僕はお人形を愛でる

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魔法使い

理性の消失 ★

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大勢の人を一気に人形にするには膨大な魔力が必要だ。僕の小さな体では、使える量は限られている。だから少しずつ、人形を増やしていき、残された者に恐怖を与えようとしたが、残された人間が鈍感な奴で、ちっとも恐怖を感じない。

だからお望み通りに、人形にしてやった。恐怖を感じるのは今からでも間に合うよ?

僕の正体に今更気づくなんて、本当に間抜けすぎるよ。それで、地方と言えど、騎士を名乗っていたのだから、すごいよね。

「ルイ。本当にここで良いのか?」
兄さんは、あくまで鈍感だ。愚鈍な男は嫌いだが、兄さんはずっとそのままでいてくれて構わない。

「僕はここを気に入ったよ。」
僕が微笑めば、ほっとした笑顔を見せる。

兄さんは人に紛れるため、街中で居を構えようとしたけれど、どうせなら僕は、この世界に二人しかいない、状況を作りたかった。

だから兄さんを唆して、森の外れにある広大な土地に家を作った。使用人は人形に任せば良い。ちょうど、屈強な人形が手に入ったところだから、大きな家でも、手は足りる。

元罪人だから、考えが足りない人形もいるけれど、粛清すればいい。

街の宿屋に泊まったとき、兄さんに色目を使ってきた女達も、人形にしたけれど、当然ながら、家には入れないよ。

僕の許しもなく、兄さんに触れようとしたのだもの。

兄さんとは常に体の一部が触れている。手を繋いで歩いたり、キスをしたり、腕を組んだりして。

兄さんはその度に、脳内で言い訳をさがしている。おかしい。兄さんからしたら、僕は守ってあげなければいけないものみたい。兄さんにはとても大切にされている。

近い内に、兄さんが、僕を閉じ込める部屋に、兄を誘う。日当たりがよく、過ごしやすい。ここを二人の寝室にする。

僕は今後兄によって大切にこの場所に保管されるのだ。兄としか関わらず、兄を愛することだけ許される、この場所。

兄は僕への罪悪感と言う甘い手土産を持って、僕だけを愛してくれる筈だ。

兄は僕の手に枷をつける。家に帰ればうがいや手洗いをするように。

「ルイ、おいで。」
膝の上に僕を乗せたら、キスをする。僕は手枷をつけたまま、兄さんの頭に手を回し、キスを長く楽しむ。

兄さんの頭の中では、理性がまだ勝っているはずだ。

キスは、挨拶の一環として認識されている。

兄が認識しないまま、僕を手に入れるまで、誰にも邪魔をされるわけにはいかないのだ。

兄さんの理性は狂い始めている。

事実をねじ曲げるぐらいまで。

もう少し頑張って貰わないといけないが。

「兄さん、愛してる。」
「俺もだ、ルイ。」












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