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蹴っ飛ばされた伯爵改

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妹夫妻が監禁生活から明け旅行へ行くタイミングで、こちらも監禁生活へ入る。

結婚してからと言うもの、僕の足りない頭で領地経営は中々大変で、夫人の協力なしでは到底なしえないのに、いらないプライドから、妻の力を使わずに僕一人でなんとかしようと思っていた。余計なことをした、と今では思う。安いプライドなど、なんの役にも立たない。

家のことをイリナに任せっきりにしていたら、今まで父の代から我が家で働いていた使用人たちを追い出してしまっていた。義弟に頭を下げて、使用人の面倒をおしつけると、目の笑っていない笑顔を向けられて、顔が引き攣るのがわかる。

妹が、幸せならそれでいいけれど、どうもあいつは昔から苦手だ。

妹のストーカーとしての記憶しかないのだが、どうして妹はあいつが好きなのか、やっぱりわからない。きっと美的感覚が違うのだろう。身内で執着する対象が被らなくてよかった。妹が弟でなくてよかった。

とるに足らない僕が、妻の目に止まるには、余計なものがなくなって僕しかいない、と言う状況でないといけない。

妻を監禁したところで、妻に酷いことをできるわけもなく、ただ同じ部屋にいて、僕が妻を愛してることをわかってもらうだけだ。僕は妻が欲しいけれど、妻は僕を欲しがらないだろう。まずはそこから。僕を欲しいと思ってもらうこと。

アールとイリナのイチャイチャ を壁越しに聞いたことがあり、あの時は嫉妬に狂いそうだった。いつの間にか壁がなくなって、すぐ近くにイリナがいる。手を伸ばせばすぐ届く位置にいる。

僕が手を伸ばせば、イリナはびくっと体を強張らせた。そっと抱きしめる。イリナの体温と鼓動が伝わってくる。匂いを嗅いで少し長く抱きしめていると、妻の手が恐る恐る差し出され、僕の体を抱きしめた。僕は今きっとにやけて、気持ち悪い顔をしている。

妻の長い髪に口をつける。妻の目が少し細められる。愛を囁くと、妻の目が大きくなった。意外とでも言うように。苦笑して、まさか伝わっていなかったとは、とため息が出る。れっきとした夫婦であるのに、口づけするだけで、緊張する。

僕の思いを知って貰わなきゃいけない。僕がどれだけ妻を愛していて、どれだけ妻に夢中なのかを。たくさん、愛を囁く。色々なところにキスをして、わからせてやらなければ。君を多分一生逃してあげられないから。

君が僕をどう思っているかは知らないけれど、執着だけは人一倍あって、割と夜は仕事が出来る方なんだよ。体力が気になるけれど、無茶はしないから安心して。君に思い知らせるだけだから。
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