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任務完了
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リアム様の婚約者のふりをしてから、ララ様の解呪に成功するまで、私の精神は強くなるはずもなく、ただただ、恥ずかしさに打ち震える毎日でした。
クレアがニヤニヤしながら、リアム様と私の白々しい演技を見ています。
「どうせ、婚約者と思われているのだから、このまま婚約しちゃったら?お似合いだとおもうわよ?」
「何を言ってるの。私では、釣り合わないわよ。それに、私だって失恋したばかりで、すぐに別の人に、とはならないわ。」
「そうなの?でも、リアムなら信頼できるし、とても良い人だから、これを逃すと誰かにすぐ奪われてしまうわよ。良いの?」
クレアはそう言うけれど、良いも悪いも私にそう判断する権利などありません。リアム様は、私のような身分にも優しいですが、それは誰にでもであって、私だけにではないのです。
「そう言うクレアはどうなの?誰かいないの?」
「いるわよ、私は。言ってなかったっけ?」
はい?いるの?
「リアム様じゃないから、安心しなさい。私の相手はねぇ……今度会わせるわ。」
クレアが何だか嬉しそうなので、良しとしましたが、クレアは更に続けます。
「失恋を癒すには新しい恋をするのが、一番よ。リアム様を嫌いではないのでしょう?少し考えてみたら?」
「だから、そんなこと……リアム様に失礼だわ。」
そもそも、私は貧乏子爵家の娘です。次期侯爵様と身分が釣り合いませんし、そもそもリアム様に選ぶ権利があります。
クレアは、顔を顰めて、ぶつぶつと何かを呟いています。
「まさか、まだアイツ、アリアに何も言ってないの?は?いや、アリアが鈍いの?」
クレアの言葉が聞き取れなくて、首を傾げていると、リアム様がいつものように爽やかに部屋に入ってきました。
ララ様の問題も解決しましたし、私が侯爵家を手伝うこともなくなります。私は魔道具をお借りしてから、カイン様に会うことはなくなり、おかげで失恋で負った心の傷はだいぶ癒えてきました。
リアム様に見つめられ、大事な話があると言われます。
リアム様から聞いたのは、カイン様とララ様の婚約が、仕組まれた物であり、カイン様の本命が私であることでした。
「もしも、君が望むなら、カインは、君と婚約したいそうだ。そのために、今まで浮気をしていた相手とは全て手を切るそうだが、どうする?」
私はその申し出に、何故だか悲しくなりました。
「私は、カイン様ともう二度とお会いするつもりはありません。あの日、あの場に居合わせたことを忘れられそうにないのです。お会いするたびに別の女性の顔がチラつくなんて嫌ですもの。」
私が返事するまでは、心配そうな顔をしていたリアム様でしたが、言い終わる頃には穏やかな笑顔を浮かべています。
どうやら、私の返事はお気に召したようでした。
「それを言うなら私もだな。」
「?」
「アリア嬢にお願いがあるのだが……今回の件で、今社交界では私達の噂で持ちきりなんだそうだ。それで、申し訳ないのだが、お互いにいい人が見つかるまでで良いので、この関係を続けて欲しいんだ。」
「それは、私は構いませんが、リアム様に負担になりませんか?さっさと噂は偽りだと白状して、公表した方が良いと思いますが。」
「いやっ、ダメだ。ええと、あの……アリア嬢が……いや、あの私が、懸念事項を全てクリアにするまで、このままでいて欲しいんだ。なるべく早く済ますから。お願いだ。」
意味がよくわかりませんが、必死なリアム様を見ていたら、かわいそうになってしまい、断れませんでした。
リアム様が、嬉しそうに笑います。他の令嬢に対する威圧感たっぷりの表情ではなくて、可愛らしい笑顔です。
私はあと少しだけ、この表情を堪能できることに、喜びを感じていました。
クレアがニヤニヤしながら、リアム様と私の白々しい演技を見ています。
「どうせ、婚約者と思われているのだから、このまま婚約しちゃったら?お似合いだとおもうわよ?」
「何を言ってるの。私では、釣り合わないわよ。それに、私だって失恋したばかりで、すぐに別の人に、とはならないわ。」
「そうなの?でも、リアムなら信頼できるし、とても良い人だから、これを逃すと誰かにすぐ奪われてしまうわよ。良いの?」
クレアはそう言うけれど、良いも悪いも私にそう判断する権利などありません。リアム様は、私のような身分にも優しいですが、それは誰にでもであって、私だけにではないのです。
「そう言うクレアはどうなの?誰かいないの?」
「いるわよ、私は。言ってなかったっけ?」
はい?いるの?
「リアム様じゃないから、安心しなさい。私の相手はねぇ……今度会わせるわ。」
クレアが何だか嬉しそうなので、良しとしましたが、クレアは更に続けます。
「失恋を癒すには新しい恋をするのが、一番よ。リアム様を嫌いではないのでしょう?少し考えてみたら?」
「だから、そんなこと……リアム様に失礼だわ。」
そもそも、私は貧乏子爵家の娘です。次期侯爵様と身分が釣り合いませんし、そもそもリアム様に選ぶ権利があります。
クレアは、顔を顰めて、ぶつぶつと何かを呟いています。
「まさか、まだアイツ、アリアに何も言ってないの?は?いや、アリアが鈍いの?」
クレアの言葉が聞き取れなくて、首を傾げていると、リアム様がいつものように爽やかに部屋に入ってきました。
ララ様の問題も解決しましたし、私が侯爵家を手伝うこともなくなります。私は魔道具をお借りしてから、カイン様に会うことはなくなり、おかげで失恋で負った心の傷はだいぶ癒えてきました。
リアム様に見つめられ、大事な話があると言われます。
リアム様から聞いたのは、カイン様とララ様の婚約が、仕組まれた物であり、カイン様の本命が私であることでした。
「もしも、君が望むなら、カインは、君と婚約したいそうだ。そのために、今まで浮気をしていた相手とは全て手を切るそうだが、どうする?」
私はその申し出に、何故だか悲しくなりました。
「私は、カイン様ともう二度とお会いするつもりはありません。あの日、あの場に居合わせたことを忘れられそうにないのです。お会いするたびに別の女性の顔がチラつくなんて嫌ですもの。」
私が返事するまでは、心配そうな顔をしていたリアム様でしたが、言い終わる頃には穏やかな笑顔を浮かべています。
どうやら、私の返事はお気に召したようでした。
「それを言うなら私もだな。」
「?」
「アリア嬢にお願いがあるのだが……今回の件で、今社交界では私達の噂で持ちきりなんだそうだ。それで、申し訳ないのだが、お互いにいい人が見つかるまでで良いので、この関係を続けて欲しいんだ。」
「それは、私は構いませんが、リアム様に負担になりませんか?さっさと噂は偽りだと白状して、公表した方が良いと思いますが。」
「いやっ、ダメだ。ええと、あの……アリア嬢が……いや、あの私が、懸念事項を全てクリアにするまで、このままでいて欲しいんだ。なるべく早く済ますから。お願いだ。」
意味がよくわかりませんが、必死なリアム様を見ていたら、かわいそうになってしまい、断れませんでした。
リアム様が、嬉しそうに笑います。他の令嬢に対する威圧感たっぷりの表情ではなくて、可愛らしい笑顔です。
私はあと少しだけ、この表情を堪能できることに、喜びを感じていました。
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