だって姉が眩しかったから

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だって私の侍従が眩しくて

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レイチェルの侍従になったカイは実は危機の中にあった。彼らは青く光ることでそれを誰かに伝えていた。それは、あの神官のいうように、レイチェルに見つけてもらう為なんだろうか。そんな一か八か会えるかどうかわからないような人に命運を託したりするだろうか。彼らはレイチェルとは違う誰かに危機を伝えたかったのではないだろうか。

そういったことを神官ではなく、帰ってから父に話した。


どうやら父も同じことを思っていたらしく、何やら考え込んでいた。

「黒の精霊様について、調べたい。」
「レイチェルにはまだ少し難しいと思うが読んでみるか?」

図書室の奥にある古い分厚い本。ページを一枚捲るだけで丁寧に扱わなければいけないとわかる本。古語で書かれているため、レイチェルには難しい。見兼ねたサマンサが勉強がてら古語をレイチェルに教えてくれるという。

父は精霊様が読む手助けをしてくれる、と期待していたようだが、助けてくれたのは姉だった。


「レイチェル、今後彼をお前の侍従につけるから彼の変化を見つけたら、教えてほしい。勿論、姉のサマンサも一緒だ。今のところこの屋敷内で精霊様が見えるのはお前だけなんだ。些細なことでも良いから。」

忙しい父の邪魔にはなりたく無いが毎日報告することを約束させられた。実はレイチェルは父に少し不満がある。

行くと必ず、お膝の上に乗せられることだ。父はいつまでもレイチェルのことを小さな赤ん坊だと認識している為、姉にはもうしないのに、やたらめったらレイチェルには構ってくるのだ。それがレイチェルにはうっとうしくてたまらない。


社交界では未だに若い女性にも人気だと噂の父だが、娘からすると、忙しいからか最近薄くおじさんの匂いを纏うようになった父に不用意に近づきたく無いと言うのが本音。

「レイチェルはずっと可愛いままでいてほしいのよ。さすがにもう少しすれば、諦めてちゃんと接するようになるわ。」
母の言葉に姉も笑顔で頷いている。

「だって匂いがキツイんだもの。」
「レイチェル、大丈夫だとは思うけれど、その匂いとやらをあの人に直接指摘するのはやめてあげて。立ち直れなくなって仕事に支障が出るから。」

可哀想だから、と言わないところが母の良いところだ。レイチェルの言い分を否定しないところも、母にも思い当たる節があるのかもしれない。

「カイには匂いはないのに、不思議ね。いつから匂いが出るようになるのかしら。」

「わからないけれど、食生活やら忙しいせいで臭くなることがあるみたいよ。」

なら、カイにはあまり忙しくさせない方が良いわね。

父への不満はさて置き、カイに目を向けると、侍従として、既に忙しそうに見える。

彼のためにも早くこの本を読めるようにならなくちゃ。気合いを入れるレイチェルに、母の心配そうな視線が刺さった。


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