僕はお人形を愛でる

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不都合

魔法使い

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魔導国としての始まりはそう昔ではない。元は小さな国で魔法によって侵略を繰り返したのち、今の大きさを維持している。

その昔、それこそ魔導国として王家が機能していた頃には、王族は第一王子だけでなく、他の王子王女にも膨大な魔力をもつ子どもがいた。その頃には今のような第一王子のみに負担をかけるものではなかった。そもそも結界などなくても、問題ないほど、魔物に対する国力があった。

それがいつの頃からか、王家に魔力が豊富な者が生まれない、それどころか、国全体に魔力を持つ者がほんの一握りになってしまった。

いつの頃からか、とは言えど、具体的には三百年程前からのこと。歴代最悪の魔法使いが生まれるずっとずっと前から王家はある病を患っていた。

呪いに近い病、それは頻繁に魔力切れをおこすという病。病を治す為に、行った治療は魔力が切れても生きられるようにするもので、これをし続けたからこそ、魔力のない者達が生まれることとなった。

第一王子が贄と成り果てた原因の一つは、この治療が第一王子には効果がなかったことだ。

もしも、この頃に生み出された治療が魔力切れをおこすものではなく、魔力を循環させたり、体内に留めておけるものだったなら、また違った結果になったろう。

予想通り、第一王子を贄とする考えは第二以下の王子が企てたことであった。その当時の第一王子は優しく、国民に尽くすタイプであったため、弟に利用されてしまった。

第二王子は、魔力は少ないながらも、ちゃんとあり、ただある分全てを放出してしまう。第一王子から豊富な魔力を貰ってこそ生き延びることができたため、陰謀の中にいても兄弟仲は良かった。

しかし、そのうち、代替わりしていくにつれ、兄弟仲どころか、血が繋がっているかすら怪しい者達がでてくる。そうなると、魔力も最初からなければ、人を敬う理由すらないため、好き勝手にし始める。

その中で最悪の魔法使いは生まれたのだ。彼は当時の第一王子で、ある日塔から逃げ出した。そして、自分の身代わりとしてある男を置いた。当時の第二王子であり、次期国王となるはずの王子である。彼の体は既に結界に取り込まれてしまっていて、引き離そうとすると命の危険があった。

そして彼が死ぬまで第一王子の身代わりとして国民を守った。

そのあとは第三王子が国王になった。消えた第一王子という爆弾を抱えたまま。

第一王子は、人間をも、人形として扱うことが出来る、人形遣いの最悪の魔法使いとして名を知らしめた。

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