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お飾りの妻なんて嫌 ローズ視点
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陛下の後妻にはなれなかったけれど、一番気に入っていた男性の妻になれた。彼はきっと私と結婚する為に伯爵位にまで上り詰めたのだわ、と嬉しくて仕方がない。
お父様は何故かそれでも迷っていらしたけれど、私が愛する人の元に嫁ぎたいと言えば、快く送り出して下さった。お母様は私が陛下の側室になれば良いと、最後まで仰っていたけど。
側室にさえなれば、正妃なんてすぐ蹴落としてあげる、と言って。でも、私は歳の離れた陛下よりも彼が好き。
問題は、元愛妾様だけど、アレは監視する目的でしょうし、関係ないと思っていたの。なのに、陛下と別れてすぐに彼を籠絡するなんて、本当にはしたない人だわ。
結婚式は盛大にしたかったけれど、旦那様のお仕事の都合上、身内だけのひっそりとした式になって、それでも初夜を私は健気に待っていた。なのに、なのに、彼は明日の仕事に差し支えるからと、部屋にすら来なかった。それが本当なら私はまだ理解できたけれど、違ったの。
本当は、あの女のところへ行っていた。王宮内とは違って狭い伯爵家内では、彼女の嬌声は良く聞こえるのよ。もしかしたら私に聞かせる為にわざと大きな声を出しているのかもしれないけれど。
本当に嫌な女。追い出したくても王家からの命令で彼女を外には出せないし、殺すなんて以ての外。
彼女には王家の影が監視についていて、彼女を害したら、子爵家を含む伯爵家までもが罪に問われてしまう。
夜会でもあれば、旦那様にエスコートしてもらえるかと思えば、やはり仕事の都合上、私は子爵家の誰かにエスコートして貰わなくてはならないらしい。
私のできることと言えば、あの女に嫌味を言って、連れて来た侍女の溜飲を下げることぐらい。彼女達は私と同じ、伯爵家での生活を夢見て、ついて来たのだけれど、想像と違う生活に、士気が下がって来ていた。
私は全く相手にされていないのに、あの女は彼の子を授かった。悔しい悔しい悔しい。でも、子ができたなら毎日の相手は控える筈で、そうなれば今度は私の出番ではない?
私は待っていても旦那様が来ないのだから自分から行かなくてはいけないと、頑張って自分を奮い立たせる。
夫の部屋に忍び込むと、旦那様の元へ行く。彼は大きな身体で覆い被さって来たから、恥ずかしいし、怖いけれど、漸く初夜をやり直ししたのよ。なのに、恐るべきことが起きたの。旦那様の寝室にいたのは、旦那様ではなかった。旦那様は夜は必ずあの女の部屋で眠るんですって。彼は伯爵になったことで、夜に襲われることを懸念して、彼の護衛をそこに寝かせているらしい。
私は旦那様がいながら、彼の護衛を襲って関係を持ったことになる。
護衛の男は旦那様から、私を慰める指示まで受けていたみたい。
しかも旦那様に夜這いに来たのは私が初めてではないみたい。何と私が連れて来た侍女達も軒並み、チャレンジしては、護衛に美味しく頂かれていたの。
まさかだったわ。
でも、これはあくまでも戦略よ。だって私が誰かのものになれば、旦那様は私を惜しいと思うかもしれないでしょ?陛下だってそうやって私を手に入れようとしたのだし?じゃなければ、あんな家柄しか取り柄がない女を選んだりしないわ。
お母様はよく仰っていたわ。男性は素直に愛を囁くことができない生き物だって。回りくどいやり方で傷をつけられても、その人は自分のことを愛するからそんな態度を取ってしまうのですって。
でもお母様にはお父様がいらっしゃるじゃない?私にはもう誰もいない。お飾りの妻ってこんなに心細いのね。
こうなったら、騎士と子供でも作って駆け落ちしてやろうかしら。それから私への愛に気づいて、後悔してももう遅いのよ。
終わり
読んでいただきありがとうございました。 mios
お父様は何故かそれでも迷っていらしたけれど、私が愛する人の元に嫁ぎたいと言えば、快く送り出して下さった。お母様は私が陛下の側室になれば良いと、最後まで仰っていたけど。
側室にさえなれば、正妃なんてすぐ蹴落としてあげる、と言って。でも、私は歳の離れた陛下よりも彼が好き。
問題は、元愛妾様だけど、アレは監視する目的でしょうし、関係ないと思っていたの。なのに、陛下と別れてすぐに彼を籠絡するなんて、本当にはしたない人だわ。
結婚式は盛大にしたかったけれど、旦那様のお仕事の都合上、身内だけのひっそりとした式になって、それでも初夜を私は健気に待っていた。なのに、なのに、彼は明日の仕事に差し支えるからと、部屋にすら来なかった。それが本当なら私はまだ理解できたけれど、違ったの。
本当は、あの女のところへ行っていた。王宮内とは違って狭い伯爵家内では、彼女の嬌声は良く聞こえるのよ。もしかしたら私に聞かせる為にわざと大きな声を出しているのかもしれないけれど。
本当に嫌な女。追い出したくても王家からの命令で彼女を外には出せないし、殺すなんて以ての外。
彼女には王家の影が監視についていて、彼女を害したら、子爵家を含む伯爵家までもが罪に問われてしまう。
夜会でもあれば、旦那様にエスコートしてもらえるかと思えば、やはり仕事の都合上、私は子爵家の誰かにエスコートして貰わなくてはならないらしい。
私のできることと言えば、あの女に嫌味を言って、連れて来た侍女の溜飲を下げることぐらい。彼女達は私と同じ、伯爵家での生活を夢見て、ついて来たのだけれど、想像と違う生活に、士気が下がって来ていた。
私は全く相手にされていないのに、あの女は彼の子を授かった。悔しい悔しい悔しい。でも、子ができたなら毎日の相手は控える筈で、そうなれば今度は私の出番ではない?
私は待っていても旦那様が来ないのだから自分から行かなくてはいけないと、頑張って自分を奮い立たせる。
夫の部屋に忍び込むと、旦那様の元へ行く。彼は大きな身体で覆い被さって来たから、恥ずかしいし、怖いけれど、漸く初夜をやり直ししたのよ。なのに、恐るべきことが起きたの。旦那様の寝室にいたのは、旦那様ではなかった。旦那様は夜は必ずあの女の部屋で眠るんですって。彼は伯爵になったことで、夜に襲われることを懸念して、彼の護衛をそこに寝かせているらしい。
私は旦那様がいながら、彼の護衛を襲って関係を持ったことになる。
護衛の男は旦那様から、私を慰める指示まで受けていたみたい。
しかも旦那様に夜這いに来たのは私が初めてではないみたい。何と私が連れて来た侍女達も軒並み、チャレンジしては、護衛に美味しく頂かれていたの。
まさかだったわ。
でも、これはあくまでも戦略よ。だって私が誰かのものになれば、旦那様は私を惜しいと思うかもしれないでしょ?陛下だってそうやって私を手に入れようとしたのだし?じゃなければ、あんな家柄しか取り柄がない女を選んだりしないわ。
お母様はよく仰っていたわ。男性は素直に愛を囁くことができない生き物だって。回りくどいやり方で傷をつけられても、その人は自分のことを愛するからそんな態度を取ってしまうのですって。
でもお母様にはお父様がいらっしゃるじゃない?私にはもう誰もいない。お飾りの妻ってこんなに心細いのね。
こうなったら、騎士と子供でも作って駆け落ちしてやろうかしら。それから私への愛に気づいて、後悔してももう遅いのよ。
終わり
読んでいただきありがとうございました。 mios
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