40 / 48
第9話 ひねくれ者
しおりを挟む
「レイズナー、私、あなたのこと好きよ」
廊下の奥からそんな声が聞こえ、私とお姉様は立ち止まった。
二人は角の向こう側にいて、こちらから姿は見えない。
「ヴィクトリカお姉様よりも、ずっとずっと愛してあげられるわ。ここだけの話だけど、お姉様はヒースをまだ愛しているの。あなたと別れたいってさっきも言っていたわ」
――そんなことない!
飛び出しそうになるのを、ルイサお姉様に腕を掴まれ止められる。
お姉様は囁くように言った。
「待ちなさいヴィクトリカ。様子を見ましょう。これで二人がどんな関係なのかはっきりします」
お姉様は残酷だ。もしレイズナーがポーリーナを好きだと言ったらどうするの。もうポーリーナの言葉だけで、こんなにも辛いのに。
「ポーリーナ様。誤解しないでいただきたい」
長い沈黙の後で、ぞっとするほど冷たい声がした。
今まで聞いたこともないレイズナーの声だった。
「あなたをここに置いているのは、ヴィクトリカが望んだからで、俺の意思ではない。勘違いをさせたなら謝るが、あなたへ優しくするのは、ヴィクトリカの妹だからで、好意故ではない。俺の妻はヴィクトリカただ一人で、愛する人も、彼女だけです」
思わず、顔を両手で覆った。
こんなに簡単に泣くなんてありないと思うけど、目からは、安堵の涙が滴った。
彼は私を愛している。ただそれだけが、分かれば良かった。
続いて、ポーリーナの声がした。
「ヴィクトリカお姉様は確かに美人よ? だけど美しさなら私の方が上だわ! だってお姉様は、女のくせに乗馬が好きだし、本を読んで勉強してばかりなのよ! 賢さをつけたって無駄なのに!」
焦っているような、そんな震える声色で――妹にそう思われていたなど少しも知らなかった私は、衝撃を受けていた。
「あなたに気高さはない。愛も、希望も、強い意志も、自分というものがまるでない。俺を愛しているだって? 冗談はよしていただきたい」
レイズナーの声に、少しずつ、怒りの感情が乗っていく。
「満たされない空の器を、ヴィクトリカから奪ったもので埋めようとしているだけだ。ヒースの次は俺か?
だが俺がこの命を懸けて守りたいと思う女は一人だけだ。それはあなたではない、ポーリーナ様」
「私の方が、ヴィクトリカよりずっと素敵よ!」
そして駆け寄るような足音がしたかと思うと、ばさりと、人が倒れる音がした。
「何をする!」
レイズナーの尋常じゃない声色に私とお姉様は彼らの前に姿を現した。
まず目に入ったのは、床に倒れるポーリーナと、自分の唇を拭うレイズナーの姿だった。
こちらに気がついたポーリーナは大きな目から涙を流しながら私たちに訴えかける。
「レイズナーに無理矢理キスされたの! ヴィクトリカお姉様に隠れて、関係を結ぼうとしたのよ!」
「この……!」
レイズナーが片手をポーリーナに向けるのが分かった。
「止めなさいレイブン!」
叫んだのはお姉様で、レイズナーは向けた片手を握りしめる。つかつかと、お姉様は二人に歩み寄って行った。
「どんな理由があろうとも、レイブン、あなたがこれからしようとすることは許されません。平民であるあなたが、王族に手を上げるなんて」
お姉様は、レイズナーがポーリーナに魔法で危害を加えると思ったらしい。
ついに二人の前まで行ったお姉様は、ポーリーナを助け起こす。安堵の表情を浮かべるポーリーナに、にこりと微笑みかけると言った。
「ですから、同じ王族であるこのわたくしが鉄槌を下しますわ」
次の瞬間、お姉様は大きく手を振りかぶり、ポーリーナの頬に容赦ない平手打ちをかました。ポーリーナは再び床に倒れる。
ポーリーナが口を開こうとする前に、お姉様のお叱りの声が響き渡る。
「ポーリーナ! あなた、自分が何をしているか分かっているの! 全て聞いていましたよ。言い訳など聞きません!」
そしてポーリーナを掴むと、レイズナーと私を交互に見た。
「来たばかりですが帰ります。ついでにこのわがままな妹を連れて行きますわ」
「嫌よ!」
ポーリーナはお姉様の腕を振りほどく。
「どうしてヴィクトリカお姉様ばかりが愛されるの!? お兄様もお姉様も、お父様とお母様だって、いつだってヴィクトリカ、ヴィクトリカって! 私だって、王女だわ! 同じ娘で妹なのよ! 何が違うって言うのよ!」
だがお姉様は、有無を言わせずポーリーナを立たせると、ほとんど無理矢理引っ張っていく。
去り際、レイズナーに目を向けた。
「レイブン、ヴィクトリカを頼みます」
「ヴィクトリカなんて大嫌い! 大嫌いだわ!」
泣き叫ぶポーリーナの声だけが、いつまでも響き渡っていた。
* * *
外国へと向かう馬車の中で、ルイサはようやく泣き止んだポーリーナに尋ねた。
「どうしてレイブンを誘惑しようとしたんです?」
「彼から迫ってきたのよ」
「ポーリーナ。まだそんなことを言うの?」
咎めると、ようやくポーリーナはため息をつく。
「レイズナーは愛を持っている人だわ。あんな瞳で、私も見つめられたかった。ヴィクトリカお姉様ばかり愛されてずるいわ」
「愛が欲しいのですか?」
ポーリーナは素直に頷いた。昔から、大泣きした後はしゅん、と落ち込む子だったことを、ルイサは思い出していた。
「私、お父様とお母様みたいな政略結婚は嫌なの。愛のある結婚をしたかった。ヒースもレイズナーも、ヴィクトリカお姉様を愛していると言っていたわ。だったら、私を愛してくれてもいいじゃない。私の方がもてるし美人よ。ずっと尽くすし、言うことだって何でも聞くのに!」
「我が妹ながら捻くれていますわね」
「だって! 皆いつだってヴィクトリカが一番じゃないの! 私だって愛されたい! 良い子にしていたのに!」
ルイサの心は痛んだ。自分たちの態度が、そう思わせてしまったのだ。おそらくは、彼女たちが知るはずもない理由によって。だけど二人の妹に注がれる愛情に、差はなかった。
「愛情は同じだけ与えられていたのですよ。ポーリーナ、わたくしだってあなたのことを、いつだって大切に思っているわ」
だがポーリーナは頑なだった。
「嘘よ。ずっと昔、私とヴィクトリカお姉様が一緒に木から落ちたとき――大した高さじゃなかったわ。せいぜい、一メートル程度。だけど皆、先に駆け寄ったのはヴィクトリカお姉様の方だった」
「そうですね――そう。そんなことも、あったわ」
ルイサもその時のことはよく覚えていた。
もし、何かの弾みで、ヴィクトリカが死んでしまったら。あるいは、大けがでもしたら。もちろん、彼女自身を案じる気持ちもあったが、ポーリーナよりも先に駆けつけたのは誰もが必死になって守り続けたこの国を、破壊してしまいかねないからだった。
「ヴィクトリカは、特別なんです。わたくしや、あるいはカーソンよりもずっと。あなたは生まれる前で、知るはずもないけれど……」
もう、潮時なのかもしれない。ヴィクトリカは城という庇護を出て、一人前の女性になった。
ポーリーナの心に永遠に消えない傷を作る前に、真実を話そう。
ルイサは、ヴィクトリカが生まれる前と、そして生まれた時のことを話した。話している間、ポーリーナの目が見開かれていく。
話終えたとき、ポーリーナはゆっくりと首を振った。
「あり得ないわ。そんなことが起きていたなんて。それ……ヴィクトリカお姉様は知っているの?」
「いいえ。知らないわ。知らせてしまって、絶望させてはいけないと、わたくしたちは誓ったから。知っているのは、今はもう、わたくしとカーソンだけ」
「私、知らなかったの。知らなかったのよ」
ポーリーナは、自分を抱きしめるように両腕を抱えた。
ルイサはそんな妹の肩を優しく抱く。
「それにね、ポーリーナ。始まりは政略結婚だとしても、そこに愛がなかったとは言えないわ。燃えるような愛ではなかったかもしれないけれど、お父様とお母様の間には、信頼があったでしょう?」
「二人は愛し合っていたというの?」
「じゃなきゃ、子供を四人も作らないわ」
中の子供を撫でるように、腹をさする。ポーリーナは、再びぐすぐすと涙を流した。
「今度会ったとき、ヴィクトリカお姉様に謝れるかしら。許してもらえるかしら」
「レイブンにも、謝らないとね?」
こくり、とポーリーナは頷いた。
そのおでこに、ルイサはキスをする。人の思いは複雑だ。愛していても、憎むことができる。そして、その逆もまたそうだ。
願わくば――誰もが幸せになれる世界があるとよい。
だがそれは、ヴィクトリカが生まれた時に永遠に失われてしまったのだ。
廊下の奥からそんな声が聞こえ、私とお姉様は立ち止まった。
二人は角の向こう側にいて、こちらから姿は見えない。
「ヴィクトリカお姉様よりも、ずっとずっと愛してあげられるわ。ここだけの話だけど、お姉様はヒースをまだ愛しているの。あなたと別れたいってさっきも言っていたわ」
――そんなことない!
飛び出しそうになるのを、ルイサお姉様に腕を掴まれ止められる。
お姉様は囁くように言った。
「待ちなさいヴィクトリカ。様子を見ましょう。これで二人がどんな関係なのかはっきりします」
お姉様は残酷だ。もしレイズナーがポーリーナを好きだと言ったらどうするの。もうポーリーナの言葉だけで、こんなにも辛いのに。
「ポーリーナ様。誤解しないでいただきたい」
長い沈黙の後で、ぞっとするほど冷たい声がした。
今まで聞いたこともないレイズナーの声だった。
「あなたをここに置いているのは、ヴィクトリカが望んだからで、俺の意思ではない。勘違いをさせたなら謝るが、あなたへ優しくするのは、ヴィクトリカの妹だからで、好意故ではない。俺の妻はヴィクトリカただ一人で、愛する人も、彼女だけです」
思わず、顔を両手で覆った。
こんなに簡単に泣くなんてありないと思うけど、目からは、安堵の涙が滴った。
彼は私を愛している。ただそれだけが、分かれば良かった。
続いて、ポーリーナの声がした。
「ヴィクトリカお姉様は確かに美人よ? だけど美しさなら私の方が上だわ! だってお姉様は、女のくせに乗馬が好きだし、本を読んで勉強してばかりなのよ! 賢さをつけたって無駄なのに!」
焦っているような、そんな震える声色で――妹にそう思われていたなど少しも知らなかった私は、衝撃を受けていた。
「あなたに気高さはない。愛も、希望も、強い意志も、自分というものがまるでない。俺を愛しているだって? 冗談はよしていただきたい」
レイズナーの声に、少しずつ、怒りの感情が乗っていく。
「満たされない空の器を、ヴィクトリカから奪ったもので埋めようとしているだけだ。ヒースの次は俺か?
だが俺がこの命を懸けて守りたいと思う女は一人だけだ。それはあなたではない、ポーリーナ様」
「私の方が、ヴィクトリカよりずっと素敵よ!」
そして駆け寄るような足音がしたかと思うと、ばさりと、人が倒れる音がした。
「何をする!」
レイズナーの尋常じゃない声色に私とお姉様は彼らの前に姿を現した。
まず目に入ったのは、床に倒れるポーリーナと、自分の唇を拭うレイズナーの姿だった。
こちらに気がついたポーリーナは大きな目から涙を流しながら私たちに訴えかける。
「レイズナーに無理矢理キスされたの! ヴィクトリカお姉様に隠れて、関係を結ぼうとしたのよ!」
「この……!」
レイズナーが片手をポーリーナに向けるのが分かった。
「止めなさいレイブン!」
叫んだのはお姉様で、レイズナーは向けた片手を握りしめる。つかつかと、お姉様は二人に歩み寄って行った。
「どんな理由があろうとも、レイブン、あなたがこれからしようとすることは許されません。平民であるあなたが、王族に手を上げるなんて」
お姉様は、レイズナーがポーリーナに魔法で危害を加えると思ったらしい。
ついに二人の前まで行ったお姉様は、ポーリーナを助け起こす。安堵の表情を浮かべるポーリーナに、にこりと微笑みかけると言った。
「ですから、同じ王族であるこのわたくしが鉄槌を下しますわ」
次の瞬間、お姉様は大きく手を振りかぶり、ポーリーナの頬に容赦ない平手打ちをかました。ポーリーナは再び床に倒れる。
ポーリーナが口を開こうとする前に、お姉様のお叱りの声が響き渡る。
「ポーリーナ! あなた、自分が何をしているか分かっているの! 全て聞いていましたよ。言い訳など聞きません!」
そしてポーリーナを掴むと、レイズナーと私を交互に見た。
「来たばかりですが帰ります。ついでにこのわがままな妹を連れて行きますわ」
「嫌よ!」
ポーリーナはお姉様の腕を振りほどく。
「どうしてヴィクトリカお姉様ばかりが愛されるの!? お兄様もお姉様も、お父様とお母様だって、いつだってヴィクトリカ、ヴィクトリカって! 私だって、王女だわ! 同じ娘で妹なのよ! 何が違うって言うのよ!」
だがお姉様は、有無を言わせずポーリーナを立たせると、ほとんど無理矢理引っ張っていく。
去り際、レイズナーに目を向けた。
「レイブン、ヴィクトリカを頼みます」
「ヴィクトリカなんて大嫌い! 大嫌いだわ!」
泣き叫ぶポーリーナの声だけが、いつまでも響き渡っていた。
* * *
外国へと向かう馬車の中で、ルイサはようやく泣き止んだポーリーナに尋ねた。
「どうしてレイブンを誘惑しようとしたんです?」
「彼から迫ってきたのよ」
「ポーリーナ。まだそんなことを言うの?」
咎めると、ようやくポーリーナはため息をつく。
「レイズナーは愛を持っている人だわ。あんな瞳で、私も見つめられたかった。ヴィクトリカお姉様ばかり愛されてずるいわ」
「愛が欲しいのですか?」
ポーリーナは素直に頷いた。昔から、大泣きした後はしゅん、と落ち込む子だったことを、ルイサは思い出していた。
「私、お父様とお母様みたいな政略結婚は嫌なの。愛のある結婚をしたかった。ヒースもレイズナーも、ヴィクトリカお姉様を愛していると言っていたわ。だったら、私を愛してくれてもいいじゃない。私の方がもてるし美人よ。ずっと尽くすし、言うことだって何でも聞くのに!」
「我が妹ながら捻くれていますわね」
「だって! 皆いつだってヴィクトリカが一番じゃないの! 私だって愛されたい! 良い子にしていたのに!」
ルイサの心は痛んだ。自分たちの態度が、そう思わせてしまったのだ。おそらくは、彼女たちが知るはずもない理由によって。だけど二人の妹に注がれる愛情に、差はなかった。
「愛情は同じだけ与えられていたのですよ。ポーリーナ、わたくしだってあなたのことを、いつだって大切に思っているわ」
だがポーリーナは頑なだった。
「嘘よ。ずっと昔、私とヴィクトリカお姉様が一緒に木から落ちたとき――大した高さじゃなかったわ。せいぜい、一メートル程度。だけど皆、先に駆け寄ったのはヴィクトリカお姉様の方だった」
「そうですね――そう。そんなことも、あったわ」
ルイサもその時のことはよく覚えていた。
もし、何かの弾みで、ヴィクトリカが死んでしまったら。あるいは、大けがでもしたら。もちろん、彼女自身を案じる気持ちもあったが、ポーリーナよりも先に駆けつけたのは誰もが必死になって守り続けたこの国を、破壊してしまいかねないからだった。
「ヴィクトリカは、特別なんです。わたくしや、あるいはカーソンよりもずっと。あなたは生まれる前で、知るはずもないけれど……」
もう、潮時なのかもしれない。ヴィクトリカは城という庇護を出て、一人前の女性になった。
ポーリーナの心に永遠に消えない傷を作る前に、真実を話そう。
ルイサは、ヴィクトリカが生まれる前と、そして生まれた時のことを話した。話している間、ポーリーナの目が見開かれていく。
話終えたとき、ポーリーナはゆっくりと首を振った。
「あり得ないわ。そんなことが起きていたなんて。それ……ヴィクトリカお姉様は知っているの?」
「いいえ。知らないわ。知らせてしまって、絶望させてはいけないと、わたくしたちは誓ったから。知っているのは、今はもう、わたくしとカーソンだけ」
「私、知らなかったの。知らなかったのよ」
ポーリーナは、自分を抱きしめるように両腕を抱えた。
ルイサはそんな妹の肩を優しく抱く。
「それにね、ポーリーナ。始まりは政略結婚だとしても、そこに愛がなかったとは言えないわ。燃えるような愛ではなかったかもしれないけれど、お父様とお母様の間には、信頼があったでしょう?」
「二人は愛し合っていたというの?」
「じゃなきゃ、子供を四人も作らないわ」
中の子供を撫でるように、腹をさする。ポーリーナは、再びぐすぐすと涙を流した。
「今度会ったとき、ヴィクトリカお姉様に謝れるかしら。許してもらえるかしら」
「レイブンにも、謝らないとね?」
こくり、とポーリーナは頷いた。
そのおでこに、ルイサはキスをする。人の思いは複雑だ。愛していても、憎むことができる。そして、その逆もまたそうだ。
願わくば――誰もが幸せになれる世界があるとよい。
だがそれは、ヴィクトリカが生まれた時に永遠に失われてしまったのだ。
23
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
双子として生まれたエレナとエレン。
かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。
だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。
エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。
両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。
そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。
療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。
エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。
だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。
自分がニセモノだと知っている。
だから、この1年限りの恋をしよう。
そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。
※※※※※※※※※※※※※
異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。
現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦)
ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる