20 / 27
いつまで?
しおりを挟む
リアム様の都合が良くなるのは一体いつまででしょうか。私は良いのです。もう、将来は仕事に打ち込むと決めたのですから。リアム様が婚約者をお決めになるまでの仮の婚約者として、居続けたとして、浮気に使われた私に求婚する方など、いないのですから。
リシャール家に戻り働いていましたら、仕事の後で、クレアから呼び止められ、手紙を渡されました。
「旦那様からもお話があると思うけれど、今度王家主催の夜会に誘われたわ。エルザのお誘いだけど、貴女も一緒に行くわよね。」
「夜会?私まだ一度も出たことがないのだけれどいいのかしら。」
「丁度良いのではなくて?貴方のエスコート役はリアム様がしてくださるから、安心して。あ、それで、そのリアム様からの手紙よ。」
クレアがもう一通手紙を渡してくれます。初めての夜会は心細いですが、リアム様のお手紙を読むと、少し緊張が解けます。
「リアム様から、何て?」
「今週中に、家に来て欲しいのですって。急を擁するらしいわ。どうされたのかしら。」
クレアは特に驚いた様もなく、スケジュールを確認しています。
「明後日お伺いします、って言っておくわ。お昼からなら私も行けるから。」
頼もしい友人を持って幸せですが、できることなら内容を教えてほしいです。クレアは、ニコニコしながら、言います。
「怖いことはないわよ。ただちょっと疲れるかもしれないけれど。」
私は何もわからないままに、再度、ヒーラー家を訪ねます。
迎えて下さったのは、ララ様と、エルザ様と、あと知らない方です。
中には色とりどりのドレスが置いてあり、漸く今日の予定がわかりました。
エルザ様とララ様の夜会のドレスを選ぶようです。私はお手伝い要員ですね。クレアを見ると、すでに小物を眺めていました。
遅れを取ってしまっています。私に手伝うことはないかと、ウロウロしておりますと、ララ様に捕獲されました。
布地を私に合わせて、話が弾みます。ご自身で合わせられた方がわかりやすい、と思うのですが。私はなるべく主張せず、その場に立ちます。
私の側にクレアが立ちます。クレアは背が高いので男性役みたいです。
エルザ様の選んだ男女でお揃いの色合いで、ドレスやら小物が見る見る内に決まっていきます。
知らない女性は、私がぼんやりしている間に、私のサイズを測ってくれました。そこでようやく、私は気がつくのです。
「もしかして、私の為ですか?」
クレアが、笑いを堪えています。
「今気がついたのね?うーん、これはお兄様の苦労が見えるわ。」
ララ様が、目を丸くしています。
「お兄様にはヘタレを克服してもらわなくてはなりませんわ。直球で行かなくては、通用しないと、わかっていただかなくては。」
エルザ様の眼力が凄いことになっています。
気がつくと蛇に睨まれた蛙の気分でした。
リシャール家に戻り働いていましたら、仕事の後で、クレアから呼び止められ、手紙を渡されました。
「旦那様からもお話があると思うけれど、今度王家主催の夜会に誘われたわ。エルザのお誘いだけど、貴女も一緒に行くわよね。」
「夜会?私まだ一度も出たことがないのだけれどいいのかしら。」
「丁度良いのではなくて?貴方のエスコート役はリアム様がしてくださるから、安心して。あ、それで、そのリアム様からの手紙よ。」
クレアがもう一通手紙を渡してくれます。初めての夜会は心細いですが、リアム様のお手紙を読むと、少し緊張が解けます。
「リアム様から、何て?」
「今週中に、家に来て欲しいのですって。急を擁するらしいわ。どうされたのかしら。」
クレアは特に驚いた様もなく、スケジュールを確認しています。
「明後日お伺いします、って言っておくわ。お昼からなら私も行けるから。」
頼もしい友人を持って幸せですが、できることなら内容を教えてほしいです。クレアは、ニコニコしながら、言います。
「怖いことはないわよ。ただちょっと疲れるかもしれないけれど。」
私は何もわからないままに、再度、ヒーラー家を訪ねます。
迎えて下さったのは、ララ様と、エルザ様と、あと知らない方です。
中には色とりどりのドレスが置いてあり、漸く今日の予定がわかりました。
エルザ様とララ様の夜会のドレスを選ぶようです。私はお手伝い要員ですね。クレアを見ると、すでに小物を眺めていました。
遅れを取ってしまっています。私に手伝うことはないかと、ウロウロしておりますと、ララ様に捕獲されました。
布地を私に合わせて、話が弾みます。ご自身で合わせられた方がわかりやすい、と思うのですが。私はなるべく主張せず、その場に立ちます。
私の側にクレアが立ちます。クレアは背が高いので男性役みたいです。
エルザ様の選んだ男女でお揃いの色合いで、ドレスやら小物が見る見る内に決まっていきます。
知らない女性は、私がぼんやりしている間に、私のサイズを測ってくれました。そこでようやく、私は気がつくのです。
「もしかして、私の為ですか?」
クレアが、笑いを堪えています。
「今気がついたのね?うーん、これはお兄様の苦労が見えるわ。」
ララ様が、目を丸くしています。
「お兄様にはヘタレを克服してもらわなくてはなりませんわ。直球で行かなくては、通用しないと、わかっていただかなくては。」
エルザ様の眼力が凄いことになっています。
気がつくと蛇に睨まれた蛙の気分でした。
1
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。



妹は奪わない
緑谷めい
恋愛
妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……
私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?


もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。

【完結】いわくつき氷の貴公子は妻を愛せない?
白雨 音
恋愛
婚約間近だった彼を親友に取られ、傷心していた男爵令嬢アリエルに、
新たな縁談が持ち上がった。
相手は伯爵子息のイレール。彼は妻から「白い結婚だった」と暴露され、
結婚を無効された事で、界隈で噂になっていた。
「結婚しても君を抱く事は無い」と宣言されるも、その距離感がアリエルには救いに思えた。
結婚式の日、招待されなかった自称魔女の大叔母が現れ、「この結婚は呪われるよ!」と言い放った。
時が経つ程に、アリエルはイレールとの関係を良いものにしようと思える様になるが、
肝心のイレールから拒否されてしまう。
気落ちするアリエルの元に、大叔母が現れ、取引を持ち掛けてきた___
異世界恋愛☆短編(全11話) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる