6 / 27
お願いがあるそうです
しおりを挟む
「私の妹……カインの婚約者であるのだけれど、今は臥せっていてね。理由は今のところ体が弱いことになっているのだけれど、実際は少し違うの。
実は、呪いをかけられたみたいで。彼の複数いる浮気相手ではないか、と思っているのだけど。
お恥ずかしい話、私はその手のことに、強くなくて、専門の方にお聞きしたら、呪いをかけた者へと戻すことのできる魔道具があると言うの。
要は炙り出しをしたいのよ。誰が呪いをかけたのか、誰が私達に喧嘩を売ったのか。
何人かの候補者はいて、彼女達に話を聞こうとしていたのだけれど。その中の誰かが、貴女を陥れようとしたのね。もしくは貴女に罪を被せようとしたのか。
貴女も確認した通り、貴女に送った手紙は、こちらから送ったものではないわ。リストに貴女の名前はなかったし、用紙も異なる。
それに、貴女の性格では、誰かに呪いをかけることなんて、できないでしょう?
巻き込まれた貴女には申し訳ないのだけれど、犯人を探すお手伝いをしてほしいの。
リシャール侯爵家には、こちらからお願いはしておくので、何日間か、私達に力を貸して貰えないかしら。
勿論、きちんと、お給料はお支払いするわ。クレアも、もし心配なら一緒でいいわ。どうかしら。」
「私を信じて下さるのですか?初対面ですし、私が演技をしているとは思われないのですか?」
「私、人を見る目はあるの。でも、そうね。一番の理由は、私の親友で、あまり人を容易に信用しないクレアが貴女を信用しているから、って言うのは理由にならないかしら。」
私自身を信用しているわけではなく、クレアを信用している、と言われる方が何故だか、嬉しいし、納得できます。
私はクレアと顔を見合わせて、微笑みました。
「私に、何ができるかわかりませんが、お手伝いさせていただきたいです。」
「宜しくね。アリア。クレアはどうする?」
「私も、勿論力になるわ。ララにも会いたかったし。あっ、ララって言うのは、エルザの妹よ。」
私はあの時お会いした妖艶な方を思い出し、少しだけ、緊張します。
「でも、ララ様は、臥せっていらっしゃるのでしょう?」
あの美しい方が、おかわいそうに。
突如、ノックの音が響きます。
扉が開き、入って来た綺麗な方に、目を奪われます。
エルザ様とよく似ているものの、すこし幼く、ふんわりとした雰囲気で、穏やかな笑みを浮かべています。
「お姉様、クレア様、遅くなり申し訳ありませんでした。」
「妹のララよ。呪いを受けてはいるのだけれど、呪い自体はそんなに強くないの。かけた術者の力に左右されるのね。」
「犯人を見つける為に、重病のふりをしているだけなのね。良かった。ララが無事で。」
クレアが、可愛がっているのが、よくわかります。抱きついて、よしよししています。
ララ様に挨拶をしますと、穏やかな品の良い笑顔で挨拶を返されました。
「アリア様は、私と同じ歳なのね。ララと呼んでくださる?私も、アリアと呼んでいいかしら。」
気さくに接してくださり、嬉しく思います。
二つ返事で承諾し、またもやお友達ができました。
ところが、です。
あれ?この前、お会いしたあの方は一体誰なのでしょう?
私が眉を顰めて考えているのを、問いかけられます。
隠す必要もないでしょう。あの日の出来事を包み隠さず話します。
女性の特徴から、ある人物を連想されたようです。
「では、彼女から呼び出しましょうか。」
エルザ様の笑みが深くなります。私はその笑顔から、彼女だけは怒らせてはいけないことを悟ったのでした。
実は、呪いをかけられたみたいで。彼の複数いる浮気相手ではないか、と思っているのだけど。
お恥ずかしい話、私はその手のことに、強くなくて、専門の方にお聞きしたら、呪いをかけた者へと戻すことのできる魔道具があると言うの。
要は炙り出しをしたいのよ。誰が呪いをかけたのか、誰が私達に喧嘩を売ったのか。
何人かの候補者はいて、彼女達に話を聞こうとしていたのだけれど。その中の誰かが、貴女を陥れようとしたのね。もしくは貴女に罪を被せようとしたのか。
貴女も確認した通り、貴女に送った手紙は、こちらから送ったものではないわ。リストに貴女の名前はなかったし、用紙も異なる。
それに、貴女の性格では、誰かに呪いをかけることなんて、できないでしょう?
巻き込まれた貴女には申し訳ないのだけれど、犯人を探すお手伝いをしてほしいの。
リシャール侯爵家には、こちらからお願いはしておくので、何日間か、私達に力を貸して貰えないかしら。
勿論、きちんと、お給料はお支払いするわ。クレアも、もし心配なら一緒でいいわ。どうかしら。」
「私を信じて下さるのですか?初対面ですし、私が演技をしているとは思われないのですか?」
「私、人を見る目はあるの。でも、そうね。一番の理由は、私の親友で、あまり人を容易に信用しないクレアが貴女を信用しているから、って言うのは理由にならないかしら。」
私自身を信用しているわけではなく、クレアを信用している、と言われる方が何故だか、嬉しいし、納得できます。
私はクレアと顔を見合わせて、微笑みました。
「私に、何ができるかわかりませんが、お手伝いさせていただきたいです。」
「宜しくね。アリア。クレアはどうする?」
「私も、勿論力になるわ。ララにも会いたかったし。あっ、ララって言うのは、エルザの妹よ。」
私はあの時お会いした妖艶な方を思い出し、少しだけ、緊張します。
「でも、ララ様は、臥せっていらっしゃるのでしょう?」
あの美しい方が、おかわいそうに。
突如、ノックの音が響きます。
扉が開き、入って来た綺麗な方に、目を奪われます。
エルザ様とよく似ているものの、すこし幼く、ふんわりとした雰囲気で、穏やかな笑みを浮かべています。
「お姉様、クレア様、遅くなり申し訳ありませんでした。」
「妹のララよ。呪いを受けてはいるのだけれど、呪い自体はそんなに強くないの。かけた術者の力に左右されるのね。」
「犯人を見つける為に、重病のふりをしているだけなのね。良かった。ララが無事で。」
クレアが、可愛がっているのが、よくわかります。抱きついて、よしよししています。
ララ様に挨拶をしますと、穏やかな品の良い笑顔で挨拶を返されました。
「アリア様は、私と同じ歳なのね。ララと呼んでくださる?私も、アリアと呼んでいいかしら。」
気さくに接してくださり、嬉しく思います。
二つ返事で承諾し、またもやお友達ができました。
ところが、です。
あれ?この前、お会いしたあの方は一体誰なのでしょう?
私が眉を顰めて考えているのを、問いかけられます。
隠す必要もないでしょう。あの日の出来事を包み隠さず話します。
女性の特徴から、ある人物を連想されたようです。
「では、彼女から呼び出しましょうか。」
エルザ様の笑みが深くなります。私はその笑顔から、彼女だけは怒らせてはいけないことを悟ったのでした。
1
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、元婚約者を諦められない
きなこもち
恋愛
気が強く友達のいない令嬢クロエは、
幼馴染みでいつも優しく美麗な婚約者、アリオンに片想いしている。
クロエはアリオンを愛しすぎるあまり、平民出身の令嬢、セリーナを敵視している。
そんなクロエにとうとう愛想を尽かしてしまったアリオン。
「君との婚約を白紙に戻したい。。。」
最愛の人に別れを告げられた悪役令嬢の別れと再起の物語


初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。


妹は奪わない
緑谷めい
恋愛
妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……
私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる