浮気は私の方でした

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侯爵子息にお会いしました

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セレーナ・アトラインが来る前に、私達は侯爵子息のリアム様を紹介された。リアム様を見た後には、カイン様の顔すら思い出せないほどの衝撃を受けた。

「クレア久しぶりだね。元気そうで何よりだ。」

「リアム様、お久しぶりです。こちらは、アリアと言って、私の同僚であり、友人です。」

「サイン子爵家が娘、アリアと申します。リシャール侯爵家で侍女見習いとして働いております。お会いできて、光栄です。」

カーテシーをして、挨拶をすると、綺麗な顔で微笑んでいらっしゃいます。緊張と羞恥で、じっと見つめてしまいます。淑女にあるまじき行いで、すぐに目を逸らします。

「サイン子爵家……と言うと……」
「ご存知なくて、当然ですわ。貧乏子爵家でございますので。」
「あ、いや、そうではなくて、東部のザール地方のあたりだったか。あの辺りは確かに都会的ではないが、皆ゆったりと生活していて、居心地がよかったものだから、懐かしく感じてね。」
「あら、ご存知でしたのですね。そう言っていただけると、嬉しいです。」

生まれ育ったところを、褒められるのは気分が良いが、途端に恥ずかしくなり、俯いて、顔の熱が過ぎるのを待ちます。

顔をあげていないのに、クレアが興味津々にこちらを見ているのがわかります。恥ずかしいから言わないで欲しい……

「さあさあ、リアムお兄様、アリアさんを口説く前に、きちんとお仕事をしてくださいね。」

「口説……っ?」

「わかってるよ。今日来るご令嬢達に愛想を振りまけば良いんだろ?アリアさん、ごめんね。計画に巻き込んでしまって。君のことは、私が全身全霊で守ると誓う。」

騎士のように、跪き、リアム様は、宣言します。

私が巻き込まれているのはちょうど今なんですけれど?

「ちょっと、その辺にしてあげて。貴方達兄妹は、人が悪いのだから。アリアが混乱しているから。」

クレアが宥めてくれます。エルザ様とリアム様は並んで苦笑いを浮かべると、私に謝ってくれました。

「あまりにも、反応が面白くて、ごめんなさいね。では、これからあの恥知らずがくるわ。アリアにお願いするのは、彼女が貴女を睨みつけたら、私に教えてくれたら良いわ。言葉に出さなくても、目を見てくれたらわかるから。あと、できたら回数も覚えておいて。では準備はいい?」

何故か知らない間に、私の隣に、リアム様がいます。私の手を取り、顔を近づけています。

「彼女が、ララを呪った本人かどうか確認するためだから。悪いけれど私と仲睦まじい様子でいてくれるかい?」

「はい、勿論です。」
ララ様のためと言われると、断れません。

「良かった。ありがとう。」

ニッコリ笑うリアム様はとても魅力的でした。

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