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最大の裏切り
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「おめでとうございます!今年の主役は貴女です!」
スポットライトが男爵令嬢に、当てられます。
きょとんとした彼女の顔は、役員の構えているカメラにきちんと収めました。
彼女以外の貴族達は、楽しそうに、笑顔で褒め称えています。邪なことをしていない方なら、自分が向けられている感情が、悪いものではないと、気づけたでしょう。
しかし、わかりますよね?彼女は、自分の悪行がバレたと思ったのです。
突然始まる映像に、彼女が目を見開きました。王妃様の監修のおかげで、今回も中々にいい出来です。
ウォーレン伯爵令息のところで、盛大に、笑いが起きました。今回彼の出番は二箇所です。見つけられる方はいるでしょうか。私は、わかっているのに、一箇所見逃したのですわ。あの方、隠密でもなさればよろしいのに。
初めの辺りでたまたま入ったとされるお店は、調べたところ、隣国からの要人が人目を忍んで現れるお店でした。男爵は、お小遣い稼ぎに、隣国のスパイを匿っていたらしいのです。
それにしても、何故調べられたら困るような店に連れていくのか謎だったのですが、こちらの店で購入すると、マージンが男爵家に入る仕組みになっていたようです。
自分への愛の証にたくさん買わせる寸法だったのでしょう。
皮肉なものですわね。面倒な女性を回避したつもりが、この上もなく、面倒な女性に捕まっていたなんて。
正直、それみたことか、と思う気持ちも少なからずあるのですが、内緒ですわよ。
彼女は助けを求めるように、王子殿下を見つめています。ほら、助けて差し上げたら?
王子殿下は、私の手を取り、甲に口付けをした後、会場全体に聞こえる声で、私に向かって叫びました。
「君との婚約を破棄したい。」
やると思いました。ええ、わかっていました。でも、そちらの思うようにはさせません。
「嫌ですわ。破棄は許しません。」
「いや。すでに陛下と王妃様の了承は得ている。」
そうきたか。
こんな時だけ、仕事が早いんだから。
「私と結婚してくれ。リディ。」
穏やかな笑みを浮かべて、跪く、王子殿下を拒否できるとお思いですか?
できません。
私はきっと今顔が真っ赤になっていることでしょう。
王子殿下は、してやったりな顔をしています。
「謹んでお受け致します。」
私としたことが、声が震えましたわ。
あれは、つい先日、キャシー様とたまたまお会いした時のこと。
そもそもこの出会いから仕組まれていたように思うのですが、真相は闇の中ですわね。
キャシー様が旦那様と婚約をすっ飛ばして結婚した訳を話してくださいまして、まあ、前述の通りです。
キャシー様を誰にも取られたくない、と考え、プロポーズに至ったようです。
これこそ、真実の愛だ、と仰るキャシー様は凄く幸せそうに見えました。
あの話を興味ないフリをして聞いていたのです。王子殿下は、ズルすぎます。
その後、男爵家は取り潰しの上、元男爵と、義理の娘は、極刑になりました。結局、国家転覆を狙ったものになりましたね。
エヴァン様は、全てが終わったあと、種明かしで登場する予定でしたが、王子殿下のせいで、お祝いムード一色になってしまったため、さらっと終わってしまいました。
これは流石に、可哀想になりましたわ。
全てが終わったあと、二人きりです。
「リディ、諦めて。私の真実の愛の相手になってくれ。」
熱っぽい瞳で見つめられると、私までおかしくなります。
「お手柔らかにお願いいたします。」
私が言い終わると同時に、柔らかい唇が、上から降ってきました。
おわり
最後までお読みいただきありがとうございました!
mios
スポットライトが男爵令嬢に、当てられます。
きょとんとした彼女の顔は、役員の構えているカメラにきちんと収めました。
彼女以外の貴族達は、楽しそうに、笑顔で褒め称えています。邪なことをしていない方なら、自分が向けられている感情が、悪いものではないと、気づけたでしょう。
しかし、わかりますよね?彼女は、自分の悪行がバレたと思ったのです。
突然始まる映像に、彼女が目を見開きました。王妃様の監修のおかげで、今回も中々にいい出来です。
ウォーレン伯爵令息のところで、盛大に、笑いが起きました。今回彼の出番は二箇所です。見つけられる方はいるでしょうか。私は、わかっているのに、一箇所見逃したのですわ。あの方、隠密でもなさればよろしいのに。
初めの辺りでたまたま入ったとされるお店は、調べたところ、隣国からの要人が人目を忍んで現れるお店でした。男爵は、お小遣い稼ぎに、隣国のスパイを匿っていたらしいのです。
それにしても、何故調べられたら困るような店に連れていくのか謎だったのですが、こちらの店で購入すると、マージンが男爵家に入る仕組みになっていたようです。
自分への愛の証にたくさん買わせる寸法だったのでしょう。
皮肉なものですわね。面倒な女性を回避したつもりが、この上もなく、面倒な女性に捕まっていたなんて。
正直、それみたことか、と思う気持ちも少なからずあるのですが、内緒ですわよ。
彼女は助けを求めるように、王子殿下を見つめています。ほら、助けて差し上げたら?
王子殿下は、私の手を取り、甲に口付けをした後、会場全体に聞こえる声で、私に向かって叫びました。
「君との婚約を破棄したい。」
やると思いました。ええ、わかっていました。でも、そちらの思うようにはさせません。
「嫌ですわ。破棄は許しません。」
「いや。すでに陛下と王妃様の了承は得ている。」
そうきたか。
こんな時だけ、仕事が早いんだから。
「私と結婚してくれ。リディ。」
穏やかな笑みを浮かべて、跪く、王子殿下を拒否できるとお思いですか?
できません。
私はきっと今顔が真っ赤になっていることでしょう。
王子殿下は、してやったりな顔をしています。
「謹んでお受け致します。」
私としたことが、声が震えましたわ。
あれは、つい先日、キャシー様とたまたまお会いした時のこと。
そもそもこの出会いから仕組まれていたように思うのですが、真相は闇の中ですわね。
キャシー様が旦那様と婚約をすっ飛ばして結婚した訳を話してくださいまして、まあ、前述の通りです。
キャシー様を誰にも取られたくない、と考え、プロポーズに至ったようです。
これこそ、真実の愛だ、と仰るキャシー様は凄く幸せそうに見えました。
あの話を興味ないフリをして聞いていたのです。王子殿下は、ズルすぎます。
その後、男爵家は取り潰しの上、元男爵と、義理の娘は、極刑になりました。結局、国家転覆を狙ったものになりましたね。
エヴァン様は、全てが終わったあと、種明かしで登場する予定でしたが、王子殿下のせいで、お祝いムード一色になってしまったため、さらっと終わってしまいました。
これは流石に、可哀想になりましたわ。
全てが終わったあと、二人きりです。
「リディ、諦めて。私の真実の愛の相手になってくれ。」
熱っぽい瞳で見つめられると、私までおかしくなります。
「お手柔らかにお願いいたします。」
私が言い終わると同時に、柔らかい唇が、上から降ってきました。
おわり
最後までお読みいただきありがとうございました!
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