13 / 28
だってお嬢様が眩しくて カイ視点
しおりを挟む
身体の不調は、あの神官の言った通り、レイチェルの側にいたら良くなっていった。頻繁に来ては、必ずカイを見つけていたあの女は、少しずつカイの周りにいた精霊の気を吸っていたのだろうか。厳密にはあの女に纏わりついている精霊だが。
カイの周りの光が青から白に変わり切った時、レイチェルは茶会デビューの年を迎えた。姉のサマンサは、今年から学園というところに通うため家を出て寮に入ったため、レイチェルの悲壮感は凄かった。全寮制の学園なのだから、仕方がない。しかも、サマンサは後継者としてのコースを選択したから他のコースより一年長い四年制だ。四歳差のレイチェルは、姉が帰ってくるのと、入れ替わりで寮に入るため、実質七年間は一緒に住めず、そのことに気づいたレイチェルは発狂していた。
「年に三回ある長期休暇には必ず帰るから気を落とさないで。手紙も書くようにするから。レイチェルも色んなこと、手紙に書いて送ってね?」
寮に入る前に、サマンサは大量のレターセットをレイチェルに渡していたのだが、毎日何十枚も書こうとするので、止めるのに苦労した。
「お嬢様、いくらなんでも気持ち悪いです。クロード様みたいですよ。」
サマンサの婚約者決めの時の公爵令息の姿がよほど衝撃的だったのか、クロードの名を出すと、気持ち悪さを自覚できるようになったようだ。
結局、サマンサの婚約者はジュリアン・フプスに決まった。クロード・グルマイトの敬愛するリリアンヌお姉様が、サマンサを困らせてはならぬ、と仰せになり、クロードに新しい縁談を持ってきたからだ。
侯爵家からは断りにくかったため、ありがたく彼からの辞退を受け入れた。
ジュリアンとサマンサは順調に愛を育んでいるように思う。ジュリアンも四年コースに通う。彼はいつも二人の時間を邪魔するレイチェルがいない学園生活に喜んでいるらしく、既に婚約者同士の仲は熱々だと言う。
カイには、レイチェル以上に鈍く見えるサマンサが相手で、大丈夫かと思うがしっかり者のジュリアンには理想の女性らしい。
精霊については、レイチェルと同じように古語を学んだ後、同じ本を読んで勉強した。
姉に褒められたくて、勉強を頑張るレイチェルと、レイチェルに褒められたくて、頑張って彼女よりも進みたいと思う自分は似ていると思う。
レイチェルが学園に入ってしまうと、カイは仕事を失ってしまう。平民の自分は学園に入れないし、そもそも男性だから、女性の寮に入れない。彼女の侍従としてできることがなければ、カイがこの場所に居座ることはできない。
レイチェルが学園に通うようになるまでは全力で働こうと決意した日、侯爵夫妻から声をかけられた。
「カイ、貴方突然だけど、子爵家の子になる気はない?」
本当に突然のことに戸惑っていると、侯爵から本当に言いにくそうに話があった。
「レイチェルの側にずっといる気はないかな。君達は仲が良いみたいだから、娘を頼みたいと思うのだが。」
「それは、どういうことでしょうか。私は侍従として、ずっと側にいるつもりでありますが。」
「侍従として、だけではなく、レイチェルの一番の理解者になってほしいのよ。今の立場では、ちょっと難しいから、一旦分家の子爵家に入ってもらいたいの。」
「どういうことですか?」
「レイチェルの婚約者になって貰えない?」
「……は?」
カイの周りの光が青から白に変わり切った時、レイチェルは茶会デビューの年を迎えた。姉のサマンサは、今年から学園というところに通うため家を出て寮に入ったため、レイチェルの悲壮感は凄かった。全寮制の学園なのだから、仕方がない。しかも、サマンサは後継者としてのコースを選択したから他のコースより一年長い四年制だ。四歳差のレイチェルは、姉が帰ってくるのと、入れ替わりで寮に入るため、実質七年間は一緒に住めず、そのことに気づいたレイチェルは発狂していた。
「年に三回ある長期休暇には必ず帰るから気を落とさないで。手紙も書くようにするから。レイチェルも色んなこと、手紙に書いて送ってね?」
寮に入る前に、サマンサは大量のレターセットをレイチェルに渡していたのだが、毎日何十枚も書こうとするので、止めるのに苦労した。
「お嬢様、いくらなんでも気持ち悪いです。クロード様みたいですよ。」
サマンサの婚約者決めの時の公爵令息の姿がよほど衝撃的だったのか、クロードの名を出すと、気持ち悪さを自覚できるようになったようだ。
結局、サマンサの婚約者はジュリアン・フプスに決まった。クロード・グルマイトの敬愛するリリアンヌお姉様が、サマンサを困らせてはならぬ、と仰せになり、クロードに新しい縁談を持ってきたからだ。
侯爵家からは断りにくかったため、ありがたく彼からの辞退を受け入れた。
ジュリアンとサマンサは順調に愛を育んでいるように思う。ジュリアンも四年コースに通う。彼はいつも二人の時間を邪魔するレイチェルがいない学園生活に喜んでいるらしく、既に婚約者同士の仲は熱々だと言う。
カイには、レイチェル以上に鈍く見えるサマンサが相手で、大丈夫かと思うがしっかり者のジュリアンには理想の女性らしい。
精霊については、レイチェルと同じように古語を学んだ後、同じ本を読んで勉強した。
姉に褒められたくて、勉強を頑張るレイチェルと、レイチェルに褒められたくて、頑張って彼女よりも進みたいと思う自分は似ていると思う。
レイチェルが学園に入ってしまうと、カイは仕事を失ってしまう。平民の自分は学園に入れないし、そもそも男性だから、女性の寮に入れない。彼女の侍従としてできることがなければ、カイがこの場所に居座ることはできない。
レイチェルが学園に通うようになるまでは全力で働こうと決意した日、侯爵夫妻から声をかけられた。
「カイ、貴方突然だけど、子爵家の子になる気はない?」
本当に突然のことに戸惑っていると、侯爵から本当に言いにくそうに話があった。
「レイチェルの側にずっといる気はないかな。君達は仲が良いみたいだから、娘を頼みたいと思うのだが。」
「それは、どういうことでしょうか。私は侍従として、ずっと側にいるつもりでありますが。」
「侍従として、だけではなく、レイチェルの一番の理解者になってほしいのよ。今の立場では、ちょっと難しいから、一旦分家の子爵家に入ってもらいたいの。」
「どういうことですか?」
「レイチェルの婚約者になって貰えない?」
「……は?」
1
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説

モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?
まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。
うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。
私、マーガレットは、今年16歳。
この度、結婚の申し込みが舞い込みました。
私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。
支度、はしなくてよろしいのでしょうか。
☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~
みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。
何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。
第一部(領地でスローライフ)
5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。
お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。
しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。
貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。
第二部(学園無双)
貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。
貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。
だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。
そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。
ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・
学園無双の痛快コメディ
カクヨムで240万PV頂いています。

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる