は、そうして終わった。
レットの待つ場所へ向かいながら、ロキシーは思う。
(何を期待していたっていうの)
モニカを絶望に叩き落したのはロキシーとオリバーだ。
距離を置けば、互いの苦しみがなくなると思ったのだ。だが、心は思った以上に離れてしまった。
燃え盛るような怒りが去ったとしても、凍てついた心が残っただけだ。結局、元の関係には戻れない。また笑い合える日々は永遠に訪れないのだ。
「ロクサーナ!」
城の庭を横切ったところで、呼び止められた。
「ロイ様」
生垣の奥から現れたのは、王クリフの側近、ロイ・スタンリーだ。心なしか、いつにも増して厳しい表情をしている。
「モニカ様とお会いできたか?」
どうやら今日、ロキシーが城を訪れると知っていて待っていたらしい。
頷くと彼は声を落とした。
「陛下の話をしたか?」
今度は首を横に振った。
「いいえ、クリフ陛下の話はなにも」
交わした会話さえ、ここで再現ができそうなほど少ない。クリフの話をする時間などなかった。
「なぜそんなことをお尋ねに?」
当然の疑問だ。だがロイは、しばらく黙り、そして言いにくそうに口を開いた。
「君だから言うが、実は……臥せっておられる」
「まさか!」
衝撃が走った。
モニカは、オリバーの死が伸びただけだと言っていた。結局は決められた結末に収束するのが運命なのだとしたら、クリフもまた、命を失うことになるのだろうか。
「前王と、同じ病なのではないかという話もあるんだ。……すまない、こんなことを言って。まだ宮中の人間すらほとんど知らない話だ。もしやモニカ様が、信頼する君に、何か話したのではないかと思ったが」
「何かって、なんです?」
ロイは目を伏せた。
「いや、なんでもない。忘れてくれ――」
「もし、わたしにできることがあるなら、何だってしますわ。おっしゃってください」
ああ、とロイは頷く。
分かっている、ロキシーにできることなど何もない。
レットは城の中庭にいた。ベンチに腰かけていた彼は、ロキシーを見ると立ち上がり、申し訳なさそうに言った。
「知り合いに会ってから戻ろうかと。一人で帰れますか? なんだったら、用が済むまでお待ちください」
「平気よ、子供じゃないんだから」
「馬車を使ってください。近頃、治安が良くないですから。……さっき話していたのはロイ・スタンリーですか?」
見ていたらしい。
「ええ。昔からの知り合いで」
「どんな話を?」
「他愛もないことよ」
「変なことを言われませんでした? よく知らない大人を、あまり信用しない方がいい」
「ねえわたし、本当にもう子供じゃないのよ」
親でもないのに、彼はやや過保護だ。自分の頭で考えることくらい、少しはできる。
レットはまだ言いたいことはありそうだったが、諦めたようだ。
「帰ったら、一緒に夕食を」
「ええ。楽しみだわ」
微笑むと、レットの瞳が見開かれた。
そして次の瞬間、唇に、彼の唇が触れる。あっという間のことだった。
ロキシーは驚く。
一緒に暮らしているにも関わらず、あの日以来、キスなどしなかったからだ。しかしレットもまた、自分のしたことに驚いているようだ。片手で口を抑え、目を見張っていた。
「すみません」
「う、ううん――」
静寂が、二人を取り巻いた。
「なんという真似を。紳士ではなかった」
レットが口を開く。
「いいのよ」
「いいんですか?」
彼が再び近づいたので、慌てて後ろに下がる。
「いいっていうのは、そういう意味じゃなくて。その、急には、よくはないわ」
「前もって宣言すればいいのですか?」
「そうじゃないったら! もう、からかってるの?」
「いいえ。本気です」
「嘘ばっかり!」
怒ると、彼が笑う。
彼にとってはキスなんて、挨拶くらいの感覚なのかもしれない。
「家で待っていてください。すぐに私も帰りますから」
――だがその日、結局彼が帰ったのは、深夜を回ってからだった。
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