僕はお人形を愛でる

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魔法使い

血筋

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これまでも、人形遣いと言う特殊な魔法を使う者はいたが、第一王子の使う魔法とは根本的には別物と言える。前者は、自分のスキルの中に人形を使う物があって、自分の目的の為に使用する。対して第一王子のそれは、第一王子が代々、自身の持つ膨大な魔力を結界を張る為に使用していて、ある程度の魔力を放出しないといけない体になっているのを、生きる為に制限する役割を担うものだ。

魔力を放出するための、結界の代わりのものであり、魔力切れをなくすものだ。

今までの、第一王子の死因は、魔力切れを起こしたからではないかと思っている。第一王子の体が、結界を維持する為の装置のようなもので、自分の魔力や、力などお構いなしに、魔力を奪っていくとしたら、その放出された分を他に移して、自身の体に還せたら、魔力切れを起こすこともなくなる。

誰の入れ知恵かはわからないが、そうして第一王子は生きてきた。

自身の魔力を、死体に保持させて、火災の日まで持ち堪えた。

人形遣いを調べていると、不思議な事件にたどり着く。歴代最悪と呼ばれた魔法遣いの存在に。

歴代最悪の魔法使いと称された男も、元第一王子ではないかと噂されている。噂話を間に受けて、その魔法使いを調べようとしても、どこからか圧力がかかり、中々思うようには調べられない。

この圧力は、恐らく王宮内の誰かだ。その誰かが隠したい真実がある。



ここ、イスイリ国は魔導国と呼ばれている。第一王子でなくとも、貴族達の多くは魔力を持ち、日々研鑽を重ねている。平民の中にもたまに魔力を持つ者が存在するが、多くはない。日々の生活によって少なくなったり、消失してしまうことが多く、小さい頃は魔力があったものの、大人になるにつれて、弱くなり使えなくなる者の方が多い。

王族は、貴族よりも魔力が多いとされてきた。第一王子だけでなく、王族として生まれた王家の血を受け継ぐ者ならば。


歴代最悪の魔法使いは、確か生死がはっきりしていない筈だ。今でも生きているならとうに齢百を超えているので、もう生きていないかもしれない。

彼は当時の王族を全て殺したとされている。
殺さなかった唯一は、当時側妃様が産んだばかりの第三王子のみで、彼が今日の王族の元となった。

だから、彼が王家の血を受け継いでないなら、今の第一王子が、膨大な魔力をもつ血筋でないと言う矛盾が生じてしまう。

実際はどうであれ、第一王子の存在そのものが王族の正しさを証明する。


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