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ここだけの話③イザベラは、見た

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元侯爵令息のアールが生きている?
伯爵家お抱えの隠密であるゼロがいうのだから、そうなのよね。顔は全く同じだという。私たちが知らない庶子でもいたのだろうか。


元侯爵令息であるアールは、第四王子殺害の犯人として拘束され、処刑された。
第四王子は兄、第三王子の婚約者である伯爵令嬢にしつこく言い寄っていて、身の危険を感じた伯爵令嬢が、王家に助けを求めたことから始まった。

その伯爵令嬢は、義妹と懇意であり、親友だったため、私たち姉弟も微力ながら力を貸した。

第四王子の腰巾着としてアールが、義妹に言い寄っていたのもあり、私は夫の伝手を使って、全てを処理する業者を雇った。

その業者の手腕は見事だった。
残された証拠から見ても、誰もがあれを冤罪だとか、仕組まれたことと思わなかった。
全て上手くいった、と思っていたのに。

あれが本当にアールであれ、別人であれ、害をなすものに変わりはない。
あと、その男の後ろ盾を探さなければ。
第四王子のいない、ただのアールの側につくような人は限られている。
何か利用価値があるのよ。そうでなければ、協力などしないわ。

けれど、協力者と言ってもねぇ。どれもゴミだから、覚えていられない。
これだから、王家に関わるの嫌なのよ。

今、弟夫婦が家に篭っているから、こういうことは、今のうちに終わらせたいのよね。多分愚弟が、妻を怖い目に合わせたくないから、この時期に地下室に篭るなんて、考えるのよ。
姑息よね、本当に。

いつも独り占めしてずるいわ。
私だって義妹と、話したいのに!

こうなったら、全て上手くいった暁にはお茶会をたーくさん開いて、のんびりするわ。勿論、女子会よ!

ざまあー!愚弟!

私の義妹を独り占めしようとするからよ!

さあ、ゼロに頼んでもう一仕事しなくちゃね。公爵夫人の腕の見せ所よ!

手紙を何通か書かなくちゃ。

そういえば、あの業者はどうしたのかしら。また頼めたらいいのだけど。
今度こそ根こそぎ始末してほしいわ。
でも、公爵家の誰も知らなかったのよね。業者の正体までは。こちらの駒として置いておけるなら良かったのだけど。

敵になったら困るけれど、何故かそんな感じはしないのよね。
伯爵家にはゼロもいるし、愚弟も何のために鍛えてるってぐらいだし。妻を守る為よね、当然だけど。

それぐらいしか、利用価値はないのだから、せいぜい大切な妻を守りぬきなさい。

わたしも陰ながら応援しているわ。
ここだけの話、隙があれば、義妹をさらって閉じ込めたいけれど。お義姉ちゃんが守ってあげるわ。




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