だって姉が眩しかったから

mios

文字の大きさ
上 下
14 / 28

だって妻がおかしくて 父視点

しおりを挟む
精霊の愛し子なる情報は、防犯上秘匿すべきことではあるが、やはり王家には話を通しておかねばなるまい。サマンサについては学園に入る前にその旨を伝えたが、レイチェルについては精霊王の加護であることは伝えなかった。伝えると未だ婚約者を選んでいない第三王子と婚約させる、と言われては堪らない。

第三王子に婚約者ができるのが先か、レイチェルが学園に入るのが先かはわからないが最悪最後まで黙っておいても良いだろう。

特に王家と繋がりを持とうとは思わない。寧ろ彼らとは距離を置きたいぐらいだ。幸いにも王子が暴走しても、王妃が居るうちはこちらに害が及ぶことはないだろう。

精霊の愛し子は、この国では特に珍しくもない。だが、精霊王の加護というのは、侯爵の人生を思い返してみても過去に一人ぐらいしか思い浮かばず、その人物ももう既に亡くなって久しい。

もしかしたら、精霊王の加護は、その時代に一人、と言った割合なのかもしれない。

そうなれば、レイチェルが生きている間には別の人間が加護を貰えないと言うことになるが、どうだろう。

肝心のレイチェルはことの重大さをわかっているかは、不明だ。姉大好きの性質は変わらず、姉の婚約者であるジュリアンに並々ならぬ敵対心を抱いている。

サマンサに至っては、妹と婚約者が仲良くしていることに幸せを感じているが、アレは仲良く、ではないと思うぞ。

サマンサもおっとりしているが、見たくないものは見ないと言う意志の強さがあるし、レイチェルの影に隠れてはいるが彼女も妹大好きの姉である。

サマンサがジュリアンに話す話の六割がレイチェルについての話であることも裏が取れているし、だからこそジュリアンとレイチェルが張り合うのも至極当然のことだ。

レベッカはサマンサよりもレイチェルに対して心配やら不安が大きく、カイをどうにか逃すまいと貴族にすることを提案した。

精霊の愛し子を守る意味ではそれも間違いではないが、レイチェルに彼以上の婚約者候補が見つからないかも、と言うのは早計な気がしてならない。

「いや、レイチェルだって、もう少し成長すれば……」
「そんな保証はありません。念のため、ですよ。サマンサとジュリアンが婚姻したとして、レイチェルがこの屋敷に居座れば彼らのお荷物になってしまうのです。それでも良いのですか。」

「子供の成長は早いから……」
「だから、余計に心配なのです。このまま身体だけが成長してしまうのが。それにカイもいつまでも独り身でいてくれる保証はありません。だってあんな良い子なんですよ。できればレイチェルの側にずっといてほしいですわ。」

「まあ、カイなら私も賛成だが。」
「そうですわよね!」

レイチェルの暴走癖は絶対妻に似たと確信した瞬間だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。

coco
恋愛
殿方との縁がなく地味で可哀相な女。 お姉様は私の事をそう言うけど…あの、何か勘違いしてません? 私は、あなたの代わりになど嫁ぎませんので─。

今度こそ幸せになります! 小話集

斎木リコ
ファンタジー
『今度こそ幸せになります!』の小話集です。

庭園の国の召喚師

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 おばあちゃんが先日亡くなった。そのおばあちゃんの言いつけで男として過ごしていたリーフは、魔術師の国ラパラル王国の王都グラディナで、男性として魔術師証を取得。金欠でお金に困り、急募・男性の方に飛びついた。  驚く事に雇い主は、リーフが知っている騎士のアージェという男だった!  だが男としての接触だった為、彼は気づかない。そして、引き受けた仕事により、魔獣騒ぎに巻き込まれ――。

ここは貴方の国ではありませんよ

水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。 厄介ごとが多いですね。 裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。 ※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

2人の幸せとは?今世も双子の姉妹で生まれちゃいました!

☆n
恋愛
何度生まれ変わっても双子の妹に全てを奪われる姉。 そしてその姉を見守り続けた者(物)達。 ー姉を見守り続けた者(物)達は、全ての力を今世に生まれたあの子に注ぐー どれだけ悔しかったか...。あの子を幸せにできない自分達をどれだけ痛めつけてきたか...。 悔し涙の分だけ持った私達の力の全てを今世のあの子に...

逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます

黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。 ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。 目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが…… つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも? 短いお話を三話に分割してお届けします。 この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

処理中です...