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嵐の前の
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意外にもミアはそれから大人しくなった。王妃には敵意を抱きつつも、彼女に近づくこともなく、訪れた陛下には優しく相手をする。
堕胎薬を盛った侍女は、ミアの担当から外れ、王妃付きになった。代わりにミアのところには新しい侍女がやって来た。
「侍女のマリーと、ローズです。」どちらも男爵令嬢と子爵令嬢で、でも、ミアを見下す様な素振りは見せなかった。
腹の中はわからなくても、彼女達は若いからか感じが良い。
彼女達は、王宮侍女の中では経験が浅い様で失敗することもあったが、ミアと歳が近く、友人のように過ごしてくれたのでミアの心も落ち着いて来た様だった。
陛下はそれでも頑なに王妃と愛妾を会わせることはしなかった。
「あれは反省などしない女だ。ああいうタイプはすぐに人の所為にして、己を省みない。子が流れたのも、理由があるとは思わず、ディアの所為にするだろう。」
クラウディアもその話には同意だった。愛妾様から感じる殺気は、ヒシヒシと、クラウディアと彼女の膨らんできたお腹に注がれている。それに、油断ならない相手も彼方側にいる。
ミアに使われた堕胎薬は、後遺症の残りにくいとても高価なものだ。彼女に負担をかけることを後悔した彼女の恋人が働いて得たお金で購入した。彼は失った命を守れなかったことをとても後悔している。
愛妾様をあれだけ愛している恋人のことをいい加減気づいてあげたら良いのに。
ミアが大人しくなったのは、周りの人の油断を誘う為のもので、決して心の中が変わった訳ではない。
狙うはお飾りでしかない、勘違い女の王妃だけ。
ミアは陛下のいない隙に元恋人を誑かして、王妃の殺害を手伝って貰おうとしたが、目を離すとすぐに彼はいなくなり、陛下だけになるので、幸か不幸か実行することは出来なかった。
だが、信じて待っているとチャンスはやって来る。
ミアは以前、王妃と偶然出会った庭の端に座って、王妃の周囲を見渡す。
庭には王妃と侍女、少し離れた場所に護衛が何人か。
護衛は知らない顔ばかりだったが、綺麗な顔の男ばかりで地味に腹が立った。
最初はただ王妃を殺そうと思っていたが、どうせなら愛される喜びを教えてあげれば良いんじゃないかしら。勿論、相手は陛下ではなくて、別の男。
ミアは学園時代に声をかけて来た男達を頼って、王妃を傷物にしようと企んだ。
王妃を穢せる、となれば、喜んで飛びつく変態は必ずいる。ミアは若い騎士を誑かし、手紙をある人物に届けることにした。
ミアに手紙を渡された騎士は、内容が何であれ、陛下に報告へ向かう。手紙の内容は改められ、計画は知られることになる。
陛下が王妃を囮にするのを嫌がった為に、王妃役を愛妾様の恋人がやってくれる様になった。
計画は杜撰だが、悪質であると、陛下は彼に叱責し、愛妾様が実行した場合、罰は必要であると諭した。いくら勘違いといえど一線を越えてきた彼女。陛下は彼女の恋人が彼女と暮らすまでに我慢させたあれこれを申し訳なく思っていたが、今回のことは許せない様だ。
王妃の腹の中には、まだ形としてはとても小さく儚い、我が国の後継者たる子供がいる。
いくら愛妾様が目論んでも企んでも、後継者を産めるのは、王妃だけ。それだけは変えようもない決まり事であった。
堕胎薬を盛った侍女は、ミアの担当から外れ、王妃付きになった。代わりにミアのところには新しい侍女がやって来た。
「侍女のマリーと、ローズです。」どちらも男爵令嬢と子爵令嬢で、でも、ミアを見下す様な素振りは見せなかった。
腹の中はわからなくても、彼女達は若いからか感じが良い。
彼女達は、王宮侍女の中では経験が浅い様で失敗することもあったが、ミアと歳が近く、友人のように過ごしてくれたのでミアの心も落ち着いて来た様だった。
陛下はそれでも頑なに王妃と愛妾を会わせることはしなかった。
「あれは反省などしない女だ。ああいうタイプはすぐに人の所為にして、己を省みない。子が流れたのも、理由があるとは思わず、ディアの所為にするだろう。」
クラウディアもその話には同意だった。愛妾様から感じる殺気は、ヒシヒシと、クラウディアと彼女の膨らんできたお腹に注がれている。それに、油断ならない相手も彼方側にいる。
ミアに使われた堕胎薬は、後遺症の残りにくいとても高価なものだ。彼女に負担をかけることを後悔した彼女の恋人が働いて得たお金で購入した。彼は失った命を守れなかったことをとても後悔している。
愛妾様をあれだけ愛している恋人のことをいい加減気づいてあげたら良いのに。
ミアが大人しくなったのは、周りの人の油断を誘う為のもので、決して心の中が変わった訳ではない。
狙うはお飾りでしかない、勘違い女の王妃だけ。
ミアは陛下のいない隙に元恋人を誑かして、王妃の殺害を手伝って貰おうとしたが、目を離すとすぐに彼はいなくなり、陛下だけになるので、幸か不幸か実行することは出来なかった。
だが、信じて待っているとチャンスはやって来る。
ミアは以前、王妃と偶然出会った庭の端に座って、王妃の周囲を見渡す。
庭には王妃と侍女、少し離れた場所に護衛が何人か。
護衛は知らない顔ばかりだったが、綺麗な顔の男ばかりで地味に腹が立った。
最初はただ王妃を殺そうと思っていたが、どうせなら愛される喜びを教えてあげれば良いんじゃないかしら。勿論、相手は陛下ではなくて、別の男。
ミアは学園時代に声をかけて来た男達を頼って、王妃を傷物にしようと企んだ。
王妃を穢せる、となれば、喜んで飛びつく変態は必ずいる。ミアは若い騎士を誑かし、手紙をある人物に届けることにした。
ミアに手紙を渡された騎士は、内容が何であれ、陛下に報告へ向かう。手紙の内容は改められ、計画は知られることになる。
陛下が王妃を囮にするのを嫌がった為に、王妃役を愛妾様の恋人がやってくれる様になった。
計画は杜撰だが、悪質であると、陛下は彼に叱責し、愛妾様が実行した場合、罰は必要であると諭した。いくら勘違いといえど一線を越えてきた彼女。陛下は彼女の恋人が彼女と暮らすまでに我慢させたあれこれを申し訳なく思っていたが、今回のことは許せない様だ。
王妃の腹の中には、まだ形としてはとても小さく儚い、我が国の後継者たる子供がいる。
いくら愛妾様が目論んでも企んでも、後継者を産めるのは、王妃だけ。それだけは変えようもない決まり事であった。
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