浮気は私の方でした

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お願いがあるそうです

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「私の妹……カインの婚約者であるのだけれど、今は臥せっていてね。理由は今のところ体が弱いことになっているのだけれど、実際は少し違うの。

実は、呪いをかけられたみたいで。彼の複数いる浮気相手ではないか、と思っているのだけど。

お恥ずかしい話、私はその手のことに、強くなくて、専門の方にお聞きしたら、呪いをかけた者へと戻すことのできる魔道具があると言うの。

要は炙り出しをしたいのよ。誰が呪いをかけたのか、誰が私達に喧嘩を売ったのか。


何人かの候補者はいて、彼女達に話を聞こうとしていたのだけれど。その中の誰かが、貴女を陥れようとしたのね。もしくは貴女に罪を被せようとしたのか。

貴女も確認した通り、貴女に送った手紙は、こちらから送ったものではないわ。リストに貴女の名前はなかったし、用紙も異なる。


それに、貴女の性格では、誰かに呪いをかけることなんて、できないでしょう?

巻き込まれた貴女には申し訳ないのだけれど、犯人を探すお手伝いをしてほしいの。

リシャール侯爵家には、こちらからお願いはしておくので、何日間か、私達に力を貸して貰えないかしら。

勿論、きちんと、お給料はお支払いするわ。クレアも、もし心配なら一緒でいいわ。どうかしら。」

「私を信じて下さるのですか?初対面ですし、私が演技をしているとは思われないのですか?」

「私、人を見る目はあるの。でも、そうね。一番の理由は、私の親友で、あまり人を容易に信用しないクレアが貴女を信用しているから、って言うのは理由にならないかしら。」

私自身を信用しているわけではなく、クレアを信用している、と言われる方が何故だか、嬉しいし、納得できます。

私はクレアと顔を見合わせて、微笑みました。

「私に、何ができるかわかりませんが、お手伝いさせていただきたいです。」

「宜しくね。アリア。クレアはどうする?」

「私も、勿論力になるわ。ララにも会いたかったし。あっ、ララって言うのは、エルザの妹よ。」

私はあの時お会いした妖艶な方を思い出し、少しだけ、緊張します。

「でも、ララ様は、臥せっていらっしゃるのでしょう?」

あの美しい方が、おかわいそうに。


突如、ノックの音が響きます。
扉が開き、入って来た綺麗な方に、目を奪われます。

エルザ様とよく似ているものの、すこし幼く、ふんわりとした雰囲気で、穏やかな笑みを浮かべています。

「お姉様、クレア様、遅くなり申し訳ありませんでした。」

「妹のララよ。呪いを受けてはいるのだけれど、呪い自体はそんなに強くないの。かけた術者の力に左右されるのね。」

「犯人を見つける為に、重病のふりをしているだけなのね。良かった。ララが無事で。」

クレアが、可愛がっているのが、よくわかります。抱きついて、よしよししています。

ララ様に挨拶をしますと、穏やかな品の良い笑顔で挨拶を返されました。

「アリア様は、私と同じ歳なのね。ララと呼んでくださる?私も、アリアと呼んでいいかしら。」

気さくに接してくださり、嬉しく思います。
二つ返事で承諾し、またもやお友達ができました。

ところが、です。
あれ?この前、お会いしたあの方は一体誰なのでしょう?

私が眉を顰めて考えているのを、問いかけられます。

隠す必要もないでしょう。あの日の出来事を包み隠さず話します。

女性の特徴から、ある人物を連想されたようです。

「では、彼女から呼び出しましょうか。」
エルザ様の笑みが深くなります。私はその笑顔から、彼女だけは怒らせてはいけないことを悟ったのでした。
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