男爵令息と王子なら、どちらを選ぶ?

mios

文字の大きさ
11 / 14

レンドールの微笑み

しおりを挟む
「馬鹿が来たんだって?」
レンドールの貴公子然とした微笑みは心臓に悪い。この微笑みが出たら、異母兄が実は滅茶苦茶怒っている証拠だからだ。

「うちの令嬢教育は随分遅れているのだと実感したわ。サーシャとは雲泥の差よ。あの家の淑女教育の担当者は、解雇しなければいけないわ。」

「サーシャが王太子妃になれば全て変わるってのに、呑気なものだ。」

「まだ口説けていないくせに。」

異母兄は指摘されて顔色を変えていたけれど、あんまり時間がないことを伝えなければ。

「彼方の国がようやく、アレクサンドラがいないことに気付いたんですって。ぼやぼやしていたら、取り戻しにくるかもね。とりあえず早く彼女をその気にさせて、守れるようにして。」

あの国は、いまだに男爵令嬢に振り回されているが、仕事が溜まってきて、漸くアレクサンドラを思い出したらしい。どういう考えかわからないが、婚約者でもないのに、臣下としてアレクサンドラが仕事を手伝うというのが当たり前、と思っていたらしい。本気?

それで漸く彼女がいないことも、彼女と良く一緒にいた留学生がいなくなっていることにも気づいた、というわけ。

クララの身分は偽のものだから、たどり着く訳もないけれど、結局婚約者の披露目の日にはわかってしまうもの。サーシャ・スレッジがアレクサンドラだと気づいても、もう遅い。だって既にその頃には、こちらの侯爵令嬢で王太子の婚約者なのだもの。

それでも仕事をさせたいなら、国の機密を他国に知られることになるけれど、良いの?

問題は、あの国の王族が全員不要だということなのよね。大国が何とかしてくれるでしょう。

まあ、サーシャを見つけるのが早いか、国がなくなるのが早いか。それは誰にもわからない。




王宮内に、マクドニー公爵令嬢が入り込んだ件は、王家からの強い抗議で、公爵家から多額の賠償金と、令嬢自身の王城と王宮への立ち入り禁止が決まり、一旦の収束を見せた。

だが、そうなっても娘に甘いマクドニー公爵は、ご令嬢を修道院に入れる気配すらない。

クララはマクドニー公爵の見通しの甘さに、教育が進んでいないのは親も同じだと思い知る。

「サーシャだって、あの親だから、遺伝は関係ないにしろ、うちはまだまだだわ。」

「愚かなものがある程度いないと、世の中は回っていかないからな。ああ、でも奴らを潰すなら立太子前にしたかったのだが。」

王子派なのに王子に嫌われているマクドニー公爵家。一応兄の為を装ってはいるものの、隠しきれてない欲望が強すぎるのよ。

王太子妃になりたいなら、たくさん努力すべきよ。アレクサンドラはやりすぎだけど。彼女に比べたら自分が至らないって気づくならまだ良かったのだけれど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】『私に譲って?』と言っていたら、幸せになりましたわ。{『私に譲って?』…の姉が主人公です。}

まりぃべる
恋愛
『私に譲って?』 そう私は、いつも妹に言うの。だって、私は病弱なんだもの。 活発な妹を見ていると苛つくのよ。 そう言っていたら、私、いろいろあったけれど、幸せになりましたわ。 ☆★ 『私に譲って?』そう言うお姉様はそれで幸せなのかしら?譲って差し上げてたら、私は幸せになったので良いですけれど!の作品で出てきた姉がおもな主人公です。 作品のカラーが上の作品と全く違うので、別作品にしました。 多分これだけでも話は分かると思います。 有難い事に読者様のご要望が思いがけずありましたので、短いですが書いてみました。急いで書き上げたので、上手く書けているかどうか…。 期待は…多分裏切ってしまって申し訳ないですけれど。 全7話です。出来てますので随時更新していきます。 読んで下さると嬉しいです。

俺の婚約者は悪役令嬢を辞めたかもしれない

ちくわ食べます
恋愛
王子である俺の婚約者は、打算的で、冷徹で、計算高い女だった。彼女は俗に言う悪役令嬢だ。言っておくけど、べつに好きで婚約したわけじゃない。伯爵令嬢だった彼女は、いつの間にか俺の婚約者になっていたのだ。 正直言って、俺は彼女が怖い。彼女と婚約破棄できないか策を巡らせているくらいだ。なのに、突然彼女は豹変した。一体、彼女に何があったのか? 俺はこっそり彼女を観察することにした

助けてなんて言ってません!余計なお世話です!

荒瀬ヤヒロ
恋愛
 大好きな彼と婚約が整って上機嫌でデビュタントに臨んだ子爵令嬢のセラフィーヌ。  だけど、未婚の貴族令嬢に望まれない縁談を押しつけることで有名な公爵夫人が、セラフィーヌの婚約者が平民の農家だと知って 「平民に嫁がされるだなんてかわいそう!」 と勝手に盛り上がって、こちらの言葉も聞かずに「貴族との結婚」を押しつけてこようとする。  どれだけ「両想いで幸せなのだ」とセラフィーヌとその家族が訴えても聞く耳を持たず暴走する公爵夫人はついに最大のやらかしをしてーー

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

婚約破棄が決まっているようなので、私は国を出ることにしました

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私エルノアは、婚約破棄が決まっているようだ。 他国の王子ラーサーから聞いた話で、最初は信じられなかった。 婚約者のドスラ王子を追及すると、本当に婚約を破棄するつもりのようだ。 その後――私はラーサーの提案に賛同して、国を出ることにしました。

この二人の政略結婚に異議ある者は、今すぐ申し出よ。さもなくば永遠に沈黙せよ。

待鳥園子
恋愛
ルーシャン公爵令嬢シェリルはウェイン伯爵令息ノアに一目惚れし、宰相を務める祖父に彼との政略結婚を頼み込んだ。 政略結婚を理由に大好きな人と結婚する直前の公爵令嬢が、あまりの罪悪感に耐えかねていたところに、まさかの出来事が起こって!?

あなたは一体誰ですか?

らがまふぃん
恋愛
 その帝国には四人の皇子と二人の皇女がいる。一番末の第四皇子カダージュは、怠惰、陰気、愚かなど、侮蔑の言葉を向けられる皇子として知られていた。皇族からも見放され、成人後は皇位継承権を返上させられ、通常であれば返上した者が就く大公の位まで下げられようとしている。そんな噂が流れるほど、カダージュの評価は低い。そんなカダージュの婚約者であるメリオラーザに、第一皇子の生誕祭で――。 本編全12話プラス番外編です。 ※ご都合主義ですので、何でも笑って読んでいただける方向けのお話しです。 R5.12/24HOTランキング入りしておりました。たくさんのお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます(泣)読んでくださったみなさまに心から感謝を!素敵なクリスマスプレゼントを、ありがとうございました! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.10/30に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

ジルの身の丈

ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。 身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。 ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。 同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。 そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で─── ※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。

処理中です...