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俺の2人目のパーティーメンバーはどこか間違っている。 完

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 俺は幼女化したステラ背負い、アリアを引き連れて雑多な音が飛び交うアルヒの街中を歩いている。
 とりあえずはギルドにクエスト完了の報告だ。その後ギルドの人にステラちゃんを預けよう。
 俺はふと思ったことを口に出した。
 
 「そういえばステラちゃん。もしかして前にもあんな事があったのかな?」
 「あったぞ! きづいたらめのまえにさっきのようなこうけいがひろがっておってな! まわりにはおとこがふたりと、おんながひとりおったんじゃ! わらわのことをぱーてぃめんばー? といっておったな! ありゃ? そういえばやつらのすがたがみえんが」

 そいつらはおそらくステラが前まで加入していたパーティーのやつらのことだろうな。
 こんなデメリットがあるからパーティーに入れられないのはよくわかる。面倒をみる自信がない。
 俺もアリアもモンスターから幼女を守る術なんて持ってない。この街にいる冒険者はほとんどが駆け出しなんだ。俺と同じようなレベルなんだから幼女化するヤツを受け入れられないのは仕方がないだろう。
 
 「今ステラちゃんのパーティーメンバーは俺とアリアだけだよ?」
 「わらわまたすてられたんか?」
 「…… え?」
 「わらわまたすてられたんか?」

 しまったあああああああ! 街に入る前にしておくべき話題だったああああ! 俺のバカ! マヌケ!
 そんな目で見ないでお願い。どうすんだよ。ステラちゃんとんでもなく闇が深いこと言い出しちゃったぞ。早く元に戻ってくれよステラ様。

 「…… その人たちにステラちゃんが捨てられたかどうかは分からないなぁ」
 「そうか」

 泣かないでね。お願いだから。

 「かけるもわらわをすてるんか?」
 「……」

 やめて? その言い方やめて? あれ、なんか目にゴミが。

 「俺はステラちゃんを捨てるんじゃないよ? 俺たちと成長したステラちゃんはお試しって事で一緒だっただけなんだよ? だから捨てるとかじゃなくてただお別れするだけなんだよ?」
 「やっぱりわらわはいらないこなんか?」

 ちくしょう! なんだこの生き物は! あのアリアより面倒だぞ! 外見は可愛いけど中身クソ面倒じゃねえか!!

 そんな時、周囲から声が聞こえた。

 「お、おい。あの兄ちゃんあんな小さい子を捨てるつもりだぞ……」
 「ひぃ、鬼畜よ! 鬼畜がいるわ!」
 「しかも見てみろよ? あの子身体のサイズに合わない服でぐるぐる巻きにされてるぞ……」
 「ふん、俺はそうじゃねえかって思ってたんだ。ずっと前からな」

 まずい! 非常にまずい! くそっ! どうしてこうなるんだ俺の異世界生活は! この世界は俺に面倒を押し付けないと気が済まないのか!?

 「い、嫌だなあ! 最強で最高な魔法を使えるステラちゃんを捨てるわけないじゃないか! あっはっは!」
 「そうか! わらわすごいからな!」
 「うんそうだね」
 「ずっといっしょにいてくれるんか?」
 「うんそうだね」
 「やった! かけるすきじゃ!」
 「うんありがとね」

 周囲の雑音も変わる。

 「なんだ、俺の聞き間違いか」
 「私の聞き間違いだったのかしら。でもよかったわあんな小さい子が路頭に迷わなくて」
 「でもなんでぐるぐる巻きなんだ?」
 「ふん、俺はそうじゃねえかって思ってたんだ。ずっと前からな」

 ふう。なんとかこの場は収まったな。あと最後のやつ。お前誰だよ。
 そんな流れの中、街に入ってから無言を貫いていたポンコツが言った。

 「私は嫌ですよ。神である私に石を投げるガキなんていらないです」

 公衆の面前で爆弾を投下したアリアの両のほっぺたを急いで引っ掴み、俺は言った。

 「よぉーし! お前はずっと黙ってような! ステラちゃんは俺たちの大事な大事なパーティメンバーだからな!? あとお前もガキなんだからそこんとこ理解しとけクソガキ」
 「ひゃっ!? ひゃひほひゅるんへひゅっ!?」
 「うるさいうるさい! 余計なこと言うんじゃねええ!! 空気読め空気を!! あとで好きなもん買ってやるから! なっ!」
 「わらわやっぱりすてられ―――」
 「捨てない捨てない! ずーっと一緒だからね! ステラちゃんもちょっと黙ろうかぁ!」
  
 
 * 冒険者ギルド≪ストレリチア≫ *

 俺はアリアとステラを宿屋に連れ帰った後、一人でギルドに来ている。
 あの二人がいると面倒なことにしかならない。疲れる。

 「クエスト達成の報告にきたんですけど」
 「あらカケルさん。無事達成したみたいですね」
 「はい、色々ありましたけど」
 「…… 討伐したコモモドラゴンはどちらに?」
 「…… え?」

 おいマジか。なんてクソゲーだ。倒したモンスターの回収ってギルドがやってくれるんじゃねえのかよ!

 「…… ちょっと待っててください。すぐ取ってきます」
 「……」

 そんな目で俺を見ないでください。異世界冒険者の常識なんて知らなかったんです。
 ちくしょう。コモモドラゴン11匹の死体をあそこから運んでくるなんてどうすりゃいいんだよ。人間11人運ぶようなもんだぞ…… いや、まてよ?

 俺はある事を思い付き、宿屋に駆け出した。


 「ちょっと! カケル! 一体どうしたんですか!? 離してください! 降ろしてください!!」

 俺は宿屋で呑気にくつろいでいたアリアを拉致して、コモモドラゴンの縄張りだった場所にアクセル全開で急行している。

 「いいから黙ってろ! 舌噛むぞ! お前の言霊魔法が必要なんだよ!」
 「えっ!? どういうことですか! 神である私の力が必要なんですか!?」
 「だから必要だって言ってるだろ!」
 「ふふん! なら仕方ないですね!」
 

 ――― コモモドラゴン縄張り 跡地 ―――

 「こんな事の為に私の力を使うなんて信じられません」
 「お前の魔法は物に効果が発揮するようになったって言ってたよな」
 「っ…… 言いましたけど……。言いましたけどこんな、こんな物を運ぶための魔法じゃありません!」

 俺はアリアにコモモドラゴンの亡骸なきがらを運ばせていた。
 
 「そいつらが無いとクエスト完了報告出来ねえんだよ」
 「そうだったんですか?」

 アリアの言霊魔法は『魂の加護』に守られている俺には効かない。紫色の魂を持つモンスターにも効果は見られなかった。だが、物に対しては効果があった。
 俺はアリアがマルメドリの丸焼きを言霊魔法を使ってテーブルに運んでいるのを思い出し、魂の抜けたモンスターの死体には言霊魔法が効くのではないか、と考えたわけだ。
 俺の推論は見事に的中し、アリアに対する評価は頭のおかしいポンコツから頭のおかしいポンコツ運び屋に昇格した。

 「でもモンスターの肉には魂なんて宿ってないはずなのに、なんで俺たちはその肉を食べるだけで成長するんだろうな」
 「私に聞かれても知りませんよ。魂の粒子とか残滓ざんしとかそういうたぐいのモノが死体にも残ってるんじゃないですか?」
 「お前…… そんな難しそうな言葉知ってたのか……」
 「バカにしてるんですかっ!?」
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