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騎士様と王子様
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(やっぱり足りなかったわね。)
運動を終えた後の騎士がどれだけの量の食事を取るのか、きちんと調べればよかったと、ローズは、反省した。
「申し訳ありません。全く足りませんでしたわね。」
「いやいや、美味しくて、一気に食べてしまいました。こちらこそ、申し訳ない。」
兄の上司の方に頭を下げられ、恐縮する。
「今度来る時には、もう少したくさん用意しますわ。」
ローズは、にっこり笑顔で、申し上げると、また上司の方は、顔を赤くした。
「また来ていただけるのですか?」
「ええ、よろしければ、ですけれど。」
「勿論、いつでもお待ちしております。」
照れ笑いのような表情を浮かべた上司の方は、年齢の割に少年のようで、不覚にも、可愛く見えた。
上司の方のお名前は、サイオン様。デリカ伯爵家の次男であり、近衛騎士の若きエース。
兄に見つからないように声をかける。
少し驚かれたようだが、ちゃんと話を聞いてくれる。
「次は兄のいない時に来てもよろしいですか?」「ええ、勿論。」
「サイオン様、御相手してくださいますか?」
また顔が赤い。(熱でもあるのかしら。)
「ええ、勿論です。」
サイオンが、耳まで赤くして、顔を逸らせたのを、体調が悪いせいだと勘違いしたローズは、早々に帰ることにした。
客がいたら、しんどくても休めないだろう。
兄に、声をかけて先に帰る。本当は兄と帰りたかったが、兄は兄で交友関係は広いので、挨拶まわりだの、なんだので、一緒には帰れなかった。
馬車乗り場に向かう途中、声をかけられたが、どなたか思い出せない。
(えーと、この方は…!不敬!)
第一王子だと途中で、思い出し、俯くと、王子は楽しそうに笑った。
「この間から、急に俯くけど、それは何だ。」
「目をまっすぐ見てしまい、不敬かと。」
王子は、笑いを堪えながら、意外なことを言った。「そんなことで不敬など言わぬ。せっかくの顔が見えないではないか。」
恐る恐る顔をあげると、優しそうな瞳がローズを見ていた。
「目を見ても…?」「良い」
ローズがあからさまにほっとしたところで笑いを堪えているのが難しかった王子が盛大に噴き出した。
「ああ、すまぬ。あんまり面白かったもので。ローズといったか。また話しても?」
ローズは戸惑いつつも、王子からの提案を断るわけにもいかずに、「是非。」と言う他なかった。
(そもそも、そんなに出会わないわよ。)
自分にそういい聞かせ、安堵したのも束の間、これからことあるごとに話しかけられるようになるとは、想像もつかなかった。
運動を終えた後の騎士がどれだけの量の食事を取るのか、きちんと調べればよかったと、ローズは、反省した。
「申し訳ありません。全く足りませんでしたわね。」
「いやいや、美味しくて、一気に食べてしまいました。こちらこそ、申し訳ない。」
兄の上司の方に頭を下げられ、恐縮する。
「今度来る時には、もう少したくさん用意しますわ。」
ローズは、にっこり笑顔で、申し上げると、また上司の方は、顔を赤くした。
「また来ていただけるのですか?」
「ええ、よろしければ、ですけれど。」
「勿論、いつでもお待ちしております。」
照れ笑いのような表情を浮かべた上司の方は、年齢の割に少年のようで、不覚にも、可愛く見えた。
上司の方のお名前は、サイオン様。デリカ伯爵家の次男であり、近衛騎士の若きエース。
兄に見つからないように声をかける。
少し驚かれたようだが、ちゃんと話を聞いてくれる。
「次は兄のいない時に来てもよろしいですか?」「ええ、勿論。」
「サイオン様、御相手してくださいますか?」
また顔が赤い。(熱でもあるのかしら。)
「ええ、勿論です。」
サイオンが、耳まで赤くして、顔を逸らせたのを、体調が悪いせいだと勘違いしたローズは、早々に帰ることにした。
客がいたら、しんどくても休めないだろう。
兄に、声をかけて先に帰る。本当は兄と帰りたかったが、兄は兄で交友関係は広いので、挨拶まわりだの、なんだので、一緒には帰れなかった。
馬車乗り場に向かう途中、声をかけられたが、どなたか思い出せない。
(えーと、この方は…!不敬!)
第一王子だと途中で、思い出し、俯くと、王子は楽しそうに笑った。
「この間から、急に俯くけど、それは何だ。」
「目をまっすぐ見てしまい、不敬かと。」
王子は、笑いを堪えながら、意外なことを言った。「そんなことで不敬など言わぬ。せっかくの顔が見えないではないか。」
恐る恐る顔をあげると、優しそうな瞳がローズを見ていた。
「目を見ても…?」「良い」
ローズがあからさまにほっとしたところで笑いを堪えているのが難しかった王子が盛大に噴き出した。
「ああ、すまぬ。あんまり面白かったもので。ローズといったか。また話しても?」
ローズは戸惑いつつも、王子からの提案を断るわけにもいかずに、「是非。」と言う他なかった。
(そもそも、そんなに出会わないわよ。)
自分にそういい聞かせ、安堵したのも束の間、これからことあるごとに話しかけられるようになるとは、想像もつかなかった。
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