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だって青い光が眩しくて
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レイチェルには精霊王の加護が備わっている。それを今まで深く実感したことはない。けれど、カイの光が危険を知らせるのをどれだけ遠く離れた場所からでも認識できるのは、その加護のおかげに違いなかった。
カイの妹だと言う彼女には影のような黒い気配はなかった。精霊の仕業ではないのかもしれない。何も邪悪=黒の精霊と決めつけなくとも、ほかにも邪悪なものはいくらでもいる。例えば悪霊やら悪魔やら。それらの存在を感じたことはなくても、何となくいるのだろうな、と思うことはある。後は、人間の元からある悪意。これが一番厄介だ。
生きている人間は簡単に嘘をつく。怒っていないふりをして憎悪をその身に秘めていたり、穏やかなふりをして、人を痛めつけるのに快感を覚えていたり。レイチェルは家の外へ一歩出ると、そんな悪いものに晒されることを知った。
レイチェルにある程度自我が目覚めるまではその悪意に晒されなかったのも、加護のおかげなのかもしれない。
精霊王とやらは、レイチェルをどうするつもりで、力を授けたのだろう。
青い光は激しく点滅を繰り返しながら移動している。人が一人で移動するには早すぎることから、何かに乗せられて移動しているのだと推測できる。
精霊王は、ひとっ飛び、なんてできるのかしら、なんて思ったら、気づけばカイが見える位置まで飛ばされていた。
いきなりの瞬間移動で立ちくらみがする。そりゃ、酔うわね。カイの自称妹は、すぐにカイをどうこうする気はないみたい。彼女の場合、身近にいるものを傷つけて楽しむタイプみたいだ。
もうカイは他人なのだから、放っておいてほしいのに。
精霊達の悪さなら、精霊王は強いのだけど、人間の悪意には影響があるのかは、わからない。
彼女達はカイを汚い部屋に放置すると、鍵をかけて去っていく。部屋に精霊の力を弱める道具が置いてあることから、カイが愛し子であることを彼女達は知っているのだ。この程度の道具はあってないようなものだが。
知っていて、これか。
この世界において、精霊を怒らせることの意味を知らないなんて残念だな。
多分、本当なら彼女達の後ろにいるであろう黒幕を、引っ張りだしたり、根回しをする方が良いのだろう。でも、レイチェルはカイを今すぐに助けたくて、動く。思い知れば良い。
精霊の、精霊王の力を。
カイの元へまた瞬間移動したせいで、世界が回る。レイチェルを抱き止めたのは弱りきっている筈のカイだった。
「何だか、元気そうね。」
「うん、一瞬立ちくらみがしたけれど、すぐに意識は戻ったんだ。奴らを刺激しないように少し演技はしたけど。あいつら、何も気づかなかった。」
「じゃ、逃げられるわね。」
「ああ、大丈夫。レイチェルこそ、大丈夫なのか?」
「私は移動が気持ち悪いだけ。酔うから。大したことじゃないわ。」
「待って。こっちへ来て。」
カイに言われて近くによると、顔を手で挟まれておでこを合わされる。合わさったおでこから、何かがレイチェルの中に入ってきた。
「何?」
「少しマシになってない?酔い止めのおまじない、だよ。」
確かにさっきまでの気持ち悪さが嘘のようだ。
「ありがとう。びっくりしたわ、突然。」
レイチェルはカイの力というより、まつ毛の長さに驚いていた。あまりに近すぎると、どうでもよいことばかりに目がいってしまう。
「じゃ、行くわよ。」
私達は精霊王の考える一番危険度が少ない場所に飛ばされた。
「あら、レイチェル、カイも。どうしたの?」
勿論、姉のいる我が家に。
カイの妹だと言う彼女には影のような黒い気配はなかった。精霊の仕業ではないのかもしれない。何も邪悪=黒の精霊と決めつけなくとも、ほかにも邪悪なものはいくらでもいる。例えば悪霊やら悪魔やら。それらの存在を感じたことはなくても、何となくいるのだろうな、と思うことはある。後は、人間の元からある悪意。これが一番厄介だ。
生きている人間は簡単に嘘をつく。怒っていないふりをして憎悪をその身に秘めていたり、穏やかなふりをして、人を痛めつけるのに快感を覚えていたり。レイチェルは家の外へ一歩出ると、そんな悪いものに晒されることを知った。
レイチェルにある程度自我が目覚めるまではその悪意に晒されなかったのも、加護のおかげなのかもしれない。
精霊王とやらは、レイチェルをどうするつもりで、力を授けたのだろう。
青い光は激しく点滅を繰り返しながら移動している。人が一人で移動するには早すぎることから、何かに乗せられて移動しているのだと推測できる。
精霊王は、ひとっ飛び、なんてできるのかしら、なんて思ったら、気づけばカイが見える位置まで飛ばされていた。
いきなりの瞬間移動で立ちくらみがする。そりゃ、酔うわね。カイの自称妹は、すぐにカイをどうこうする気はないみたい。彼女の場合、身近にいるものを傷つけて楽しむタイプみたいだ。
もうカイは他人なのだから、放っておいてほしいのに。
精霊達の悪さなら、精霊王は強いのだけど、人間の悪意には影響があるのかは、わからない。
彼女達はカイを汚い部屋に放置すると、鍵をかけて去っていく。部屋に精霊の力を弱める道具が置いてあることから、カイが愛し子であることを彼女達は知っているのだ。この程度の道具はあってないようなものだが。
知っていて、これか。
この世界において、精霊を怒らせることの意味を知らないなんて残念だな。
多分、本当なら彼女達の後ろにいるであろう黒幕を、引っ張りだしたり、根回しをする方が良いのだろう。でも、レイチェルはカイを今すぐに助けたくて、動く。思い知れば良い。
精霊の、精霊王の力を。
カイの元へまた瞬間移動したせいで、世界が回る。レイチェルを抱き止めたのは弱りきっている筈のカイだった。
「何だか、元気そうね。」
「うん、一瞬立ちくらみがしたけれど、すぐに意識は戻ったんだ。奴らを刺激しないように少し演技はしたけど。あいつら、何も気づかなかった。」
「じゃ、逃げられるわね。」
「ああ、大丈夫。レイチェルこそ、大丈夫なのか?」
「私は移動が気持ち悪いだけ。酔うから。大したことじゃないわ。」
「待って。こっちへ来て。」
カイに言われて近くによると、顔を手で挟まれておでこを合わされる。合わさったおでこから、何かがレイチェルの中に入ってきた。
「何?」
「少しマシになってない?酔い止めのおまじない、だよ。」
確かにさっきまでの気持ち悪さが嘘のようだ。
「ありがとう。びっくりしたわ、突然。」
レイチェルはカイの力というより、まつ毛の長さに驚いていた。あまりに近すぎると、どうでもよいことばかりに目がいってしまう。
「じゃ、行くわよ。」
私達は精霊王の考える一番危険度が少ない場所に飛ばされた。
「あら、レイチェル、カイも。どうしたの?」
勿論、姉のいる我が家に。
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