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花の色

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エディが去ってからは当初の予定通り花を植えていく。ピンク色の花はとても可愛らしく心が癒される。エディの浮気相手もどういう訳かピンク色の頭をしていたが、中身のピンクが滲み出していて髪を自然と染めてしまったのかもしれないと言われるぐらい、頭の中はピンク一色の女だった。

「やっぱりピンク色の花は可愛いわね。癒されるわ。」

あんな下品な色じゃなくて、上品な儚げなピンク色の花。掘った穴は大きく、花を植えても半分は残ってしまう。

「折角だから、仕切りをして、こちらにも何か植えようかしら。」

ふと目についたのは、水色の可愛い花。パステルカラーの二つの花の色は目に優しく、ステラの癒しになること間違いなしだった。

「この二つを植えると色味のバランスはどう?変かしら?」

「いえ、花同士の相性も良いし、見た目も可愛くて良いと思いますよ。」

マルコの太鼓判があるなら安心だが、マルコは心配なら、とステラの目の前に幾つかのアイテムを取り出して並べた。


それは色とりどりの貝殻で、最近庶民の間で流行っているものなのだそう。貝殻は粉々に砕いて肥料としても使えるそうで、それとは別に見た目のかわいさから、並べて装飾したりするのが人気らしい。

確かにステラの花壇に並べてみるとそれだけで可愛い気もする。

嬉々として貝殻を並べていくステラの姿にマルコは安堵して、水色の花を早いスピードで植え替えていく。

水色の花の色は、エディの瞳の色とも良く似ていた。幼い頃は、あの瞳が綺麗で欲しくて、何とか取り出せないかと考えたりしていたが、何度かの試みの後、すっかり怯えられてしまって、仲良くなるまで時間がかかったのだった。

あの忌々しい、婚約破棄を告げられたあの日、ピンク女の纏うドレスの色もこの色だった。瞳の色しか特徴のなかったエディの中で唯一ステラが欲しがった色のドレスに、あの女は何を思ったのか見せつけてドヤ顔で笑ったのだ。

性格の悪さの滲み出た笑顔は醜悪と言う他なく、正直なところステラはドン引きしていた。だって、コレ、そこまでの男か?

ピンク女に、何度聞いてみたいと思ったか。アレのどこが好きなのか、と。少なくともエディは努力ができない人だし、今だって、やり直しを求めるのなら他にやらなければならないことだらけなのに、それを放置して、ステラに謝りに来ている。

ステラへの謝罪は、大義名分としてちょうど良いのだろう。やらかしをどうにか挽回することが、謝罪だけで済むと思うのだから、どうかしている。とはいえ、我が伯爵家は、エディがもう一度何かしら事を起こさない限りは静観を決めた。

ステラにはそれが一番の不満だった。

だが、これはチャンスでもあった。今までの仕返しをするチャンス。あの婚約破棄の場面では彼方もステラに思うところはあったらしいが、それをいうなら此方も同じ。いや、どちらかと言うと、此方からの不満の方が断然多いと、断言できる。

彼は何れ放っておいても何かしらやらかす筈。ならば、そのサポートでもして差し上げればいいのではないか。

ステラはエディの可能性に賭けてみることにした。
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