かんちゃんとやっすん

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怒ってるやん

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俺が焦りまくって、暴走してから、結構頑張って信頼を回復してたのに!

ようやく、笑いあったり、幸せを噛みしめたりできるようになってきたのに。

なんで?

俺、なんかした?

何で何か怒ってるん?

怒ってても、可愛いねんけど。

多分今それ言うと空気読まれへんとか言われるやつ。

「今、喋ってもいい?」

恐る恐る聞いてみる。ぷくっとしたほっぺ可愛い。ぽすっとさわる。

むすーっと全身で怒りを表現するかんちゃん、マジ可愛い。

「何を怒ってるんか、教えて。」
頭悪いからわからん。

「女の子。」

は?女の子?

え、それだけ。もう少しないの、ヒント。

めっちゃムズい。え、何、全然わからん。

女の子……最近絡んでへんで。春とかは、何や浮き足だってたこともあるけど、かんちゃん好きになってからは、ない。

ないから、かんちゃんの思い違いとかや、多分。あー、ビビった。焦った。焦りすぎやな。うん、ほんま。

「女の子がどしたん?」
ふっふーん、余裕やで。俺、悪いことしてへんってわかってるし。

「女の子に呼ばれてた。」

え、いつ?いつのこと、言うてるん?

え、あれ?俺、最近の記憶どこにやった。かんちゃんしか覚えてへん。あれ、俺の記憶…?

「やっすんじゃなくて、けんちゃんって呼ばれてた。」

……

あ、うん。俺の名前、賢治やからね。

宮沢さんと同じ賢治さん。

ほんで。坂口くんが女の子と昔のあだ名とかで、盛り上がってて、話振られて、けんちゃんかな、とか言ってた。

うん、確かに。

それ、いつの話やっけ。

「今のもう一回言って。」
かんちゃんに名前呼ばれた。けんちゃんってもう一回言って。

「けんちゃんって。言って。」

「……けんちゃん。」
かんちゃん、めっちゃ可愛い。

「なあに、かんちゃん。」
かんちゃん、好き。めっちゃ好き。

「キスしていい?」
かんちゃんの返事に時間かかるとこ、好き。結局させてくれるとこ好き。焼きもちやき好き。可愛い。

「かんちゃん、二人のとき、けんちゃんって呼んで。」

「好きな子には名前呼ばれたい。」

「うん。」

「かんちゃんは?名前なんて呼ばれたい?たいちゃん?」

「たいちゃんは恥ずかしい。太一で、ええ。」

「太一。」

「けんちゃん、好き。」

「俺も太一好き。めっちゃ好き。」

太一は、あれやな。弱ってる時は、抱きしめても怒らへん。

意識するまでは、このままギュッとさせて貰おう。今顔が赤くなってきてるから、もうすぐあかんようになりそうやけど。

めっちゃ好き。好きすぎておかしいの、知ってる。
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