僕の運命は君じゃない

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協力者と対価の心配

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「ええと、貴方と伯爵家の関係を聞いても?」
協力する気があるのかないのか、ムスッとした顔で此方を見ている男。だけど、話を聞いて彼を此方側にするのは大きな力になると知った。

「私は知っての通り、ベネーノ家に入ってはいるが庶子だ。私の母は、私を産む前に、モスカント伯爵との間に子を産んだ。それがソフィーという名で、今はモスカント伯爵家にいる。

私は実の母をある意味では尊敬して、ある意味では、軽蔑している。

母は、ベネーノ公爵との間に私を作り、モスカント伯爵との間にソフィーを作った。思惑の当たり外れはあれど、何か理由があってそうしたのだと理解している。

相手はともかく母の方は、その都度命をかけて産んで来た。その理由を調べることで、私はベネーノ家と、モスカント家に纏わる秘密を知った。

例えば、この度、ダリア・モスカントとリュード・クルデリスが婚姻した。その理由などにも思い当たることがある。

何故、モスカント伯爵が前妻とその娘を虐げ、ルチアを可愛がるのか、何故ソフィーを庶子のままにし、それでいて面倒を見ているのか、などなど。ベネーノ家の秘密については話せないが、モスカント家については話せる。

聞いたところ、貴女が望む情報と私の知る内容は互いに補え合えるものだと思っている。私は第二王子の部下が亡くなった件でもテオドール王子殿下に情報を渡せると思う。」そこまでを話しながら、ニコリとも、特に表情を動かさないでいる彼がまるで人形のようで、怖いとメリッサは感じた。

ベネーノ家の庶子であり、モスカント家の庶子ソフィーの異父兄、リオル・ベネーノは、どこを見ているかわからない瞳でメリッサに対峙する。

「私達に協力することは、第二王子殿下には言わないで貰える?」

「ああ、元よりそのつもりだ。彼は優秀だが、情報戦はあまり得意ではないんだ。だから、多分大丈夫だと思う。」

「見つかると、何が不味いとかではないの。ただ、私が婚約者候補として、役に立てないと判明するだけだから。」

リオルは、異父妹であるソフィーには何の感情も持っていないと言っていた。

「多分、私の存在すら、知らない可能性が高い。私の半分は、ベネーノ公爵だが、彼方の半分は愚かだと有名なモスカント伯爵だからね。まあ、仕方がないかな。

大概、ああいう女は、他人が自分よりいい生活を送っていると知るなり、狡いだの、よくわからない発想をして、はめつするものだ。正直なところ、巻き込まれたくないんだよ。」

他の誰でもないリオルが言うと、妙に説得力がある。

メリッサはリオルから手に入れた情報を組み立てて、ある仮説を立てる。リオルの情報の対価は、テオドールとの情報交換が終わってから。リオルの口調からは大したことは願わない、と聞いたが、彼らの判断基準はそもそも高いのだから、そんな言葉に騙されるものか。

最悪、母に頼ることも考えて、審判の刻を待った。
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