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魔法使い
嫉妬 ★
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兄の綺麗な瞳は、汚れがない。汚いものをあれだけ目にしたのに、いつまでも美しいのはどうして?
僕は生まれてきてから、今までで、随分と薄汚れてしまった。
僕の大切なお人形に兄を加えることができたなら、その瞳は曇ってしまうのだろうか。どこまでやれば、曇るのか、試してみたい気になるけれど、あの澄んだ瞳を見たいから、今はまだしない。
兄があの綺麗な瞳で、僕を見るたびに、兄を汚したい欲求に駆られるんだ。
兄は僕を弟として見ようとしてくれる。これだけ魅了魔法を使って誘惑しているのに、理性という鎧は固く、いまだに兄を閉じ込めてしまっている。早く素直になってくれないかなぁ。悶えてる姿も中々なものだけどね。
理性を剥ぎとれる魔法ってないかな?精神系の魔法は使い過ぎたら、瞳が曇るから気を付けなくちゃ。
魅了の魔法はここぞと言う時にたくさんかかるように、設定したから、兄が僕を見た時や近づいた時に視界が不安定になったりして、それで僕のことを好きになるようになる。
僕の魔力がもし兄より少なければ、魅了の魔法は効かない。兄は、魔力がないから、かかるしかないのだ。早く楽になってほしい。だってこれからは泣いても笑っても、二人きりで過ごすのだから。ただの兄弟の関係より愛し合う兄弟の方が、裏切りは少ないと思う。
僕の兄に対する欲は際限を知らない。できれば、兄には僕しか、あの綺麗な瞳に映して欲しくはない。僕以外の物に価値を見出して欲しくない。
だから魔法で縛る。兄は魔法が使えないから、簡単に縛ることができる。きっと兄は縛る紐の太さすらわからない。知らなくていい。
兄がもし手に入らないなら、兄の瞳だけ、貰えれば良いと思っていた時期がある。兄を人形にしたい、と言う願いはあの瞳があったからだから。
でも、最近は少し違う。兄ごと、欲しい。例え瞳が曇り切ってしまったとしても、どうしても兄が欲しい。
僕は、とんだ欲張りになってしまったみたいだ。
お兄様とバート兄さん、兄はどちらを気にいっただろう。
お兄様と呼んだ時の方が、魔力を込めやすかったが、こんな呼び方をしていたら、すぐに身元がわかってしまう。バート兄さん、と言う言葉に魔力が込めにくいわけではない。単に呼び慣れていないだけだ。
今後一生、呼んでいく名前なのだから。練習して早く慣れなければ。
愚王の追手はまだ僕らを捉えていない。彼らが現れる前に兄を陥落させないといけない。
彼らの死に罪悪感を感じる兄ではいけない。罪悪感は、僕に対して現れるからこそ、意味があり、濃厚な栄養分になるのだから。
僕は生まれてきてから、今までで、随分と薄汚れてしまった。
僕の大切なお人形に兄を加えることができたなら、その瞳は曇ってしまうのだろうか。どこまでやれば、曇るのか、試してみたい気になるけれど、あの澄んだ瞳を見たいから、今はまだしない。
兄があの綺麗な瞳で、僕を見るたびに、兄を汚したい欲求に駆られるんだ。
兄は僕を弟として見ようとしてくれる。これだけ魅了魔法を使って誘惑しているのに、理性という鎧は固く、いまだに兄を閉じ込めてしまっている。早く素直になってくれないかなぁ。悶えてる姿も中々なものだけどね。
理性を剥ぎとれる魔法ってないかな?精神系の魔法は使い過ぎたら、瞳が曇るから気を付けなくちゃ。
魅了の魔法はここぞと言う時にたくさんかかるように、設定したから、兄が僕を見た時や近づいた時に視界が不安定になったりして、それで僕のことを好きになるようになる。
僕の魔力がもし兄より少なければ、魅了の魔法は効かない。兄は、魔力がないから、かかるしかないのだ。早く楽になってほしい。だってこれからは泣いても笑っても、二人きりで過ごすのだから。ただの兄弟の関係より愛し合う兄弟の方が、裏切りは少ないと思う。
僕の兄に対する欲は際限を知らない。できれば、兄には僕しか、あの綺麗な瞳に映して欲しくはない。僕以外の物に価値を見出して欲しくない。
だから魔法で縛る。兄は魔法が使えないから、簡単に縛ることができる。きっと兄は縛る紐の太さすらわからない。知らなくていい。
兄がもし手に入らないなら、兄の瞳だけ、貰えれば良いと思っていた時期がある。兄を人形にしたい、と言う願いはあの瞳があったからだから。
でも、最近は少し違う。兄ごと、欲しい。例え瞳が曇り切ってしまったとしても、どうしても兄が欲しい。
僕は、とんだ欲張りになってしまったみたいだ。
お兄様とバート兄さん、兄はどちらを気にいっただろう。
お兄様と呼んだ時の方が、魔力を込めやすかったが、こんな呼び方をしていたら、すぐに身元がわかってしまう。バート兄さん、と言う言葉に魔力が込めにくいわけではない。単に呼び慣れていないだけだ。
今後一生、呼んでいく名前なのだから。練習して早く慣れなければ。
愚王の追手はまだ僕らを捉えていない。彼らが現れる前に兄を陥落させないといけない。
彼らの死に罪悪感を感じる兄ではいけない。罪悪感は、僕に対して現れるからこそ、意味があり、濃厚な栄養分になるのだから。
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