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二人はお似合い

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「本当に…お似合いだわ…」
マリアがそう呟いたのを王子はちゃんと聞いていた。
「それは誰の話?」
急に話しかけたからか、マリアは予想以上に驚いて、「エド様、びっくりさせないで。」と言われたけれど、さっきから一緒にいたよね?

気を取り直して、聞くと、「勿論、アーサー様とサイオン様ですわ!」と言われた。

アーサーの正体がバレているのかと思えば、どうやら男性同士でお似合いだとのこと。そう言う想像力が豊かな方たちの好む文学があると、聞いたことはあったものの、まさか公爵令嬢にまで、浸透しているとは思いも寄らなかった。

王子はここでも蚊帳の外であったが、別段落ち込むこともなく、むしろ安堵した。

「アーサーもサイオンも、女性が好きだと思うよ。」
ちゃんとアーサーの男性アピールをしながら、忠告すると、意外にも、首を傾げながら、納得していない顔をした。

「でもお二人から甘い雰囲気がでておりますわ。きっと思い合ってらっしゃるのよ。」
確かにそう見ると、アーサーのサイオンに対する顔が若干恥ずかしそうに見えるような?
いや、見えるか?

かと言って、女性の勘と言うものは、特に恋愛においては、とてつもなく鋭いと聞いたことがあり、マリアがそう言うのだから、そうなのか?

王子である俺を差し置いて、失礼な奴らだ。

王子は拗ねたわけでもないのだが、マリアは、王子の表情をみて、頭を撫でてきた。

「今のエド様の表情、可愛らしいですわ。」
女性に可愛いと言われるのは恥ずかしいが、さっきまでは蚊帳の外だった自分を見てくれる人がいるのだと、誇らしい気持ちになる。

頭を撫でるマリアの手を取る。
「では、私たちは二人きりで何をする?」

割としっかりめに手を繋いだから、マリアは、ほんのりと赤くなって、「内緒話はいかがかしら。」と笑った。

同じように微笑みを返し、サイオンとアーサーを置いて場を離れる。

王子についている近衛騎士がサイオンに声をかけようとしたが、王子はそれを断り、サイオンを置いて行くことにした。

今は、サイオンとアーサーの二人の邪魔をせずに、マリアと内緒話をした方が面白そうだ。サイオンには一つ貸しにしておいてやろう。

王子はマリアの不興を買うことはやめようと改めて思った。ローズは一度諦めるべきだろう。マリアがどこまで知っているか確かめるまでは、迂闊なことはできないのだから。



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