だって姉が眩しかったから

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だって姉の宝石が眩しくて

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この世には誕生日に贈る石というものがあるらしい。これは宝石商が勝手に考えた陰謀論ではないかと、レイチェルは思うのだが、姉サマンサに似合う宝石を探すとなれば、話は変わってくる。

姉の誕生石は、薄緑色で、可愛らしいのだが、姉の美しさを引き立てるには何かが足りないような……

姉の茶会デビューを前に、はじめての宝石を選ぶ私達。本当は姉の分だけを買うつもりだったが、お揃いを欲しくて、チラチラソワソワしていたら、レイチェルの分も買っていいと言う。

「良かったわね。貴女の瞳の色も素敵だし、好きな色でも良いし。こんなにたくさんあると悩んでしまうわね。」

姉は、一人で悩んでいたのが二人になって嬉しかったのか、自分のことをそっちのけでレイチェルに似合うものを探し始める始末。

レイチェルは嬉しい。嬉しいのだが、ここでも、また邪魔な奴らは現れた。

姉サマンサがせっかくレイチェルのために選んでくれる宝石が見えない。宝石の光も相まっていつもより余分に光っているように思える。眩しいなんてものではなく、目が開けられない。

クリクリの瞳が薄く閉じられ、顔を顰める。今まで二人を微笑ましく眺めていた宝石商と母レベッカは、レイチェルの様子に困惑している。

「もしかして、レイチェル。貴女また?」

母はレイチェルがまた眩しがっているのを察してくれたのだが、部外者の宝石商にはその事情がわからない。

「精霊の愛し子」なのではないか、と言う疑念は防犯上あまり公には出来ないからだ。

宝石商がその日、見たものは、姉が選んだものを嫌そうに拒否する妹で、それは大いなる誤解である。

対する姉は、自分の選んだものに精霊が群がると言うことは、この石が精霊のお墨付きなのでは?と、前向きに捉えている。

「ダメよ、レイチェル。ここでは抑えてちょうだい。」

母は必死に説得する。宝石商は、精霊を見えないとしても全てが明るみになった時に心証が悪くなることは避けたい。

それに、侯爵家の次女がご乱心だと思われたくなかった。

レイチェルは姉が選んだ数点を、姉が離れた隙に見ることにして、その可愛さと、これを選んでくれた姉に感謝した。

宝石商はその様子に胸を撫で下ろす。妹は姉が嫌いなのではなく、素直になれないだけなのだと、立派な勘違いをして。

姉の為に宝石を選びたい、と言うレイチェルの考えはうまくいかなかった。でも、レイチェルは満足だ。

「私はこれにする。レイチェルと、お揃いでつけたいわ。」

姉サマンサが選んでくれたお揃いは、レイチェルの宝物になった。

出来上がった姉の宝石はやっぱり眩しくて中々見ることは出来なかったのだけれど。


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