だって姉が眩しかったから

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だって妻がおかしくて 父視点

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精霊の愛し子なる情報は、防犯上秘匿すべきことではあるが、やはり王家には話を通しておかねばなるまい。サマンサについては学園に入る前にその旨を伝えたが、レイチェルについては精霊王の加護であることは伝えなかった。伝えると未だ婚約者を選んでいない第三王子と婚約させる、と言われては堪らない。

第三王子に婚約者ができるのが先か、レイチェルが学園に入るのが先かはわからないが最悪最後まで黙っておいても良いだろう。

特に王家と繋がりを持とうとは思わない。寧ろ彼らとは距離を置きたいぐらいだ。幸いにも王子が暴走しても、王妃が居るうちはこちらに害が及ぶことはないだろう。

精霊の愛し子は、この国では特に珍しくもない。だが、精霊王の加護というのは、侯爵の人生を思い返してみても過去に一人ぐらいしか思い浮かばず、その人物ももう既に亡くなって久しい。

もしかしたら、精霊王の加護は、その時代に一人、と言った割合なのかもしれない。

そうなれば、レイチェルが生きている間には別の人間が加護を貰えないと言うことになるが、どうだろう。

肝心のレイチェルはことの重大さをわかっているかは、不明だ。姉大好きの性質は変わらず、姉の婚約者であるジュリアンに並々ならぬ敵対心を抱いている。

サマンサに至っては、妹と婚約者が仲良くしていることに幸せを感じているが、アレは仲良く、ではないと思うぞ。

サマンサもおっとりしているが、見たくないものは見ないと言う意志の強さがあるし、レイチェルの影に隠れてはいるが彼女も妹大好きの姉である。

サマンサがジュリアンに話す話の六割がレイチェルについての話であることも裏が取れているし、だからこそジュリアンとレイチェルが張り合うのも至極当然のことだ。

レベッカはサマンサよりもレイチェルに対して心配やら不安が大きく、カイをどうにか逃すまいと貴族にすることを提案した。

精霊の愛し子を守る意味ではそれも間違いではないが、レイチェルに彼以上の婚約者候補が見つからないかも、と言うのは早計な気がしてならない。

「いや、レイチェルだって、もう少し成長すれば……」
「そんな保証はありません。念のため、ですよ。サマンサとジュリアンが婚姻したとして、レイチェルがこの屋敷に居座れば彼らのお荷物になってしまうのです。それでも良いのですか。」

「子供の成長は早いから……」
「だから、余計に心配なのです。このまま身体だけが成長してしまうのが。それにカイもいつまでも独り身でいてくれる保証はありません。だってあんな良い子なんですよ。できればレイチェルの側にずっといてほしいですわ。」

「まあ、カイなら私も賛成だが。」
「そうですわよね!」

レイチェルの暴走癖は絶対妻に似たと確信した瞬間だった。


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