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結末はもう少し アンジェリカ視点

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アンジェリカは夜中に目を覚ました。いつもはぐっすり眠ってしまうのに、珍しい。結婚式がもうすぐだから興奮して眠れないのかも知れない。それかもうそろそろ役目を終える開放感からくるものかもしれない。

王女ヴィクトリアは最後までアンジェリカを監視する目を緩めなかった。対外的には仲の良い王女と公爵令嬢と言う立場を続けていたから。

アンジェリカが王太子となるはずだった彼女の兄と結ばれない為に彼女は幾つもの罠を仕掛けて、アンジェリカが身動きを取れないようにしたのだ。

彼女の統治する国に元第一王子は置いておけない。だから、身分差で結婚できなくて悩んでいたカップルに協力してもらい、国を出ることにしたのだ。

夫人達は公爵家を恐れながらも王女に通じている為、家から出て貰うことにした。男爵夫人は商会ごと公爵家に取り込むことが出来たし侯爵夫人には新しい嫁ぎ先を用意した。

アンジェリカは母の人脈に感謝した。

男爵家は一代で潰すことを王女が宣言している為、そうなれば彼らを呼ぶ準備もする必要がある。


アンジェリカは王女にアンジェと呼ばれるたびに蕁麻疹が出るのを隠さなければならなかった。暑い日でも長袖を着ていたのは日焼けを恐れたわけではなく、蕁麻疹を隠す為。



「貴方の部下は全て置いてきたけれど良いのね。」

アンジェリカのいう部下とはいつのまにか王女に寝返っていた第一王子の側近を望む者達のことだ。

「どうせ彼らの中から王配でも用意するんだろう。気にしなくていいさ。」

第一王子をアンジェリカと反対の立場に置いたのは、ヴィクトリアだ。彼女のシナリオでは自分よりも力のあるカリスマ性のある者は皆始末できる予定だった。

隣国の第二王子は、アンジェリカと第一王子の恋を応援してくれると言った。彼も身分差のある恋人がいるらしく、利害は一致した。

「国はどうでも良いし、もうこうなればくれてやる、けれど私からアンジェリカを奪おうとしたことだけは許す気はない。」

今はまだ準備が整っていない。アンジェリカと元第一王子マシューは自分達の幸せの為に動き始めたばかりだ。

「私に当て馬は役不足、なんて言っていた癖にね。脇が甘いのよ。」

アンジェリカは準備が整って、彼女に会えたら言いたい言葉がある。

「私に当て馬をさせるなんて、正気なの?」と。

終わり

読んでいただきありがとうございました。      
明日番外編として、アンジェリカ視点を何話か更新する予定です。      mios
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