8 / 25
花畑満開の妹
しおりを挟む
アラン様と居る時には、白い目で見られることはあっても、特に近寄って来なかった姉システィーナの取り巻きは、第一王子といるようになってからは、度々ロザリアの目前に現れ、苦言を呈すようになった。
(これこれ、これを待ってたのよ!)
姉とは会ったこともない筈のどっかの令嬢に絡まれた時も、姉の影響力の高さに驚いたけれど、誤算は、私の味方の筈の男性から、嫉妬されたことね。
私を第一王子に取られるとでも思ったのかしら。
でも、ここは広い心で許してあげなくてはいけないわ。それに、どこの誰だかしらないけれど、貴方ごときでは私の愛を得られないと理解しなきゃ。
だって、私の相手は第一王子よ、第一王子。クリフ……クリス……なんだったかしら。第一王子様でいいわよね。様をつければ彼は上機嫌なんだもの。
彼を知るとアランなんか、姉の婚約者という以外に何の魅力も感じないわ。
それにしたって、姉システィーナに一泡吹かせられたみたい。良かった。姉は「忠告したわよ。」なんて、言ってたけど負け惜しみだわ。自分じゃ第一王子様に選ばれなかったものだから、ププッ。笑える。
お兄様にはアラン様との近況を聞かれているけれど、第一王子様によれば、兄には内緒だって言われたから、仕方ないのよ。何でも軽々しく家族に言っていたら罪になることもあるらしいし、何より姉に一泡吹かせられたなら、お兄様は褒めてくださるわ。
「私達のお披露目は、今度の夜会で行わないか?ドレスは贈るし、私がエスコート役になろう。私の色を纏った君はさぞ美しいことだろう。」
第一王子様は、ロザリアにピッタリの可愛いドレスを注文してくれるらしい。楽しみだわ。
自分のドレスは自分で選びたいけれど、男性が贈るって言っているのだから、無下にすることはできない。
彼の好みが壊滅的でないことを祈るわ。念の為、彼の瞳の色のドレスを用意しておこうかしら。いくら好きでも恥をかくのは避けたいから。
ロザリアがこれだけ、用心するのは訳がある。ロザリアには姉と同時期に婚約者を決められる流れがあったことがある。アランと姉はすぐに意気投合し、互いを尊重することが出来たが、ロザリアの相手は最悪だった。
アランは公爵家、ロザリアの相手は伯爵家。それも既に不満だったのに、相手の母親の服のセンスが悪すぎたのである。ゴテゴテとしか言えないほどの大量のジュエリーをつけて、今時流行らないデザインのドレスを得意満面な顔で着る姿はまるで道化師みたいだった。
姉はそんな伯爵夫人におべっかを使っていたけれど、ロザリアは自分が周りから笑われているような感覚になって恐怖すら覚えたのである。
その伯爵家との縁談は幸いにもなくなったから良かったけれど。もう相手の顔すら覚えていないけれど。名前だけはしっかり覚えている。
あの時から、ロザリアはちゃんと対策をするようになった。姉からはあの時も、「失礼なことはしないように。」と言われたけれど、冗談じゃない。他人事だと思って、なら姉が着れば良いじゃない。
姉は姉でアラン様から贈られたという素敵なドレスに身を包み、偉そうに振る舞うのだ。虐げられて懸命に生きてる私なんだから、そろそろ大逆転しても良いわよね?
私が王妃になったら、あの憎らしい姉はどんな顔をするかしら。今からとても楽しみだわ。
(これこれ、これを待ってたのよ!)
姉とは会ったこともない筈のどっかの令嬢に絡まれた時も、姉の影響力の高さに驚いたけれど、誤算は、私の味方の筈の男性から、嫉妬されたことね。
私を第一王子に取られるとでも思ったのかしら。
でも、ここは広い心で許してあげなくてはいけないわ。それに、どこの誰だかしらないけれど、貴方ごときでは私の愛を得られないと理解しなきゃ。
だって、私の相手は第一王子よ、第一王子。クリフ……クリス……なんだったかしら。第一王子様でいいわよね。様をつければ彼は上機嫌なんだもの。
彼を知るとアランなんか、姉の婚約者という以外に何の魅力も感じないわ。
それにしたって、姉システィーナに一泡吹かせられたみたい。良かった。姉は「忠告したわよ。」なんて、言ってたけど負け惜しみだわ。自分じゃ第一王子様に選ばれなかったものだから、ププッ。笑える。
お兄様にはアラン様との近況を聞かれているけれど、第一王子様によれば、兄には内緒だって言われたから、仕方ないのよ。何でも軽々しく家族に言っていたら罪になることもあるらしいし、何より姉に一泡吹かせられたなら、お兄様は褒めてくださるわ。
「私達のお披露目は、今度の夜会で行わないか?ドレスは贈るし、私がエスコート役になろう。私の色を纏った君はさぞ美しいことだろう。」
第一王子様は、ロザリアにピッタリの可愛いドレスを注文してくれるらしい。楽しみだわ。
自分のドレスは自分で選びたいけれど、男性が贈るって言っているのだから、無下にすることはできない。
彼の好みが壊滅的でないことを祈るわ。念の為、彼の瞳の色のドレスを用意しておこうかしら。いくら好きでも恥をかくのは避けたいから。
ロザリアがこれだけ、用心するのは訳がある。ロザリアには姉と同時期に婚約者を決められる流れがあったことがある。アランと姉はすぐに意気投合し、互いを尊重することが出来たが、ロザリアの相手は最悪だった。
アランは公爵家、ロザリアの相手は伯爵家。それも既に不満だったのに、相手の母親の服のセンスが悪すぎたのである。ゴテゴテとしか言えないほどの大量のジュエリーをつけて、今時流行らないデザインのドレスを得意満面な顔で着る姿はまるで道化師みたいだった。
姉はそんな伯爵夫人におべっかを使っていたけれど、ロザリアは自分が周りから笑われているような感覚になって恐怖すら覚えたのである。
その伯爵家との縁談は幸いにもなくなったから良かったけれど。もう相手の顔すら覚えていないけれど。名前だけはしっかり覚えている。
あの時から、ロザリアはちゃんと対策をするようになった。姉からはあの時も、「失礼なことはしないように。」と言われたけれど、冗談じゃない。他人事だと思って、なら姉が着れば良いじゃない。
姉は姉でアラン様から贈られたという素敵なドレスに身を包み、偉そうに振る舞うのだ。虐げられて懸命に生きてる私なんだから、そろそろ大逆転しても良いわよね?
私が王妃になったら、あの憎らしい姉はどんな顔をするかしら。今からとても楽しみだわ。
77
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説

ざまぁ?………………いや、そんなつもりなかったんですけど…(あれ?おかしいな)
きんのたまご
恋愛
婚約破棄されました!
でも真実の愛で結ばれたおふたりを応援しておりますので気持ちはとても清々しいです。
……でも私がおふたりの事をよく思っていないと誤解されているようなのでおふたりがどれだけ愛し合っているかを私が皆様に教えて差し上げますわ!
そして私がどれだけ喜んでいるのかを。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

もう我慢する気はないので出て行きます〜陰から私が国を支えていた事実を彼らは知らない〜
おしゃれスナイプ
恋愛
公爵令嬢として生を受けたセフィリア・アインベルクは己の前世の記憶を持った稀有な存在であった。
それは『精霊姫』と呼ばれた前世の記憶。
精霊と意思疎通の出来る唯一の存在であったが故に、かつての私は精霊の力を借りて国を加護する役目を負っていた。
だからこそ、人知れず私は精霊の力を借りて今生も『精霊姫』としての役目を果たしていたのだが————

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる