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本編
隠したいもの①
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「ご期待に添えるかどうかわからないけれど。」
ジュリエットよりも、連れてこられた二人に同情しつつも、クラリッサは一連の流れを掻い摘んで説明した。
「私の記憶が少し曖昧な為、おそらくなのですが、ダニエル・ファーリとは幼少期に何かありまして、彼は我が家を出禁になったのではないか、と推測しました。」
父の反応から考えると、少年ダニエルは少女クラリッサに暴言なり、妄言なりを吐いていたのではないか。
それでもあの日ダニエルが屋敷の中にいたのは、父の目を盗んでまで入り込んだのは、そうせざるを得ない理由でもあったのではないか。例えばこれから起こそうとしている何かを、うまくいかせる為に必要なものだったりを隠す、とか。
「その何かとはなんなの?」
「待って、順を追って説明するから。つい先日、私は幼馴染の失踪後、あまりにも会えなくなった婚約者に会いに行ったの。」
「それは断られたのでしょう。」
「そう。だから、アルバート様の力を借りて、変装して、潜り込んだの。クラリッサの名前で先触れを出したら断られたものだから、ダニエルと同じ方法を使ったの。あの日ダニエルはダニエルとしてではなく、協力者と共に、うちの屋敷に入り込んだの。彼の目的は短時間だけうちに入り込んだら、ある物を置いて帰って、その後に協力者に回収してもらう、と言うものだった。
だから、まずは屋敷内部に何かないか探した後に、フラン侯爵家に忍び込んで同じものが仕掛けられていないか探したの。
結論から言えばあったわ。同じものが、アリス嬢の失踪と同じタイミングで関係者というか、これから騙そうと計画している家に仕掛けられていた。
アルバート様と私が調べた家はもう一つ。リゼット子爵家。これはイーサンの幼馴染の家なんだけど。意外なことにこの家には何も仕掛けられていなかった。
ここで、私達は二つの可能性を考えた。まず一つは、子爵家がイーサンの弱みとして巻き込まれただけの可能性。もう一つは、子爵家が騙す側の可能性。」
「一応確認するけれど、隠されていたものと言うのは、盗聴や盗撮の為のものと考えて良い?」
「ええ。変わった形だったから探すのは大変だったけれど、そう言ったものであっているわ。」
「それらを探すのに漏れなんかはないのね?実は一つ仕掛けられたままになっていました、とかそう言うのは。」
「うん。発見するための機械を貸してもらえたから。アルバート様の伝手で、王宮に。」
「王宮で借りられた物であれば取りこぼしなんかはないでしょうね。」
ジュリエットは話を聞きながら、一つずつ疑問を確認していく。
「そうなの。それで最初は子爵家が向こう側であると仮定してみたの。そうしたら、」
「……行き詰まったのね。」
「そう。なら何故彼女達は、イーサンを貶めようとするのかわからなくて。イーサンは助けてあげなかったのか、とかね。色々考えてしまって。でも、ただ巻き込まれた側とも思えなくて。それでね、基本に立ち返って見たのよ。
この一連の話は一つずつはあまり関係がないのではないか、と。一つ一つの別の事件を、まとめることで、容疑者から外れようとする、とかミステリーとかでよく見る手法じゃない?
そうして見てみると、ダニエルが本当に得たかったものが見えて来たの。」
ジュリエットよりも、連れてこられた二人に同情しつつも、クラリッサは一連の流れを掻い摘んで説明した。
「私の記憶が少し曖昧な為、おそらくなのですが、ダニエル・ファーリとは幼少期に何かありまして、彼は我が家を出禁になったのではないか、と推測しました。」
父の反応から考えると、少年ダニエルは少女クラリッサに暴言なり、妄言なりを吐いていたのではないか。
それでもあの日ダニエルが屋敷の中にいたのは、父の目を盗んでまで入り込んだのは、そうせざるを得ない理由でもあったのではないか。例えばこれから起こそうとしている何かを、うまくいかせる為に必要なものだったりを隠す、とか。
「その何かとはなんなの?」
「待って、順を追って説明するから。つい先日、私は幼馴染の失踪後、あまりにも会えなくなった婚約者に会いに行ったの。」
「それは断られたのでしょう。」
「そう。だから、アルバート様の力を借りて、変装して、潜り込んだの。クラリッサの名前で先触れを出したら断られたものだから、ダニエルと同じ方法を使ったの。あの日ダニエルはダニエルとしてではなく、協力者と共に、うちの屋敷に入り込んだの。彼の目的は短時間だけうちに入り込んだら、ある物を置いて帰って、その後に協力者に回収してもらう、と言うものだった。
だから、まずは屋敷内部に何かないか探した後に、フラン侯爵家に忍び込んで同じものが仕掛けられていないか探したの。
結論から言えばあったわ。同じものが、アリス嬢の失踪と同じタイミングで関係者というか、これから騙そうと計画している家に仕掛けられていた。
アルバート様と私が調べた家はもう一つ。リゼット子爵家。これはイーサンの幼馴染の家なんだけど。意外なことにこの家には何も仕掛けられていなかった。
ここで、私達は二つの可能性を考えた。まず一つは、子爵家がイーサンの弱みとして巻き込まれただけの可能性。もう一つは、子爵家が騙す側の可能性。」
「一応確認するけれど、隠されていたものと言うのは、盗聴や盗撮の為のものと考えて良い?」
「ええ。変わった形だったから探すのは大変だったけれど、そう言ったものであっているわ。」
「それらを探すのに漏れなんかはないのね?実は一つ仕掛けられたままになっていました、とかそう言うのは。」
「うん。発見するための機械を貸してもらえたから。アルバート様の伝手で、王宮に。」
「王宮で借りられた物であれば取りこぼしなんかはないでしょうね。」
ジュリエットは話を聞きながら、一つずつ疑問を確認していく。
「そうなの。それで最初は子爵家が向こう側であると仮定してみたの。そうしたら、」
「……行き詰まったのね。」
「そう。なら何故彼女達は、イーサンを貶めようとするのかわからなくて。イーサンは助けてあげなかったのか、とかね。色々考えてしまって。でも、ただ巻き込まれた側とも思えなくて。それでね、基本に立ち返って見たのよ。
この一連の話は一つずつはあまり関係がないのではないか、と。一つ一つの別の事件を、まとめることで、容疑者から外れようとする、とかミステリーとかでよく見る手法じゃない?
そうして見てみると、ダニエルが本当に得たかったものが見えて来たの。」
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