11 / 25
理解の上限
しおりを挟む
どのみち、ロザリアが第一王子を選んだ時点で既に罰は受けている気もするが、システィーナには何だかモヤモヤした気持ちが残っていた。ロザリアにやられたことと、罰が噛み合っていない。
ロザリアは今は幸せの真っ只中。システィーナにもルイーズにも勝ったと有頂天になっている。
「もう少しちゃんと叩きのめしたいわね。」
「あっはは。言うようになったわね。私は嬉しいわ。なら、こんなのはどう?」
ルイーズは惜しみなくアイデアをくれる。そのアイデアの元は、自分の経験談というのは笑えないけれど。システィーナが考えつかないことばかりだから、助かっていた。
彼女の案は採用した。とはいえ、成功するかどうかは二人の演技力にかかっている。ロザリアにその気にさせるどころか思惑を悟られたら意味がない。
「大丈夫よ。ロザリアは飛びついてくるわ。私達より自分が上だと、今にも主張したくて堪らないんだから。」
「なら、成功した暁にはうちの愚兄も呼んで良いかしら。先ずはアレに近況を知らしめたいの。」
「勿論いいわよ。システィーナ、偶にではなくて淑女は眠らせておいた方が良いんじゃない?この方が楽しいわ。」
「正直、私もそうね。それでも戻れるうちにやめないと。偶には、やめるぐらいが丁度良いのよ。」
妹にも兄にも、場合によっては父にも、仕返しはするし、罰も受けてもらうけど、オーバーキルはいけない。そこまで叩きのめして、立ち上がれなくなられても家族として困るのは目に見えている。
反省は大いに結構。アレクシスが当主になるのは反対だけど落ちぶれてほしいわけではない。弟マイルズの為にサポートに回れないぐらいだと困るのだ。お荷物になったらなったで、面倒だから。丁度良い落とし所を見つけなければいけない。どちらにしろ、あの性格は矯正するけれど。
「セドリックが、自分の出番はまだかとウズウズしていたわ。アランも呼ぶのでしょう?もう仲直りした?」
「まだよ。仲直りはしていないけれど、今は休戦中ね。ロザリアのことが片付いてからもう一度話し合うつもりよ。」
「ふうん、大変ね。システィーナは考えすぎなのだと思うけれど。私とは環境も考え方も違うのだから仕方ないわ。早く思う存分喧嘩し合えるといいわね。」
ルイーズの良いところは決して人に強制しないところだ。こうした方が良いんじゃない?とはいうものの、それをしなければ罰があるとかではない。それをしない選択肢もきちんと残してくれている。
「セドリック第三王子殿下に何を話しているの?」
「システィーナの力になりたい、ってことだけよ。多分あの茶会で起きた出来事は彼には筒抜けでしょうからそこから彼なりに推測したのよ。自分の兄が楽しそうなのも、側で見てて知っているでしょうし。」
ルイーズの婚約者のセドリック第三王子殿下は見た目の爽やかさからは想像できないほどの良い性格をしている。
彼に比べるとアランは真っ直ぐに育ってくれた。システィーナはルイーズを好いているものの、未だにセドリックとはあまり仲良く出来るとは思っていない。ロザリアが不敬を働くのを黙って見ているしかない状況で果たして自分は耐えられるのだろうか。
「大丈夫よ、システィーナ。あなたの妹の不敬は今更咎めたりしないそうよ。セドリックは第一王子殿下を叩きのめしたいだけだから。」
どうやって、と聞くのはやめた。知らなくて良いことは存在する。藪を突いたばかりに自分が被害を受ける必要はない。
「ほどほどにね。」
全くの気休めを口にするものの、その言葉は虚しく響いた。
ロザリアは今は幸せの真っ只中。システィーナにもルイーズにも勝ったと有頂天になっている。
「もう少しちゃんと叩きのめしたいわね。」
「あっはは。言うようになったわね。私は嬉しいわ。なら、こんなのはどう?」
ルイーズは惜しみなくアイデアをくれる。そのアイデアの元は、自分の経験談というのは笑えないけれど。システィーナが考えつかないことばかりだから、助かっていた。
彼女の案は採用した。とはいえ、成功するかどうかは二人の演技力にかかっている。ロザリアにその気にさせるどころか思惑を悟られたら意味がない。
「大丈夫よ。ロザリアは飛びついてくるわ。私達より自分が上だと、今にも主張したくて堪らないんだから。」
「なら、成功した暁にはうちの愚兄も呼んで良いかしら。先ずはアレに近況を知らしめたいの。」
「勿論いいわよ。システィーナ、偶にではなくて淑女は眠らせておいた方が良いんじゃない?この方が楽しいわ。」
「正直、私もそうね。それでも戻れるうちにやめないと。偶には、やめるぐらいが丁度良いのよ。」
妹にも兄にも、場合によっては父にも、仕返しはするし、罰も受けてもらうけど、オーバーキルはいけない。そこまで叩きのめして、立ち上がれなくなられても家族として困るのは目に見えている。
反省は大いに結構。アレクシスが当主になるのは反対だけど落ちぶれてほしいわけではない。弟マイルズの為にサポートに回れないぐらいだと困るのだ。お荷物になったらなったで、面倒だから。丁度良い落とし所を見つけなければいけない。どちらにしろ、あの性格は矯正するけれど。
「セドリックが、自分の出番はまだかとウズウズしていたわ。アランも呼ぶのでしょう?もう仲直りした?」
「まだよ。仲直りはしていないけれど、今は休戦中ね。ロザリアのことが片付いてからもう一度話し合うつもりよ。」
「ふうん、大変ね。システィーナは考えすぎなのだと思うけれど。私とは環境も考え方も違うのだから仕方ないわ。早く思う存分喧嘩し合えるといいわね。」
ルイーズの良いところは決して人に強制しないところだ。こうした方が良いんじゃない?とはいうものの、それをしなければ罰があるとかではない。それをしない選択肢もきちんと残してくれている。
「セドリック第三王子殿下に何を話しているの?」
「システィーナの力になりたい、ってことだけよ。多分あの茶会で起きた出来事は彼には筒抜けでしょうからそこから彼なりに推測したのよ。自分の兄が楽しそうなのも、側で見てて知っているでしょうし。」
ルイーズの婚約者のセドリック第三王子殿下は見た目の爽やかさからは想像できないほどの良い性格をしている。
彼に比べるとアランは真っ直ぐに育ってくれた。システィーナはルイーズを好いているものの、未だにセドリックとはあまり仲良く出来るとは思っていない。ロザリアが不敬を働くのを黙って見ているしかない状況で果たして自分は耐えられるのだろうか。
「大丈夫よ、システィーナ。あなたの妹の不敬は今更咎めたりしないそうよ。セドリックは第一王子殿下を叩きのめしたいだけだから。」
どうやって、と聞くのはやめた。知らなくて良いことは存在する。藪を突いたばかりに自分が被害を受ける必要はない。
「ほどほどにね。」
全くの気休めを口にするものの、その言葉は虚しく響いた。
67
お気に入りに追加
335
あなたにおすすめの小説
私、女王にならなくてもいいの?
gacchi
恋愛
他国との戦争が続く中、女王になるために頑張っていたシルヴィア。16歳になる直前に父親である国王に告げられます。「お前の結婚相手が決まったよ。」「王配を決めたのですか?」「お前は女王にならないよ。」え?じゃあ、停戦のための政略結婚?え?どうしてあなたが結婚相手なの?5/9完結しました。ありがとうございました。
ざまぁ?………………いや、そんなつもりなかったんですけど…(あれ?おかしいな)
きんのたまご
恋愛
婚約破棄されました!
でも真実の愛で結ばれたおふたりを応援しておりますので気持ちはとても清々しいです。
……でも私がおふたりの事をよく思っていないと誤解されているようなのでおふたりがどれだけ愛し合っているかを私が皆様に教えて差し上げますわ!
そして私がどれだけ喜んでいるのかを。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる