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味方を手に入れました
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あの日から私はより一層仕事に打ち込むことになりました。正直仕事があることにこれほどまでに感謝することになるとは思ってなかったので、助かりました。
私が学園に通っていたとしたら、気まずい時間を過ごしていた、と考えて、ゾッとしました。まあ、あの様子ではカイン様は、あの方と付き合っていたのですから、学園では周知のことだったのでしょうが。
私が呆然と、予定より早く戻ったことから、先輩には心配をかけてしまいました。けれど、いまだに傷ついている私からは、うまく伝えることが出来ず、何があったか、自分でもよくわからないのです。
あの時のことで覚えているのは、カイン様は浮気をしていて、私がその現場を見ていたことだけです。
しばらくして、カイン様からお手紙が届きましたが、内容を読む気にはならずに、机の引き出しに保管しています。もう少し精神的に落ち着いてから開けようと思います。そんな時が来るのかは甚だ疑問ではありますが。
「アリア、もしよかったら次の休みにケーキを食べに行かない?学園でお世話になった友人の家が経営しているケーキ店なんだけれど、とても人気なのよ?」
先輩の気遣いが嬉しいです。甘い物を食べたら、元気になるかもしれません。私は二つ返事で約束をしました。
あれからカイン様には会っていません。彼女がいるのなら、私に会いたい、なんて思うはずありません。私はからかわれていたのでしょうか。付き合っているつもりだったのは、私だけだったのでしょうか。
恋人と言いながらも、あんなに激しく熱烈にキスをしたことも、密着したことも、私にはありませんでした。
手を繋いで、出かけたり、お話をしたりするぐらいです。そう考えて、また落ち込みます。私には魅力がなかったのです。あの時、カイン様が一緒にいた女性は、色っぽい雰囲気で、私なんかよりカイン様によくお似合いでした。
思い出すたび、泣きたくなります。涙が出てきます。いつか、泣かなくなって、忘れる日が来るのでしょうか。
先輩は、ケーキ店や買い物など、休みの度に私に付き合ってくれます。毎回は、流石に申し訳ないと断ろうとするも、笑顔で押し切られてしまい、結局はお言葉に甘えてしまいます。私には妹しかいませんが、もし姉がいたならこんな感じかな、と思いました。
「先輩、いつも私に付き合って下さって、ありがとうございます。」
「アリアと遊ぶのが楽しいからいいのよ。私こそアリアを独り占めしてしまってごめんなさいね。」
先輩は侍女として、侯爵家で働いていますが、れっきとした伯爵令嬢です。貴族の通う学園にも通っていて、卒業後、こちらで働いています。
学園で仲良くなったご友人に、こちらの侯爵家を紹介されたようで、その方はことあるごとに、何かと力を貸して下さるそうです。
「アリアは、学園に通っていないでしょう?私で良ければ、力になりたいのよ。私は、アリアのことを友人だと思っているから。」
「では、私も、先輩の力になれることがあるかもしれないですね。引き続き、宜しくお願いします。」
「そうだわ。今度からは名前で呼んでくれない?先輩も、嬉しいのだけど、名前の方が特別な感じが出るでしょう?私のことはクレアと呼んで。」
「はい。クレア……何だか慣れるまで、時間がかかりそうです。」
恥ずかしくなって、笑うと、クレアも一緒に笑ってくれます。私はようやく、心から楽しいと思えました。
「ようやく、笑ったわね。もう、心配したのよ?」
「はい、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました。」
私は恋人を失いましたが、大切な友人を手に入れました。
カイン様のことは、時が解決してくれるとこの時は思っていたのです。私はとんでもなく、世間知らずで呑気でした。
私が学園に通っていたとしたら、気まずい時間を過ごしていた、と考えて、ゾッとしました。まあ、あの様子ではカイン様は、あの方と付き合っていたのですから、学園では周知のことだったのでしょうが。
私が呆然と、予定より早く戻ったことから、先輩には心配をかけてしまいました。けれど、いまだに傷ついている私からは、うまく伝えることが出来ず、何があったか、自分でもよくわからないのです。
あの時のことで覚えているのは、カイン様は浮気をしていて、私がその現場を見ていたことだけです。
しばらくして、カイン様からお手紙が届きましたが、内容を読む気にはならずに、机の引き出しに保管しています。もう少し精神的に落ち着いてから開けようと思います。そんな時が来るのかは甚だ疑問ではありますが。
「アリア、もしよかったら次の休みにケーキを食べに行かない?学園でお世話になった友人の家が経営しているケーキ店なんだけれど、とても人気なのよ?」
先輩の気遣いが嬉しいです。甘い物を食べたら、元気になるかもしれません。私は二つ返事で約束をしました。
あれからカイン様には会っていません。彼女がいるのなら、私に会いたい、なんて思うはずありません。私はからかわれていたのでしょうか。付き合っているつもりだったのは、私だけだったのでしょうか。
恋人と言いながらも、あんなに激しく熱烈にキスをしたことも、密着したことも、私にはありませんでした。
手を繋いで、出かけたり、お話をしたりするぐらいです。そう考えて、また落ち込みます。私には魅力がなかったのです。あの時、カイン様が一緒にいた女性は、色っぽい雰囲気で、私なんかよりカイン様によくお似合いでした。
思い出すたび、泣きたくなります。涙が出てきます。いつか、泣かなくなって、忘れる日が来るのでしょうか。
先輩は、ケーキ店や買い物など、休みの度に私に付き合ってくれます。毎回は、流石に申し訳ないと断ろうとするも、笑顔で押し切られてしまい、結局はお言葉に甘えてしまいます。私には妹しかいませんが、もし姉がいたならこんな感じかな、と思いました。
「先輩、いつも私に付き合って下さって、ありがとうございます。」
「アリアと遊ぶのが楽しいからいいのよ。私こそアリアを独り占めしてしまってごめんなさいね。」
先輩は侍女として、侯爵家で働いていますが、れっきとした伯爵令嬢です。貴族の通う学園にも通っていて、卒業後、こちらで働いています。
学園で仲良くなったご友人に、こちらの侯爵家を紹介されたようで、その方はことあるごとに、何かと力を貸して下さるそうです。
「アリアは、学園に通っていないでしょう?私で良ければ、力になりたいのよ。私は、アリアのことを友人だと思っているから。」
「では、私も、先輩の力になれることがあるかもしれないですね。引き続き、宜しくお願いします。」
「そうだわ。今度からは名前で呼んでくれない?先輩も、嬉しいのだけど、名前の方が特別な感じが出るでしょう?私のことはクレアと呼んで。」
「はい。クレア……何だか慣れるまで、時間がかかりそうです。」
恥ずかしくなって、笑うと、クレアも一緒に笑ってくれます。私はようやく、心から楽しいと思えました。
「ようやく、笑ったわね。もう、心配したのよ?」
「はい、もう大丈夫です。ご心配をおかけしました。」
私は恋人を失いましたが、大切な友人を手に入れました。
カイン様のことは、時が解決してくれるとこの時は思っていたのです。私はとんでもなく、世間知らずで呑気でした。
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