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リアム
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私は、セレーナ嬢にお会いしてから、約二週間ほとんど邸でアリア嬢とお互いしか目に入らないバカップルを演じていた。最初は、恥ずかしそうな彼女が可愛らしく、初々しくて、照れ臭さからからかい半分だったのだが、彼女の人となりに目がいくにつれ、事実を知ることとなった。
あの遊び人のカイン・バルトが唯一手を出せなかった相手。遊びの相手なら、そこがどこであっても躊躇なく、手を出すのに、彼女にはせいぜい人前で手を繋ぐだけ。しかも、それにも半年近く時間がかかったと言う。
バルト伯爵夫人は、野心が強く、息子の結婚相手に、子爵令嬢は選ばない。だから、カインとアリア嬢が結ばれるには、カインの母親をどうにかしなくてはならない。
彼なら何とかするつもりだったのかもしれないが、今となってはもう後の祭りだ。それでも今回の件について、カインから説明があったなら、少し違う結果になったと思う。
まあ、あいつは結局アリア嬢に、遊び人の自分を見せることができなかったのだから、自業自得だ、と言える。
どうして、私の婚約者として彼女を利用させてもらったかについては、一つだけ。呪いをかけたご令嬢とは面識がないことだ。特にララを狙ったご令嬢は勿論、彼女を知らない。
ここでは、アリア嬢が学園に通っていないことが、役に立った。だからこそ、彼女にかけられた呪いとララにかけられた呪いの犯人を別々に見分けることが出来た。
呪いを返す魔道具は、昔から多く存在している。けれど、その多くはより過激で、場合によっては命まで奪ってしまう。それはいくら何でもやりすぎだと思う。
あんなに醜い瘤が付くのなら死んだ方がマシだと思っていたとしても、本当に死ぬなど、思っていないのは一目瞭然だ。
リシャール侯爵家をどうこう言うつもりはないが、あの家にいるのは、良い人ばかりなので、危機管理があってないようなものだ。案の定、怪しげな使用人を引き入れてしまっている。アリア嬢といい、カインといい、リシャール侯爵家といい、厄介者が寄ってきすぎだ。
私が考え込んでいると、カインからの手紙が届いていた。またアリア嬢に会いたい、と言う内容ではないだろうな、と警戒したがそうではなかった。
アリア嬢に呪いをかけたのは、母親と彼女の命じた侍女だと、書いてあった。書いてあったものの、呪いについて、どうにかしてほしいと言う記述もなかったので、そのままにする。
気の毒だが、仕方がない。
彼の分までアリア嬢を守らなくてはいけないのだから。
あの遊び人のカイン・バルトが唯一手を出せなかった相手。遊びの相手なら、そこがどこであっても躊躇なく、手を出すのに、彼女にはせいぜい人前で手を繋ぐだけ。しかも、それにも半年近く時間がかかったと言う。
バルト伯爵夫人は、野心が強く、息子の結婚相手に、子爵令嬢は選ばない。だから、カインとアリア嬢が結ばれるには、カインの母親をどうにかしなくてはならない。
彼なら何とかするつもりだったのかもしれないが、今となってはもう後の祭りだ。それでも今回の件について、カインから説明があったなら、少し違う結果になったと思う。
まあ、あいつは結局アリア嬢に、遊び人の自分を見せることができなかったのだから、自業自得だ、と言える。
どうして、私の婚約者として彼女を利用させてもらったかについては、一つだけ。呪いをかけたご令嬢とは面識がないことだ。特にララを狙ったご令嬢は勿論、彼女を知らない。
ここでは、アリア嬢が学園に通っていないことが、役に立った。だからこそ、彼女にかけられた呪いとララにかけられた呪いの犯人を別々に見分けることが出来た。
呪いを返す魔道具は、昔から多く存在している。けれど、その多くはより過激で、場合によっては命まで奪ってしまう。それはいくら何でもやりすぎだと思う。
あんなに醜い瘤が付くのなら死んだ方がマシだと思っていたとしても、本当に死ぬなど、思っていないのは一目瞭然だ。
リシャール侯爵家をどうこう言うつもりはないが、あの家にいるのは、良い人ばかりなので、危機管理があってないようなものだ。案の定、怪しげな使用人を引き入れてしまっている。アリア嬢といい、カインといい、リシャール侯爵家といい、厄介者が寄ってきすぎだ。
私が考え込んでいると、カインからの手紙が届いていた。またアリア嬢に会いたい、と言う内容ではないだろうな、と警戒したがそうではなかった。
アリア嬢に呪いをかけたのは、母親と彼女の命じた侍女だと、書いてあった。書いてあったものの、呪いについて、どうにかしてほしいと言う記述もなかったので、そのままにする。
気の毒だが、仕方がない。
彼の分までアリア嬢を守らなくてはいけないのだから。
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