裏切られた傷心令嬢は狂ったように穴を掘る

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変われない男

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父と弟には止められたものの、やっぱり納得はいかなくて、友人の騎士に同行を頼んでみたエディだが、断られてしまった。

「お前の婚約者って……フリート伯爵家だろう。無理だよ。俺侯爵家だけど、嫡男でもないし、家に迷惑はかけられないよ。」

「ステラ嬢が、人殺し?おい、滅多なことを言うな。婚約者だからって、訴えられて慰謝料たんまり奪われるぞ。」


「他所の家のことなんて、放っておけよ。妙なことに首を突っ込んで、お前の命でどうにかなるなら良いけどさ。絶対に、家にも迷惑がかかるぞ。」



エディの友人達の中には、エディと同じようにピンク女に引っかかって婚約を破棄した者もいるのに、それでも折角の婚約者をこれ以上裏切るなと正論をぶつけてくる奴ばかりだった。彼らは相手方から、問答無用で婚約破棄されたからか、赦しを得たエディに対して思うところがあったみたいだ。

騎士達の協力は得られなかったものの、最近フリート伯爵家で働き始めたと言う妹がいる、という文官が、話を聞かせてくれると言う。

彼はサリナの兄で、エディの話と妹の話を聞いて、全貌がわかっていたが、知らないふりをしていた。

「確かに妹が最近、一緒に入った侍女見習いが一人いなくなったと言っていたな。けれど、妹の話だと、その侍女見習いが特定の男性と懇意にしていたらしく、その男にどうにかされたのではないか、と噂されているみたいだ。

水色の瞳を持った金髪の男性……だったかな。そいつが怪しいと、お嬢様に進言したらしい。」

「は?何だって?」
「いや、物騒な話だろ。痴情のもつれか何かわからないけれど、そいつは一体何者なんだろうな。お嬢様も災難だったな。そんな危ない人間とずっと付き合いがあったと言うんだから。」

「ここだけの話、そいつはお嬢様の婚約者なんじゃないかってことだ。少し前にも不貞をしたとバレたらしいから、もしかしたら口封じのためかも知れないと、睨まれているそうだ。」

文官は、エディの身分に目星はついていたものの、敢えて知らないふりをした。エディからは何の挨拶もなかった為に、その辺りの罪悪感は感じなかった。

どうせ、こいつもうちの家を馬鹿にしているのだろう。実際エディからは下位貴族のものを蔑む空気をビシビシと感じた。

彼の妹はサリナというが、エディからは聞かれることはなかった。聞かれていれば、彼の話に矛盾があることがわかっただろうに。

こうして、エディは自らに浮かんだ嫌疑を晴らす為に、再度フリート伯爵家に赴くことになった。騎士として誰もついてきてくれなかった為に、たった一人で、彼の為に用意された舞台まで自ら向かったのである。
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