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護衛達の諦め
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貴族には護衛がついていることがある。必須ではないが、勿論それは身を守る為に必要なことであり、不要な争いを最初から防ぐために有効なものである。
第一王子として、あまり役に立たなかったクリストファーにも、護衛はついていた。わかりやすく近くにいると、逆に撒こうと画策したり嫌がったりするので、本人や、周りの人に見破られないように彼らは側で見守っていた。
勿論、ロザリアとのやりとりも、些細なことまで漏らさず確認している。それによって彼らが知り得た侯爵家の内情については、秘匿しなければ生命の危機があるとして、彼らに特大のプレッシャーがのしかかった。
「知りたくはなかった。」
ロザリアが迂闊な発言をするたびにハラハラするのはクリストファーに付いている護衛達で。彼らはロザリアにクリストファーの近くにいてほしくなかったのはそういう理由が大半だった。
こう言っては元も子もないが、「あのご令嬢はダメだろう。」と誰もが感じた。クリストファーを好きだと言いながら、自分のことしか考えていない。
クリストファーとロザリアの言い合いが始まった時も、思ったが、やはり彼女は周りの令嬢達の中で一番上になりたくて、第一王子に近づいたようだ。
ローレン侯爵家にいながら、情弱ぶりを隠しもしないのは自覚すらないからか。貴族令嬢には珍しいタイプ。自分の弱さを明らかにして道化を演じることで同情を得る。幼い子供ならいざ知らず、ある程度まで成長してからもそのスタンスを崩さないのは、愚かであると、彼女は身を持って周りに教えてくれていた。
彼女は皆がいる前で、本性をあらわにするばかりか、攻撃姿勢を見せた。後からあれは姉に対する喧嘩だと言われたとしても、護衛が見守っている中で、誰に向けたかはっきりしない暴力行為は許されるものではない。
それがもう王子としては使い物にならない相手であっても、もうすぐその地位から降りることが決まっているにしても、王子の方向に攻撃したという事実は覆ることはない。
護衛達は、結果的には被害を受けたのは侯爵家の護衛ではあるが、ロザリア・ローレンを拘束した。
暴れたりはしなかったものの、納得はしていないようで、姉を狙っただけだと言い訳を繰り返す。
対して、姉システィーナ嬢は顔色が悪くなっている。侯爵家の内情に関係があるかはわからないが、余裕のある態度だったロザリア嬢に比べて悲壮な顔を浮かべた彼女は、この拘束の意味をわかっているのだ。
彼女の側には婚約者の公爵子息がついている。だから、大丈夫だろう。
「クリストファー王子殿下、貴方もご同行願います。」
クリストファーは被害者面をしているが、果たしてそれで穏便に済むだろうか。周りが心配していても、復習しない彼は、一生変わらない。そういう性根なのだと、護衛達は諦めた。
第一王子として、あまり役に立たなかったクリストファーにも、護衛はついていた。わかりやすく近くにいると、逆に撒こうと画策したり嫌がったりするので、本人や、周りの人に見破られないように彼らは側で見守っていた。
勿論、ロザリアとのやりとりも、些細なことまで漏らさず確認している。それによって彼らが知り得た侯爵家の内情については、秘匿しなければ生命の危機があるとして、彼らに特大のプレッシャーがのしかかった。
「知りたくはなかった。」
ロザリアが迂闊な発言をするたびにハラハラするのはクリストファーに付いている護衛達で。彼らはロザリアにクリストファーの近くにいてほしくなかったのはそういう理由が大半だった。
こう言っては元も子もないが、「あのご令嬢はダメだろう。」と誰もが感じた。クリストファーを好きだと言いながら、自分のことしか考えていない。
クリストファーとロザリアの言い合いが始まった時も、思ったが、やはり彼女は周りの令嬢達の中で一番上になりたくて、第一王子に近づいたようだ。
ローレン侯爵家にいながら、情弱ぶりを隠しもしないのは自覚すらないからか。貴族令嬢には珍しいタイプ。自分の弱さを明らかにして道化を演じることで同情を得る。幼い子供ならいざ知らず、ある程度まで成長してからもそのスタンスを崩さないのは、愚かであると、彼女は身を持って周りに教えてくれていた。
彼女は皆がいる前で、本性をあらわにするばかりか、攻撃姿勢を見せた。後からあれは姉に対する喧嘩だと言われたとしても、護衛が見守っている中で、誰に向けたかはっきりしない暴力行為は許されるものではない。
それがもう王子としては使い物にならない相手であっても、もうすぐその地位から降りることが決まっているにしても、王子の方向に攻撃したという事実は覆ることはない。
護衛達は、結果的には被害を受けたのは侯爵家の護衛ではあるが、ロザリア・ローレンを拘束した。
暴れたりはしなかったものの、納得はしていないようで、姉を狙っただけだと言い訳を繰り返す。
対して、姉システィーナ嬢は顔色が悪くなっている。侯爵家の内情に関係があるかはわからないが、余裕のある態度だったロザリア嬢に比べて悲壮な顔を浮かべた彼女は、この拘束の意味をわかっているのだ。
彼女の側には婚約者の公爵子息がついている。だから、大丈夫だろう。
「クリストファー王子殿下、貴方もご同行願います。」
クリストファーは被害者面をしているが、果たしてそれで穏便に済むだろうか。周りが心配していても、復習しない彼は、一生変わらない。そういう性根なのだと、護衛達は諦めた。
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