5 / 10
協力者と対価の心配
しおりを挟む
「ええと、貴方と伯爵家の関係を聞いても?」
協力する気があるのかないのか、ムスッとした顔で此方を見ている男。だけど、話を聞いて彼を此方側にするのは大きな力になると知った。
「私は知っての通り、ベネーノ家に入ってはいるが庶子だ。私の母は、私を産む前に、モスカント伯爵との間に子を産んだ。それがソフィーという名で、今はモスカント伯爵家にいる。
私は実の母をある意味では尊敬して、ある意味では、軽蔑している。
母は、ベネーノ公爵との間に私を作り、モスカント伯爵との間にソフィーを作った。思惑の当たり外れはあれど、何か理由があってそうしたのだと理解している。
相手はともかく母の方は、その都度命をかけて産んで来た。その理由を調べることで、私はベネーノ家と、モスカント家に纏わる秘密を知った。
例えば、この度、ダリア・モスカントとリュード・クルデリスが婚姻した。その理由などにも思い当たることがある。
何故、モスカント伯爵が前妻とその娘を虐げ、ルチアを可愛がるのか、何故ソフィーを庶子のままにし、それでいて面倒を見ているのか、などなど。ベネーノ家の秘密については話せないが、モスカント家については話せる。
聞いたところ、貴女が望む情報と私の知る内容は互いに補え合えるものだと思っている。私は第二王子の部下が亡くなった件でもテオドール王子殿下に情報を渡せると思う。」そこまでを話しながら、ニコリとも、特に表情を動かさないでいる彼がまるで人形のようで、怖いとメリッサは感じた。
ベネーノ家の庶子であり、モスカント家の庶子ソフィーの異父兄、リオル・ベネーノは、どこを見ているかわからない瞳でメリッサに対峙する。
「私達に協力することは、第二王子殿下には言わないで貰える?」
「ああ、元よりそのつもりだ。彼は優秀だが、情報戦はあまり得意ではないんだ。だから、多分大丈夫だと思う。」
「見つかると、何が不味いとかではないの。ただ、私が婚約者候補として、役に立てないと判明するだけだから。」
リオルは、異父妹であるソフィーには何の感情も持っていないと言っていた。
「多分、私の存在すら、知らない可能性が高い。私の半分は、ベネーノ公爵だが、彼方の半分は愚かだと有名なモスカント伯爵だからね。まあ、仕方がないかな。
大概、ああいう女は、他人が自分よりいい生活を送っていると知るなり、狡いだの、よくわからない発想をして、はめつするものだ。正直なところ、巻き込まれたくないんだよ。」
他の誰でもないリオルが言うと、妙に説得力がある。
メリッサはリオルから手に入れた情報を組み立てて、ある仮説を立てる。リオルの情報の対価は、テオドールとの情報交換が終わってから。リオルの口調からは大したことは願わない、と聞いたが、彼らの判断基準はそもそも高いのだから、そんな言葉に騙されるものか。
最悪、母に頼ることも考えて、審判の刻を待った。
協力する気があるのかないのか、ムスッとした顔で此方を見ている男。だけど、話を聞いて彼を此方側にするのは大きな力になると知った。
「私は知っての通り、ベネーノ家に入ってはいるが庶子だ。私の母は、私を産む前に、モスカント伯爵との間に子を産んだ。それがソフィーという名で、今はモスカント伯爵家にいる。
私は実の母をある意味では尊敬して、ある意味では、軽蔑している。
母は、ベネーノ公爵との間に私を作り、モスカント伯爵との間にソフィーを作った。思惑の当たり外れはあれど、何か理由があってそうしたのだと理解している。
相手はともかく母の方は、その都度命をかけて産んで来た。その理由を調べることで、私はベネーノ家と、モスカント家に纏わる秘密を知った。
例えば、この度、ダリア・モスカントとリュード・クルデリスが婚姻した。その理由などにも思い当たることがある。
何故、モスカント伯爵が前妻とその娘を虐げ、ルチアを可愛がるのか、何故ソフィーを庶子のままにし、それでいて面倒を見ているのか、などなど。ベネーノ家の秘密については話せないが、モスカント家については話せる。
聞いたところ、貴女が望む情報と私の知る内容は互いに補え合えるものだと思っている。私は第二王子の部下が亡くなった件でもテオドール王子殿下に情報を渡せると思う。」そこまでを話しながら、ニコリとも、特に表情を動かさないでいる彼がまるで人形のようで、怖いとメリッサは感じた。
ベネーノ家の庶子であり、モスカント家の庶子ソフィーの異父兄、リオル・ベネーノは、どこを見ているかわからない瞳でメリッサに対峙する。
「私達に協力することは、第二王子殿下には言わないで貰える?」
「ああ、元よりそのつもりだ。彼は優秀だが、情報戦はあまり得意ではないんだ。だから、多分大丈夫だと思う。」
「見つかると、何が不味いとかではないの。ただ、私が婚約者候補として、役に立てないと判明するだけだから。」
リオルは、異父妹であるソフィーには何の感情も持っていないと言っていた。
「多分、私の存在すら、知らない可能性が高い。私の半分は、ベネーノ公爵だが、彼方の半分は愚かだと有名なモスカント伯爵だからね。まあ、仕方がないかな。
大概、ああいう女は、他人が自分よりいい生活を送っていると知るなり、狡いだの、よくわからない発想をして、はめつするものだ。正直なところ、巻き込まれたくないんだよ。」
他の誰でもないリオルが言うと、妙に説得力がある。
メリッサはリオルから手に入れた情報を組み立てて、ある仮説を立てる。リオルの情報の対価は、テオドールとの情報交換が終わってから。リオルの口調からは大したことは願わない、と聞いたが、彼らの判断基準はそもそも高いのだから、そんな言葉に騙されるものか。
最悪、母に頼ることも考えて、審判の刻を待った。
3
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説

あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。


三度目の嘘つき
豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」
「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」
なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。


さようなら、もと婚約者さん~失踪したあなたと残された私達。私達のことを思うなら死んでくれる?~
うめまつ
恋愛
結婚して三年。今頃、六年前に失踪したもと婚約者が現れた。
※完結です。
※住む世界の価値観が違った男女の話。
※夢を追うって聞こえはいいけど後始末ちゃんとしてってほしいと思う。スカッとな盛り上がりはなく後読感はが良しと言えないですね。でもネクラな空気感を味わいたい時には向いてる作品。
※お気に入り、栞ありがとうございます(*´∀`*)

婚約破棄をしてくれてありがとうございます~あなたといると破滅しかないので助かりました (完結)
しまうま弁当
恋愛
ブリテルス公爵家に嫁いできた伯爵令嬢のローラはアルーバ別邸で幸せなひと時を過ごしていました。すると婚約者であるベルグが突然婚約破棄を伝えてきたのだった。彼はローラの知人であるイザベラを私の代わりに婚約者にするとローラに言い渡すのだった。ですがローラは彼にこう言って公爵家を去るのでした。「婚約破棄をしてくれてありがとうございます。あなたといると破滅しかないので助かりました。」と。実はローラは婚約破棄されてむしろ安心していたのだった。それはローラがベルグがすでに取り返しのつかない事をしている事をすでに知っていたからだった。

初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。

離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない
月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる