浮気は私の方でした

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ララ

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呪い返しの効果は上々だ。ララは、訪れる女狐共に、その痕を見て、ほくそ笑む。呪い返しの道具は多々あれど、対ご令嬢用のものはまだなく、この魔道具も試作品だ。これを現実に売り出すには、テストデータが必要になる。ヒーラー侯爵家は、魔道具で財を得ている家であり、領民達のためにも、新商品を常に作り続ける必要があった。

ララは、魔道具作りにおいては、兄リアムや、姉エルザをも凌駕する才能を持つ。だからこそ、プレイボーイと悪名高い、カイン・バルトと、仮の婚約をしたのだった。

カイン・バルトは伯爵家の長男で、兄のリアムに次いで美しい、とは聞いていたが、ララには興味がなかった。

魔道具の力さえ、検証できさえすれば、あとはどうでもよかった。今回でわかったことは、ご令嬢は些細なことで人を呪ってしまう、と言うこと。そして、呪いを受ける相手は、自分よりも運が良く、自分よりも下に見ている人と言うことだ。

今回ララに呪いを掛けた者は、立場こそ違えど、潜在意識の中では、ララより上に自分を位置していた御人である。

セレーナ・アトラインを筆頭に聞いたことのある名から知らない人まで、実に、十名以上のご令嬢から呪いを受けていたらしい。

彼女達には、アリア嬢のお手伝いのおかげで、全てのご令嬢に、呪い返しの第一段階を贈ることに成功した。

第二段階はこれからだ。残念なことに、全員の絶望を見ることは叶わなかった。事あるごとに噛み付いてきたあのセレーナの表情を見られないのは残念だ。

だが、呪い返しの第二段階を見られる人は限られている。見た目が命のご令嬢達の顔面に容赦なく特大の瘤をくっつけるのだから。瘤が小さくなるには、一ヶ月ほどかかる。

急に、一ヶ月も社交界に現れなくなると、噂になる。あること、ないこと、話好きで、悪意のある貴族はたくさんいる。貴族のおしゃべりは、より正しい方ではなくて、より面白い方が、好まれる。

退屈な毎日には、ゴシップが必要だ。

魔道具について、知らないご令嬢は多い。魔法についても、学園に通っていても、ちゃんと理解していない。

呪いを掛けたら、掛けた人が、無傷である訳がない。かけられた人と同じかそれ以上に、災いが起きるのが、呪いの正体だ。

その事実を知らないから、安易に人を呪えるのだ。

ララが学園に通う頃には、学園内からたくさんのご令嬢が退学になっていた。

彼女達が、急に自主的に退学した理由が、噂となって、回ってきたので、真実を織り交ぜて返してやった。

学園の全員が、彼女達の呪い返しのことを知ることになった。

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