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前夜祭(妻の思惑)

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やっぱり旦那様は監禁したいのですって。私マドレーヌがあれば監禁されても良いですわ。マドレーヌを食べて、旦那様と一緒にいられるなら、監禁も良いですわね。

買い物を終えて、帰ってご飯を食べて、お風呂に入って気がつきました。あら、明日からお風呂はどうするのかしら。明日から旦那様と一緒かしら。旦那様を誘惑してみるのもいいわね。一緒に入りましょうって。顔を赤くして、焦る旦那様は可愛いですわよ、きっと。

あまり可愛いを連呼すると、不機嫌になってしまわれるわ。
私そういえば幼い頃、彼を怒らせてしまったのよ。

僕は男なのだから、可愛いは褒め言葉ではない!と言って。でも、そう言う旦那様は耳まで真っ赤にされていて、可愛かったのよ。

旦那様の時間はどれほどあるのかしら。伯爵としてのお仕事は、割とあったと思うのだけれど。旦那様のいない地下室は、寂しいと思うの。
出来る限り一緒にいてくださると嬉しいわ。

明日は朝から地下室かしら。何時ごろから地下室なのかちゃんと聞いておかないと。

夜ベッドに寝転んで、明日のことを考えていると、旦那様がいらっしゃった。

「まだ起きてるの?」
旦那様が後ろから抱きしめてきます。

「えぇ、明日は何時からですの?」
額にくちづけをされます。

「うん?何時でも良いよ。」
旦那様、そんな色っぽい顔をしないでくださいまし。

「貴方とずっと一緒にいられるなら早いうちが良いですわ。」
私がポーっとしながら、答えると旦那様は何とも言えない顔をされました。
どう言う表情なの、それは。

「どうして、君は…」
苦しそうに見えますわ。
大丈夫ですの?

旦那様は、私の顔を覗き込んで、甘くくちづけた。これ、これですわ。これをされると、私は身も心も貴方のものだと思うのですわ。

「可愛い。」
唇を舐めながら、綺麗なお顔を歪ませて、色っぽい顔をするなんて、旦那様、私を殺す気ですか。

今日は更にもう一度、くちづけをされます。いつもより、深く甘いくちづけを。
ああ、明日から何度も私は旦那様に殺されるのね。

監禁されて、殺されるなんて、物騒だけど、私にとっては一番幸せな死因だわ。

貴方を残して死ぬなんて、嫉妬に狂うのがわかってるから、絶対にしないけれど。



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