馬鹿につける薬あります

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護衛兼

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目が覚めると、護衛が増えていた。

アレク兄様とシガニ卿の命令で、宛てがわれた彼はルイスと言って、どこか親近感の湧く可愛らしい見た目をしている。

ただ可愛いと言っても二人に認められるだけあって、護衛の腕さながら、筋肉量も凄まじい。

筋肉好きではなくとも、観賞用としてもお勧めできる。

ルイスはヨハンの代わりになるらしい。何でも私を危険な目に合わせたのはヨハンの所為、と言う見解で一致した兄様達は、ヨハンに話をつけに行ったとのこと。

私が勝手にしたことなのに、と言っても、言ったところで聞いてくれるような人達ではない。ヨハンには悪いけれど一旦対応してもらうに限る。

私に話そうとしていた、ヨハンが私に隠していた諸々のことを話してくれたら良い訳で、兄様達はそれで納得すれば多分そんなに悲惨なことにはならない筈。

他の兄弟なら問答無用だったが、多分アレク兄様なら、一旦話は聞いてもらえる筈だ。……よね、多分。


「ストラウス公爵家には未だ彼らの周りに付き纏う良からぬ者達がいます。彼らの最後の悪あがきと言うところです。それらも次期にシガニ卿とアレク様が処理されますので気にしないでください。」

さらっと笑顔で物騒なことを言うルイス。正直時間が経ったとは言え、外に出るのは怖い。ヨハンといると、頼もしい反面、あの時のことを思い出してしまうから全く関係のないルイスに側に居てもらえるのが有り難くて仕方なかった。

「あの、フリッツ先生はスペンサーの友人だと言っていたのですが、もしかして?」

スペンサーに害はないのか、と尋ねたかったのだが、返ってきた言葉は意外なものだった。

「そうです。スペンサーもグルですね。彼も今回の捕縛対象です。

彼は前回、証拠不十分で捕縛は叶わなかったんですよ。でも今回はちゃんと証拠を残してくれて。漸く念願が叶います。」

「スペンサーは、市井に愛する人がいるって言っていたけど、彼女も?」

「彼に女性の影はありませんでしたよ。あるとすれば、被害に遭われた女性じゃないですか。」

スペンサーはヨハンと違いとても優しい男性だった。ステラを妹のように可愛がってくれて、いつも笑顔で話を聞いてくれた。あれは、いつか私を売るための、仕込みだったの?


ストラウス公爵家の醜聞は、世間を騒がせた。貴族令嬢を攫って、海外に売り飛ばす人身売買を公爵家当主がずっと行っていたからだ。

令嬢達は一度公爵家でメイドとして雇われる。慣れた頃に別の仕事だと嘘をつき、連れて行かれるのだと言う。彼女達は事件が明るみになった時、調査が入っていた。何人かは追えたが、何人かは……

スペンサーが市井に愛する人がいると言ったあと、何人かの女性がショックで行方不明になると言う事件が起きた。

アレも今考えると被害に遭ったと思った方が良いのかもしれない。

「ヨハンは、そう言う女性達を保護しようとしていたようです。」

「私が不貞だと思っていた人は皆被害に遭った令嬢と言うこと?」

「そこは、彼本人に聞くことを勧めます。もし、罪悪感を彼が知っていたなら、頷くことは出来ないでしょうから。」

ん?どう言うこと?



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