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精霊の愛し子③ ヨシュア視点
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皇女の閉じ込めた人物が逃げたことは、精霊達の声からすぐに分かった。皇女のやり口はいつも同じ。自分以外は総じて何も見えていないと思っている。
何も見えていないのはどちらか。皇女の母は、皇女の兄に付いている精霊を見ることは出来なかった。自分は愛し子だと言っていたが、違う。彼女の姉がそうだっただけ。皇女も同じ。彼女の兄がそうだっただけ。
皇女は、精霊を見ることだけはできたから、自分も愛し子だと言いたいのだろうが、違う。愛し子ではないものが精霊が見える事態と言うと、愛し子の光が強すぎることが挙げられる。
彼女はその強い光に当てられたに過ぎない。皇女は自分が精霊に嫌われていることすら気づかない。あのまま自国にいれば、周りまで巻き込んで大惨事になりかねなかった。精霊達にそんな配慮ができるわけはない。
ヨシュアの元婚約者は正真正銘の愛し子だった。精霊達に触れることができ、話しかけることができる。ヨシュアと同じ黄の精霊を連れていた。
黄の精霊達は、愛し子に強い執着を見せる。他の精霊達は愛し子を見守るだけに留まるのなら、黄の精霊達は、愛し子の願いをどうにかして叶えようと尽力する。その姿が、あの皇女からすれば、羨ましく見えたのだろう。だが、黄の精霊達は、その性質から想像できるに、邪悪なものには力を貸さない。
ヨシュアは元婚約者にされたことを許すつもりも見逃すつもりもない。ただ、ヨシュアが精霊達の力を借りてそれを行うことはできない為に、時間がかかってしまっているだけだ。
自らの行いは自らに返る。
それを今一度思い知れば良い。
ヨシュアの想像以上に、自国の貴族達の怒りは大きなものだった。あの公爵令嬢を筆頭に今も自国の学園には生徒が居なくなったと聞く。元より高位貴族の多くは学園で学ぶことなど多くはない。全て自宅学習で習得済みだからだ。主に人脈作りの為に通う学園生活が皇女一人の為に地獄絵図になるのなら、そりゃ、避けたいと思うのが普通だ。
だからこその隣国頼み、であったが。
この国には精霊王が住む。ヨシュアはその事実を一緒にいる精霊達に教えて貰った。だから、と自分は最後の望みに賭けたのだ。最後に、ヨシュアを救ってくれそうな精霊の王に。自分の力を全て奪われたとしても文句などない。
あの邪悪を、殺してくれるなら、彼女をもう一度この世界に返してくれるなら、この身が滅びても構わない。
ヨシュアの決意には婚約者についていた黄の精霊達も賛同してくれた。まるで、自分が言い包めたみたいだが、彼らは私を未だに愛し子にしてくれている。いつかは資格がなくなるのかもしれないが、今はまだ、まだ私は愛し子なのだ。
何も見えていないのはどちらか。皇女の母は、皇女の兄に付いている精霊を見ることは出来なかった。自分は愛し子だと言っていたが、違う。彼女の姉がそうだっただけ。皇女も同じ。彼女の兄がそうだっただけ。
皇女は、精霊を見ることだけはできたから、自分も愛し子だと言いたいのだろうが、違う。愛し子ではないものが精霊が見える事態と言うと、愛し子の光が強すぎることが挙げられる。
彼女はその強い光に当てられたに過ぎない。皇女は自分が精霊に嫌われていることすら気づかない。あのまま自国にいれば、周りまで巻き込んで大惨事になりかねなかった。精霊達にそんな配慮ができるわけはない。
ヨシュアの元婚約者は正真正銘の愛し子だった。精霊達に触れることができ、話しかけることができる。ヨシュアと同じ黄の精霊を連れていた。
黄の精霊達は、愛し子に強い執着を見せる。他の精霊達は愛し子を見守るだけに留まるのなら、黄の精霊達は、愛し子の願いをどうにかして叶えようと尽力する。その姿が、あの皇女からすれば、羨ましく見えたのだろう。だが、黄の精霊達は、その性質から想像できるに、邪悪なものには力を貸さない。
ヨシュアは元婚約者にされたことを許すつもりも見逃すつもりもない。ただ、ヨシュアが精霊達の力を借りてそれを行うことはできない為に、時間がかかってしまっているだけだ。
自らの行いは自らに返る。
それを今一度思い知れば良い。
ヨシュアの想像以上に、自国の貴族達の怒りは大きなものだった。あの公爵令嬢を筆頭に今も自国の学園には生徒が居なくなったと聞く。元より高位貴族の多くは学園で学ぶことなど多くはない。全て自宅学習で習得済みだからだ。主に人脈作りの為に通う学園生活が皇女一人の為に地獄絵図になるのなら、そりゃ、避けたいと思うのが普通だ。
だからこその隣国頼み、であったが。
この国には精霊王が住む。ヨシュアはその事実を一緒にいる精霊達に教えて貰った。だから、と自分は最後の望みに賭けたのだ。最後に、ヨシュアを救ってくれそうな精霊の王に。自分の力を全て奪われたとしても文句などない。
あの邪悪を、殺してくれるなら、彼女をもう一度この世界に返してくれるなら、この身が滅びても構わない。
ヨシュアの決意には婚約者についていた黄の精霊達も賛同してくれた。まるで、自分が言い包めたみたいだが、彼らは私を未だに愛し子にしてくれている。いつかは資格がなくなるのかもしれないが、今はまだ、まだ私は愛し子なのだ。
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