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衝撃の再会でした
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あれ?おかしいな。
彼女、こんな方でしたっけ?
愛する人と一緒にいる時と、他の方と一緒にいる時とで、印象が変わるのは当然かもしれません。ですが、……何というか……雰囲気どころか、顔が違うと言いましょうか。
見た目に明らかに変化が現れているように見えます。一見してわかりやすい変化ですが、驚くことに、御本人は全く気にしていないようなのです。
「本日はお招きありがとうございます。セレーナ・アトラインでございます。」
浮気の慰謝料についての話し合いで、そんな挨拶ができるのは、ふてぶてしいと言うのか、空気が読めないと言うのか。
「ようこそ、お越しくださいました。手紙でお伝えした通り、ララの婚約者であるカイン・バルトとの交際について、お聞きしたいのですが、宜しいですか。」
「はい。そのことについて、私は無実を訴えます。」
「では、カイン・バルトとはあくまでも友人であると?」
「ええ、勿論ですわ。あの、失礼ですが、その方は?」
「ああ、私の友人の、アリア嬢だよ。」
「アリア・サインと申します。」
緊張でガチガチでしたが、悟られないように笑顔で挨拶します。セレーナ様は、値踏みするように、頭から爪先まで眺めて、フンと見下すような目をしましたが、隣のリアム様が丁度同じタイミングで、私の手を握ります。
「アリア、私以外の人間を長く見つめないで。」
うぅ、セレーナ様の視線に殺気が宿ります。恐ろしくて直視できません。
「お兄様、その辺りにしていただかなくては、アリアが気を失ってしまいますわ。」
エルザ様の合いの手が入りましたが、既に私の意識は現実から離れつつありました。出来たら、もう少し早く、助けてほしかったです。
「申し訳ない。彼女の気分が優れないようだから、ここで失礼する。」
リアム様と共に、部屋の外に出されます。
先ほどの話し合いにないことでしたので、エルザ様を見ると、ニッコリと頷かれました。
安心して、外に出ると、リアム様に謝られます。
「恥ずかしいことばかりでごめんね。あれで、今日の君の仕事は終わったから。ありがとう。」
「えっ、もう終わりですか。」
「うん、あとは妹達が何とかするよ。あと、以前に渡したアクセサリーを持っている?」
「あ、はい。あの、少しヒビが入ってしまったのですが。」
申し訳なく、手渡すと、想定通りだったようで、気にしなくて良い、と受け取ってくれました。
その上で、同じものを渡されて、今日また帰ったら、同じことをするように、と言われます。不思議に思いますが、仕事です。どちらにせよ、考えてもわかりませんので、信じてその通りにします。
「あと、確認なんだけど、彼女の変化には気がついた?」
「ええ、何となく。どこか、前にお会いした時と印象が違いましたから。ただ、ご本人はご存知ないようでしたわ。あれは、どう言う原理なのですか?」
「うーん、原理はわからないのだけれど、あれも呪い返しの一種だよ。彼女の場合、人より優位に立とうとする歪んだ心が、ララの呪いの成分になってしまった、ってところかな。呪い返しには、段階があってね。第一段階では、周りに知られ、第二段階で自分が知る。気がついた頃には、自分が誰かを呪った事実を他の人に知られている、と言う。性格の悪いヤツが作った魔道具らしい。」
「では、あの方が、呪いに関係しているのですか?」
「そうだろうね、けれど、どれも小さい呪いだから、全員にお返しするには、まだ当分かかるだろうね。」
「と言うことは、つまり……?」
「うん、何度かこれを繰り返す必要があるね。これから宜しくね。」
爽やかな笑顔で突きつけられた仕事は、精神的にキツそうでした。
彼女、こんな方でしたっけ?
愛する人と一緒にいる時と、他の方と一緒にいる時とで、印象が変わるのは当然かもしれません。ですが、……何というか……雰囲気どころか、顔が違うと言いましょうか。
見た目に明らかに変化が現れているように見えます。一見してわかりやすい変化ですが、驚くことに、御本人は全く気にしていないようなのです。
「本日はお招きありがとうございます。セレーナ・アトラインでございます。」
浮気の慰謝料についての話し合いで、そんな挨拶ができるのは、ふてぶてしいと言うのか、空気が読めないと言うのか。
「ようこそ、お越しくださいました。手紙でお伝えした通り、ララの婚約者であるカイン・バルトとの交際について、お聞きしたいのですが、宜しいですか。」
「はい。そのことについて、私は無実を訴えます。」
「では、カイン・バルトとはあくまでも友人であると?」
「ええ、勿論ですわ。あの、失礼ですが、その方は?」
「ああ、私の友人の、アリア嬢だよ。」
「アリア・サインと申します。」
緊張でガチガチでしたが、悟られないように笑顔で挨拶します。セレーナ様は、値踏みするように、頭から爪先まで眺めて、フンと見下すような目をしましたが、隣のリアム様が丁度同じタイミングで、私の手を握ります。
「アリア、私以外の人間を長く見つめないで。」
うぅ、セレーナ様の視線に殺気が宿ります。恐ろしくて直視できません。
「お兄様、その辺りにしていただかなくては、アリアが気を失ってしまいますわ。」
エルザ様の合いの手が入りましたが、既に私の意識は現実から離れつつありました。出来たら、もう少し早く、助けてほしかったです。
「申し訳ない。彼女の気分が優れないようだから、ここで失礼する。」
リアム様と共に、部屋の外に出されます。
先ほどの話し合いにないことでしたので、エルザ様を見ると、ニッコリと頷かれました。
安心して、外に出ると、リアム様に謝られます。
「恥ずかしいことばかりでごめんね。あれで、今日の君の仕事は終わったから。ありがとう。」
「えっ、もう終わりですか。」
「うん、あとは妹達が何とかするよ。あと、以前に渡したアクセサリーを持っている?」
「あ、はい。あの、少しヒビが入ってしまったのですが。」
申し訳なく、手渡すと、想定通りだったようで、気にしなくて良い、と受け取ってくれました。
その上で、同じものを渡されて、今日また帰ったら、同じことをするように、と言われます。不思議に思いますが、仕事です。どちらにせよ、考えてもわかりませんので、信じてその通りにします。
「あと、確認なんだけど、彼女の変化には気がついた?」
「ええ、何となく。どこか、前にお会いした時と印象が違いましたから。ただ、ご本人はご存知ないようでしたわ。あれは、どう言う原理なのですか?」
「うーん、原理はわからないのだけれど、あれも呪い返しの一種だよ。彼女の場合、人より優位に立とうとする歪んだ心が、ララの呪いの成分になってしまった、ってところかな。呪い返しには、段階があってね。第一段階では、周りに知られ、第二段階で自分が知る。気がついた頃には、自分が誰かを呪った事実を他の人に知られている、と言う。性格の悪いヤツが作った魔道具らしい。」
「では、あの方が、呪いに関係しているのですか?」
「そうだろうね、けれど、どれも小さい呪いだから、全員にお返しするには、まだ当分かかるだろうね。」
「と言うことは、つまり……?」
「うん、何度かこれを繰り返す必要があるね。これから宜しくね。」
爽やかな笑顔で突きつけられた仕事は、精神的にキツそうでした。
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