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生徒会の決定
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「どうしましょう、今年の出し物。薬の問題は去年やりましたし、その前はアルコール依存でしょう…うー、ネタ切れですわ。何か良い案ないかしら。」
「どうしましょうかねー。最近巷で流行ってるもので、困ってるもの…?」
ただ今、生徒会の出し物を何にするか、考えているのですが、中々思いつきません。せっかく生徒のための生徒会ですので、啓発を促すような物が良いと思うのですが、毎年行う催し物ですので、ネタ切れがどうしても生じてしまうのです。
「最近、流行ってるといえば、真実の愛、とかですか。」
「何、それ。聞いたことないわ。詳しく!」
「え、聞いたことないんですか。私ありますよ?」
「え、私遅れてる?まあ、いいわ。覚えるわ。それで?何なの、それは。」
真実の愛について、言い出した彼は、少し得意気に勿体つけて話出す。
「これは、私の友人の話ですが、彼には昔から親同士で決めた婚約者がおりました。仲が悪い訳では無かったのですが、恋愛感情と言うよりは、家族みたいな親愛の情で結ばれておりました。ある日、彼が家業の為、市井に出たところ、とても素敵な女性に出会い、恋をしました。婚約者がいる身なので、断るべきだったのですが、また婚約者が二人の障害となり、より燃え上がりました。二人は婚約者に、私達は、真実の愛で結ばれている、と言ったところ、婚約者は解消には頷いてくれました。二人の愛は勝ったのです。ですが、この友人は、幸せになれませんでした。何故かはお分かりですね。婚約者は、親同士の約束で、決められたのです。一方的な解消理由ですので、慰謝料が発生します。慰謝料の支払いをした彼の親が彼を廃嫡にし、平民に落としたところ、真実の愛の相手とは連絡が取れなくなりました。彼女は、貴族の彼が好きだっただけで、平民には用はなかったのです。浮気をして、婚約者を捨てた男が、自分だけが幸せになる筈がないと言うよくできた教訓です。実際には、こんな馬鹿な貴族いないと思いますがね。」
「あら、貴方のご友人の話ではないの。さっきそう仰ったわよね。」
「いえいえ、こうやって回ってくるのですよ。噂なんてものは。最初の一人が、例えば自分の体験を話すとします。自分の体験だけれど、失敗したとわかっているので、私の友人が、とつけるのですよ。私が、と言われると笑えない話も、私の友人が、と言うと笑える話になるのです。」
「なるほどね。じゃあ、私の友人が、って話始めた人の何人かは、自分の体験ってこと?」
「そう言うこともあると言うことです。ちなみに、誓って言いますが、この話は、私の体験ではないですよ。私は婚約者と愛しあっておりますので。」
「そこは特に、疑っておりません。」
「良かったです。」
「その話を採用するなら、役者が必要ですわね。平民の方を使えば、平民を馬鹿にしているみたいに思われかねないわ。お金が全て、みたいに。だから、貴族の方で、嬉々として演じてもらえる方がいれば良いのだけれど。」
「去年、手伝ってくださった方は、卒業されましたものね。あの方、本当に薬の中毒患者みたいでしたもの。あの方、貴族でなければ、役者を目指すべきでしたわ。」
「本当に、鬼気迫る演技でしたわ。」
「どうしましょうかねー。最近巷で流行ってるもので、困ってるもの…?」
ただ今、生徒会の出し物を何にするか、考えているのですが、中々思いつきません。せっかく生徒のための生徒会ですので、啓発を促すような物が良いと思うのですが、毎年行う催し物ですので、ネタ切れがどうしても生じてしまうのです。
「最近、流行ってるといえば、真実の愛、とかですか。」
「何、それ。聞いたことないわ。詳しく!」
「え、聞いたことないんですか。私ありますよ?」
「え、私遅れてる?まあ、いいわ。覚えるわ。それで?何なの、それは。」
真実の愛について、言い出した彼は、少し得意気に勿体つけて話出す。
「これは、私の友人の話ですが、彼には昔から親同士で決めた婚約者がおりました。仲が悪い訳では無かったのですが、恋愛感情と言うよりは、家族みたいな親愛の情で結ばれておりました。ある日、彼が家業の為、市井に出たところ、とても素敵な女性に出会い、恋をしました。婚約者がいる身なので、断るべきだったのですが、また婚約者が二人の障害となり、より燃え上がりました。二人は婚約者に、私達は、真実の愛で結ばれている、と言ったところ、婚約者は解消には頷いてくれました。二人の愛は勝ったのです。ですが、この友人は、幸せになれませんでした。何故かはお分かりですね。婚約者は、親同士の約束で、決められたのです。一方的な解消理由ですので、慰謝料が発生します。慰謝料の支払いをした彼の親が彼を廃嫡にし、平民に落としたところ、真実の愛の相手とは連絡が取れなくなりました。彼女は、貴族の彼が好きだっただけで、平民には用はなかったのです。浮気をして、婚約者を捨てた男が、自分だけが幸せになる筈がないと言うよくできた教訓です。実際には、こんな馬鹿な貴族いないと思いますがね。」
「あら、貴方のご友人の話ではないの。さっきそう仰ったわよね。」
「いえいえ、こうやって回ってくるのですよ。噂なんてものは。最初の一人が、例えば自分の体験を話すとします。自分の体験だけれど、失敗したとわかっているので、私の友人が、とつけるのですよ。私が、と言われると笑えない話も、私の友人が、と言うと笑える話になるのです。」
「なるほどね。じゃあ、私の友人が、って話始めた人の何人かは、自分の体験ってこと?」
「そう言うこともあると言うことです。ちなみに、誓って言いますが、この話は、私の体験ではないですよ。私は婚約者と愛しあっておりますので。」
「そこは特に、疑っておりません。」
「良かったです。」
「その話を採用するなら、役者が必要ですわね。平民の方を使えば、平民を馬鹿にしているみたいに思われかねないわ。お金が全て、みたいに。だから、貴族の方で、嬉々として演じてもらえる方がいれば良いのだけれど。」
「去年、手伝ってくださった方は、卒業されましたものね。あの方、本当に薬の中毒患者みたいでしたもの。あの方、貴族でなければ、役者を目指すべきでしたわ。」
「本当に、鬼気迫る演技でしたわ。」
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