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レンドールの微笑み
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「馬鹿が来たんだって?」
レンドールの貴公子然とした微笑みは心臓に悪い。この微笑みが出たら、異母兄が実は滅茶苦茶怒っている証拠だからだ。
「うちの令嬢教育は随分遅れているのだと実感したわ。サーシャとは雲泥の差よ。あの家の淑女教育の担当者は、解雇しなければいけないわ。」
「サーシャが王太子妃になれば全て変わるってのに、呑気なものだ。」
「まだ口説けていないくせに。」
異母兄は指摘されて顔色を変えていたけれど、あんまり時間がないことを伝えなければ。
「彼方の国がようやく、アレクサンドラがいないことに気付いたんですって。ぼやぼやしていたら、取り戻しにくるかもね。とりあえず早く彼女をその気にさせて、守れるようにして。」
あの国は、いまだに男爵令嬢に振り回されているが、仕事が溜まってきて、漸くアレクサンドラを思い出したらしい。どういう考えかわからないが、婚約者でもないのに、臣下としてアレクサンドラが仕事を手伝うというのが当たり前、と思っていたらしい。本気?
それで漸く彼女がいないことも、彼女と良く一緒にいた留学生がいなくなっていることにも気づいた、というわけ。
クララの身分は偽のものだから、たどり着く訳もないけれど、結局婚約者の披露目の日にはわかってしまうもの。サーシャ・スレッジがアレクサンドラだと気づいても、もう遅い。だって既にその頃には、こちらの侯爵令嬢で王太子の婚約者なのだもの。
それでも仕事をさせたいなら、国の機密を他国に知られることになるけれど、良いの?
問題は、あの国の王族が全員不要だということなのよね。大国が何とかしてくれるでしょう。
まあ、サーシャを見つけるのが早いか、国がなくなるのが早いか。それは誰にもわからない。
王宮内に、マクドニー公爵令嬢が入り込んだ件は、王家からの強い抗議で、公爵家から多額の賠償金と、令嬢自身の王城と王宮への立ち入り禁止が決まり、一旦の収束を見せた。
だが、そうなっても娘に甘いマクドニー公爵は、ご令嬢を修道院に入れる気配すらない。
クララはマクドニー公爵の見通しの甘さに、教育が進んでいないのは親も同じだと思い知る。
「サーシャだって、あの親だから、遺伝は関係ないにしろ、うちはまだまだだわ。」
「愚かなものがある程度いないと、世の中は回っていかないからな。ああ、でも奴らを潰すなら立太子前にしたかったのだが。」
王子派なのに王子に嫌われているマクドニー公爵家。一応兄の為を装ってはいるものの、隠しきれてない欲望が強すぎるのよ。
王太子妃になりたいなら、たくさん努力すべきよ。アレクサンドラはやりすぎだけど。彼女に比べたら自分が至らないって気づくならまだ良かったのだけれど。
レンドールの貴公子然とした微笑みは心臓に悪い。この微笑みが出たら、異母兄が実は滅茶苦茶怒っている証拠だからだ。
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「サーシャが王太子妃になれば全て変わるってのに、呑気なものだ。」
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「彼方の国がようやく、アレクサンドラがいないことに気付いたんですって。ぼやぼやしていたら、取り戻しにくるかもね。とりあえず早く彼女をその気にさせて、守れるようにして。」
あの国は、いまだに男爵令嬢に振り回されているが、仕事が溜まってきて、漸くアレクサンドラを思い出したらしい。どういう考えかわからないが、婚約者でもないのに、臣下としてアレクサンドラが仕事を手伝うというのが当たり前、と思っていたらしい。本気?
それで漸く彼女がいないことも、彼女と良く一緒にいた留学生がいなくなっていることにも気づいた、というわけ。
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まあ、サーシャを見つけるのが早いか、国がなくなるのが早いか。それは誰にもわからない。
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