浮気は私の方でした

mios

文字の大きさ
上 下
17 / 27

リアム

しおりを挟む
私は、セレーナ嬢にお会いしてから、約二週間ほとんど邸でアリア嬢とお互いしか目に入らないバカップルを演じていた。最初は、恥ずかしそうな彼女が可愛らしく、初々しくて、照れ臭さからからかい半分だったのだが、彼女の人となりに目がいくにつれ、事実を知ることとなった。

あの遊び人のカイン・バルトが唯一手を出せなかった相手。遊びの相手なら、そこがどこであっても躊躇なく、手を出すのに、彼女にはせいぜい人前で手を繋ぐだけ。しかも、それにも半年近く時間がかかったと言う。

バルト伯爵夫人は、野心が強く、息子の結婚相手に、子爵令嬢は選ばない。だから、カインとアリア嬢が結ばれるには、カインの母親をどうにかしなくてはならない。

彼なら何とかするつもりだったのかもしれないが、今となってはもう後の祭りだ。それでも今回の件について、カインから説明があったなら、少し違う結果になったと思う。

まあ、あいつは結局アリア嬢に、遊び人の自分を見せることができなかったのだから、自業自得だ、と言える。

どうして、私の婚約者として彼女を利用させてもらったかについては、一つだけ。呪いをかけたご令嬢とは面識がないことだ。特にララを狙ったご令嬢は勿論、彼女を知らない。

ここでは、アリア嬢が学園に通っていないことが、役に立った。だからこそ、彼女にかけられた呪いとララにかけられた呪いの犯人を別々に見分けることが出来た。

呪いを返す魔道具は、昔から多く存在している。けれど、その多くはより過激で、場合によっては命まで奪ってしまう。それはいくら何でもやりすぎだと思う。

あんなに醜い瘤が付くのなら死んだ方がマシだと思っていたとしても、本当に死ぬなど、思っていないのは一目瞭然だ。

リシャール侯爵家をどうこう言うつもりはないが、あの家にいるのは、良い人ばかりなので、危機管理があってないようなものだ。案の定、怪しげな使用人を引き入れてしまっている。アリア嬢といい、カインといい、リシャール侯爵家といい、厄介者が寄ってきすぎだ。

私が考え込んでいると、カインからの手紙が届いていた。またアリア嬢に会いたい、と言う内容ではないだろうな、と警戒したがそうではなかった。

アリア嬢に呪いをかけたのは、母親と彼女の命じた侍女だと、書いてあった。書いてあったものの、呪いについて、どうにかしてほしいと言う記述もなかったので、そのままにする。

気の毒だが、仕方がない。

彼の分までアリア嬢を守らなくてはいけないのだから。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。

さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。 許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。 幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。 (ああ、もう、) やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。 (ずるいよ……) リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。 こんな私なんかのことを。 友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。 彼らが最後に選ぶ答えとは——? ⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

一目惚れ

詩織
恋愛
恋も長くしてない私に突然現れた彼。 でも彼は全く私に興味なかった

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

見栄を張る女

詩織
恋愛
付き合って4年の恋人がいる。このままだと結婚?とも思ってた。 そんな時にある女が割り込んでくる。

妹は奪わない

緑谷めい
恋愛
 妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……  私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?

犠牲の恋

詩織
恋愛
私を大事にすると言ってくれた人は…、ずっと信じて待ってたのに… しかも私は悪女と噂されるように…

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない

もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。 ……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。

処理中です...