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ライバル
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「リアム様の本命は私でなくて、ワインなんですね。」
悲しげに目を伏せたアリアに、酒のせいか動悸が激しくなる。
「いや、違う。絶対そんなことはない。」
いい気分になっていたのは、自分だけなんて、そんなことは!
アリアと何とか目を合わせようと試みるものの、俯いている彼女とは目が合わず、割と本気で怒っていることが、見てとれる。
「アリア、お願いだから聞いて?」
「酔って覚えていらっしゃらないじゃないですか、いつもいつもいつも!」
拗ねたアリアも可愛い、と思えるほど、嘘です。全て覚えています。覚えているけれど、素面だと恥ずかしくて、いたたまれなくて、覚えていないことにしただけです。
顔を手で覆ったまま、しばし反省する。確かに酔っ払っていると、思考が空回る。ぐるぐる回って、アリアが可愛い、に落ち着くと、愛を囁きたくなってしまい、嫌がられるのだった。
「リアム様のこんな姿を見られて、嬉しいのか悲しいのかわからない。」
そうアリアが溢していたと、クレアから聞いて、気まずくなる。クレアは、昔からエルザと仲が良いが、彼女と初めて会ったのは、彼女の元婚約者経由だった。
クズ中のクズだった彼女の婚約者は、リカルドの兄の取り巻きだった。リカルドの兄も、クレアの元婚約者に負けず劣らずのクズで、クズはクズ同士、仲良く落ちぶれていった。
クズ同士仲良く平民になったところで、クレアとの婚約は勿論なくなったし、リカルドも敬えない兄との不毛な争いに決着をつけた。
私は彼らの監視を命じられていたため、クレアもリカルドも、頼りにしていた。
「初めて会った時は、完璧すぎて、つまらないと思ったけれど、たしかにこんな残念な男だったとはね。」
「恋愛は、慣れてないんだ。仕方ないだろ。」
「あの子だってまだ若いんだし、大人ぶらなくていいのよ。もう、残念な中身は知られているんだから、かっこつけてないで、真っ直ぐぶち当たるのよ。あの子、あのままだったら、ワインが本命で、私は浮気相手ですか、とか言い出しかねないわよ?」
「……すでに近いことは言われている。」
「ほら、バカ。初恋の人は、複数の女性と浮気して、次の人はワインと恋人?馬鹿じゃないの。早く謝って、ちゃんと恋人になってきなさい。」
クレアにバカバカ言われていても、何の反論もできない。確かにバカだから。
今日はまだ、一滴も飲んでいない。アリアはまだ少し不満そうにしている。
「アリア、今日は一滴も飲んでいないよ。」
アリアは近くまで来たら、私の匂いを嗅いで、納得してくれた。
「信じます。」
良かった。
「それで、言ってくださらないのですか。」
アリアがもじもじしているのが、最高に可愛い。
アリアの近くに寄ると、すごくドキドキしてしまう。恥ずかしくて堪らない。でも、よく見ると、彼女も同じ反応をしている。
アリアの手を握る。手の指にキスをして、目を見ながら、「愛してるよ。」と声に出すと、彼女はとても驚いていた。
まっすぐなアリアの瞳の中に引きずり込まれそう。
私としては、頑張ったと思うのだけれど、アリアは真っ赤になって、その後、意識を失ってしまったから、愛を囁き合うのはお預けになった。
当面のライバルは、アリアのかわいさかな。可愛いが過ぎる。
終わり
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。リアムのアル中エンドは回避しましたが、イチャイチャにはまだかかりそうです。
mios
悲しげに目を伏せたアリアに、酒のせいか動悸が激しくなる。
「いや、違う。絶対そんなことはない。」
いい気分になっていたのは、自分だけなんて、そんなことは!
アリアと何とか目を合わせようと試みるものの、俯いている彼女とは目が合わず、割と本気で怒っていることが、見てとれる。
「アリア、お願いだから聞いて?」
「酔って覚えていらっしゃらないじゃないですか、いつもいつもいつも!」
拗ねたアリアも可愛い、と思えるほど、嘘です。全て覚えています。覚えているけれど、素面だと恥ずかしくて、いたたまれなくて、覚えていないことにしただけです。
顔を手で覆ったまま、しばし反省する。確かに酔っ払っていると、思考が空回る。ぐるぐる回って、アリアが可愛い、に落ち着くと、愛を囁きたくなってしまい、嫌がられるのだった。
「リアム様のこんな姿を見られて、嬉しいのか悲しいのかわからない。」
そうアリアが溢していたと、クレアから聞いて、気まずくなる。クレアは、昔からエルザと仲が良いが、彼女と初めて会ったのは、彼女の元婚約者経由だった。
クズ中のクズだった彼女の婚約者は、リカルドの兄の取り巻きだった。リカルドの兄も、クレアの元婚約者に負けず劣らずのクズで、クズはクズ同士、仲良く落ちぶれていった。
クズ同士仲良く平民になったところで、クレアとの婚約は勿論なくなったし、リカルドも敬えない兄との不毛な争いに決着をつけた。
私は彼らの監視を命じられていたため、クレアもリカルドも、頼りにしていた。
「初めて会った時は、完璧すぎて、つまらないと思ったけれど、たしかにこんな残念な男だったとはね。」
「恋愛は、慣れてないんだ。仕方ないだろ。」
「あの子だってまだ若いんだし、大人ぶらなくていいのよ。もう、残念な中身は知られているんだから、かっこつけてないで、真っ直ぐぶち当たるのよ。あの子、あのままだったら、ワインが本命で、私は浮気相手ですか、とか言い出しかねないわよ?」
「……すでに近いことは言われている。」
「ほら、バカ。初恋の人は、複数の女性と浮気して、次の人はワインと恋人?馬鹿じゃないの。早く謝って、ちゃんと恋人になってきなさい。」
クレアにバカバカ言われていても、何の反論もできない。確かにバカだから。
今日はまだ、一滴も飲んでいない。アリアはまだ少し不満そうにしている。
「アリア、今日は一滴も飲んでいないよ。」
アリアは近くまで来たら、私の匂いを嗅いで、納得してくれた。
「信じます。」
良かった。
「それで、言ってくださらないのですか。」
アリアがもじもじしているのが、最高に可愛い。
アリアの近くに寄ると、すごくドキドキしてしまう。恥ずかしくて堪らない。でも、よく見ると、彼女も同じ反応をしている。
アリアの手を握る。手の指にキスをして、目を見ながら、「愛してるよ。」と声に出すと、彼女はとても驚いていた。
まっすぐなアリアの瞳の中に引きずり込まれそう。
私としては、頑張ったと思うのだけれど、アリアは真っ赤になって、その後、意識を失ってしまったから、愛を囁き合うのはお預けになった。
当面のライバルは、アリアのかわいさかな。可愛いが過ぎる。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。リアムのアル中エンドは回避しましたが、イチャイチャにはまだかかりそうです。
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( *´艸`)。
完結おめでとうございます。
リアム様がシラフの時は、
アリアが可愛い~!😍
いつまでも、末長くお幸せにー!
2人の子供、可愛いんだろうなぁ。😍
ありがとうございます!この調子では、いつになることやら、ですが。子供たちにはヘタレは似ないことを祈ります。
😂、本当にアリアに尻に退かれてる。
シラフで愛の言葉言えるようになりましょう。
アル中エンドは笑えないので回避しました!
リアム様、せめてお酒の力を借りずに言えるようになりましょうよ😂。一番の問題はリアム様自身ですな😅。
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