だって姉が眩しかったから

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だって姉の友人が眩しくて

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「まぁ、可愛いわ。やっぱり妹が欲しかったわ、私。」

レイチェルが、母レベッカに叩き込まれた挨拶をすると、目の前の美少女は笑ってレイチェルをギュッと抱きしめた。姉サマンサが一番美しいと常日頃思っているレイチェルだが、彼女はサマンサとは別方向の美人だった。

サマンサについている光も同じように思ったのか、彼女の周りを眩しいくらいに飛び回っている。

「あら、顔を顰めてどうしたの?可愛い顔が凄いことになっているわよ。」

レイチェルはこの人なら怒ったりはせずに笑ってくれそうだと、正直に答えてみる。

「リリアンヌ様があまりにも眩しくて直視ができないのです。」
彼女は、その意味を正しく理解し、驚いている。

「驚いた。貴女、もしかして、愛し子かしら。珍しい能力を持っているのね。」

その言葉に驚いたのは此方も同じ。レイチェルは先の言葉で愛し子と見抜かれるとは思ってもいなかった。

「私に伝えてくれたことは嬉しいわ。でもね、もう少し慎重にならなくちゃダメよ。世の中には悪い人もいるのだから。」
やっぱりあの光達は正しかった。眩しいのはごめんだけど、適切な人を教えてくれるんだもの。




姉がお茶会で出会った友人を呼んで、侯爵家で茶会をすることになった。

本来なら茶会デビューもまだのレイチェルは顔見せもしないつもりだったのだが、サマンサが友人に妹がいる、と口を滑らせたところ、まさかの公爵令嬢から会いたいと、言われたようだ。

「リリアンヌ様は弟さんがいらっしゃるの。弟も可愛いのでしょう?と聞くと、可愛くない、と言って、妹が羨ましいと言うのよ。レイチェル、リリアンヌ様に会ってもらえないかしら。」

姉以外の子供に面識のないレイチェルだが、うん、と頷き母を見た。

「それまでにちゃんとマナーを練習しなくてはね。」

下位貴族出身の母は、侯爵家に嫁ぐ際にマナーに苦労したという。下位貴族と高位貴族のマナーは全くの別物と言っても過言ではない。位が高くなるにつれ高い教養をこなして当然だと見做され、それが出来ないと価値なしだと見限られてしまう。

失敗して許されるのは茶会にでるまでの間だけ。ある意味レイチェルは失敗できるのだが、それでもリシート侯爵家にとって不名誉になるかもしれない。

レイチェルはサマンサに比べ、じっとしてることが苦手だ。だが、興味があるものがあれば別だ。レイチェルは、お姉様のご友人に興味津々だった。

リリアンヌ様はサマンサの話によれば、 話題が豊富で良く笑う楽しい人だと言う。第一王子殿下の婚約者にと、王家から打診されたものの、丁重に断った強者だ。

「隣の、カルセット国の大公子息と、既に結婚のお約束をされているのですって。」

リリアンヌ様の家、グルマイト公爵家はカルセット国の王女が嫁いできたことがある。彼の国と、友好関係が続いているのも公爵家の力が大きい。

国力の差を思えば、公爵家との縁談は諦めた方がこの国にとっては良いことであると、国王陛下は打診を取り下げてくれたらしい。




お茶会には、リリアンヌ様の他に、侯爵家のご令嬢が二人、伯爵家のご令嬢が二人。

リリアンヌ様が王子殿下の婚約者候補を断った為に、その役目が回ってきてしまったご令嬢もいた。

リーチ侯爵家のダニエラ様や、フォスター侯爵家のナディア様は、断ろうにも王家には逆らえず候補になってしまったと言う。

皆がなりたくないって、どれだけ人気がないのか、とレイチェルは呆れていたが、王宮での茶会で、サマンサに起こったことを聞いて、王子殿下を叩きのめすことを決めた。

王子殿下は、サマンサに対し、「俺の側室にしてやる。」と迫ったのだとか。私の大切な姉を側室呼ばわり。何故に側室なのかと聞くと、正室は既に約束した人がいるらしい。勿論、王家は預かり知らぬところで。

後日、正式にお断りした我が家に王妃様からお詫びの品が届いた。

まさかそんな失礼なことをしていたとは思ってもいなかったようだ。王家といえど偉ぶらない陛下と王妃様にどうしてあんな我儘な子が生まれるのかと不思議に思っていたら、母からの視線を感じた。

何か言いたいことがあるのかな?よくわからない。



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